多くの子供にとって勉強・学習というものは、嫌い・面倒臭い・やりたくないとネガティブな行為と思っています。そんな子供に
「どうして勉強しなきゃいけないの?」
と聞かれたら、親はしっかり答えなければいけません。しかし、実際勉強する意味を子供に伝えるのは難しいのが事実です。
勉強はなぜ、なんのためにするの?
足し算や引き算など簡単な四則演算や読み書きは日常生活でも使うので、勉強をする必要性が高いと誰しもが思います。
しかし、数学の微分や積分、化学の熱量計算は日常的に使うことがなく、また英語を勉強すること自体の必要性を感じることがないと感じる人もいます。
こういった必要性がないと思われているものを勉強・学習することの意味とは一体なんなのでしょうか。
勉強しないと損をする
勉強をしていないことで知識がなくて損をしてしまうのが資本主義です。自分で富を作り上げた人は、学歴問わず勉強を必ずしもしています。
また、勉強をすることで多角的に物事を捉えることができるようになります。知識がないと意味がわからないことでも、知っていれば楽しめることは日常に溢れかえっています。
就職で有利になる
これは勉強すること自体の本質ではありませんが、日本において就職活動をする際に企業が判断材料として重きを置いているのが学歴です。
大卒が条件の企業も多く、中卒や高卒ではなかなか良い仕事にありつけないのが現状です。企業によっては学歴フィルターといって、大学のレベルで書類選考の時点でふるいにかけているというのも事実です。
勉強をして大学受験を成功させることで就職、つまり将来の生活をよくすることに繋がるというわけです。
なぜ勉強するのかについての名言
学習・勉強することの意味については昔から議論されています。
そこで、勉強をすることについての名言・格言を紹介、解説します。
福沢諭吉「学問のすゝめ」
人は生まれながらにして貴賤・貧富の別なし。ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり。
福沢諭吉「学問のすゝめ」
「人は生まれた時に優劣が決まることはないが、勉強をすることで富や名声を得ることができ、勉強をしないものは貧しい人になってしまう」という内容で、勉強をすれば可能性が広がるとしています。
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という冒頭で知られる福沢諭吉の「学問のすゝめ」では文明開花の日本において、西洋の文化が入ったことで学習・学問の必要性を説いている本です。
時代が異なるため例えがわかりにくい箇所もあるかもしれませんが、子供に勉強の必要性を聞かれる前に一読しておくことをお勧めします。
太宰治『正義と微笑』
文豪太宰治は自身の著書の中で勉強について以下のように書いています。
勉強というものは、いいものだ。代数や幾何の勉強が、学校を卒業してしまえば、もう何の役にも立たないものだと思っている人もあるようだが、大間違いだ。植物でも、動物でも、物理でも化学でも、時間のゆるす限り勉強して置かなければならん。日常の生活に直接役に立たないような勉強こそ、将来、君たちの人格を完成させるのだ。何も自分の知識を誇る必要はない。勉強して、それから、けろりと忘れてもいいんだ。覚えるということが大事なのではなくて、大事なのは、カルチベートされるということなんだ。カルチュアというのは、公式や単語をたくさん暗記している事でなくて、心を広く持つという事なんだ。つまり、愛するという事を知る事だ。学生時代に不勉強だった人は、社会に出てからも、かならずむごいエゴイストだ。学問なんて、覚えると同時に忘れてしまってもいいものなんだ。けれども、全部忘れてしまっても、その勉強の訓練の底に一つかみの砂金が残っているものだ。これだ。これが貴いのだ。勉強しなければいかん。そうして、その学問を、生活に無理に直接に役立てようとあせってはいかん。ゆったりと、真にカルチベートされた人間になれ!
「正義と微笑」より「パンドラの匣」新潮文庫収録
太宰は日常の生活に役に立たない勉強でも人格を完成させる一つの要素であるとし、役に立たないかもしれない学問でも、すぐに忘れてしまったとしても、勉強という行為を通して人としての成長に繋がり、努力をしたことが尊いと語っています。
意味がない・役に立たないと思うことでも勉強を通して、自分の身になるから人間には勉強というものが欠かせないのです。
子供にこの内容を伝えてもピンとこないかもしれませんが、不必要な勉強はなく、勉強を通して成長できることをこの文章を見せて伝えることができるかもしれません。
まとめ
勉強とは、賢くなることでより適切な判断力が養える、そして自分の将来の為になることです。無意味な勉強など存在しておらず、自分の人間力を鍛えてくれるのです。
もし子供に「なぜ勉強するのか」と聞かれたのならばしっかりと勉強の必要性を答えて、子供の勉強のモチベーションをあげられると良いでしょう。