給料面、社会貢献、世間体、ステータスどれもが高い職業の1つである「医者」ですが、「医者になりたい」と思った時にはもう諦めなければいけない時期だったという人は数多くいます。
実際、日本にはたくさんの医者がいるということは、実際医者になることができている人がたくさんいるということです。「医者になるのは難しい」「医者は賢くなければなれない」「親が金持ちだからなれる」と、人から聞いた情報で偏見を持ってしまっていると、医者になれる可能性を無にしてしまいます。
そこで、この記事では「医者になりたい」という気持ちが少しでもある方にぜひ読んでいただきたい「医者になるためにはどうするべきか」ということは解説していきます。
医者になるにはまでの過程
まず、医者になるまでの過程を見ていきましょう。
大学の医学部に進んで6年間勉強する
↓
医師国家試験に合格する
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2年以上臨床研修医としての経験を積む
そのため、まずは大学の医学部に入るという段階からスタートします。医学部の偏差値はどこも高いため、受験勉強にかなり打ち込む必要があるでしょう。
また、医師国家試験では、基本的な診療能力に関する出題のほか、「禁忌肢問題」という倫理観や人権に関する問題(医者としてやってはいけないこと)の出題では一定の問題数以上間違えると点数に関係なく不合格となります。
女子が医者になるには?
かつて、大学教育を受ける女性が少なかったことから、医者は男性の職業というイメージが持たれていましたが、今では当然女性の医者もたくさんいらっしゃいます。
そのため、女子だからというように性別によって何か特別なことを用意する必要はありません。
医者は激務なイメージがあるかもしれませんが、現在では結婚・出産を考慮して女性医師の子育て支援に取り組む病院が増え、「勤務時間の短縮」「当直なし」「緊急時の呼び出しなし」などのルールが決められいる病院もあり、働きやすくなっているようです。
仮に勤め先の病院が厳しく、子育てとの両立が難しくて一度退職したとしても医者の資格があれば再就職も他の職業と比べて簡単にできるというメリットもあります。
医者になるにはどれくらいの勉強が必要?
日本の医学部入学定員は約9000人ですが、医学部の入試志願者は年々増加傾向にあり、
倍率は約14倍となっています。それに加えて、今後の人口減に合わせて、医師の需要が減少するため、医学部の定員は削減される方向で議論されているので、ますます難易度が上がっていきそうです。
そのため、高校1年生で週に20時間以上、高校2年生で週に30時間以上、高校3年生では週に40時間以上、学校以外で学習を確保するのが医学部の受験勉強の目安になっています。
大学受験には現役の高校生以外にもたくさんの浪人生も受験をします。
医学部受験を目指している浪人生の勉強時間んは1日12時間以上と言われています。
睡眠と食事以外は全て勉強に捧げている人も大勢います。この浪人生よりも高い得点を出すのは容易なことではなく、医学部受験では浪人が当たり前というのが現状です。
医者になるためには中学生から準備をするとなお良い
もし中学生の頃から「医者になりたい」という気持ちがあるのであれば、
中学生の時点で医学部受験を見据えた準備をしておくと良いでしょう。
中学生から少しずつ医学部受験に向けた勉強を始めることにより、無理なく確実に基礎力を身につけることができ、勉強するという習慣が中学生の段階で身に付き、自分にあった勉強方法がわかってきます。
また、限られた時間をどの勉強にどれくらい割り振るのかという判断ができる自己管理能力が鍛えられれば、高校一年世の段階でかなり学力が高く、成績も上がっていくようになるでしょう。
医者になりたいけど「頭が悪い」という人はAO入試もあり?
一般入試では、学力面で歯が立たない、頭が悪いと感じている受験生は、AO入試も視野に入れてみると良いかもしれません。
AO入試とは、学力以外にも、人間性や個性を評価するものです。 医学部のAO入試の場合は、他学部のAO入試よりも基礎学力の高さが求められるので、結局頭の良さはある程度必要なので注意です。
また、一般入試よりも定員が圧倒的に少ないため、学校ごと出題傾向を研究し、対策をしっかりと行う作業が必要となります。そのため、浪人をしてでも諦めずに勉強を続けることが最も成功率が高い方法なのではないでしょうか。
医者になるにはどれくらいの費用がかかる?
「医学部は学費が高い、金持ちしかいけない」ということを耳にしたことはある人が多いかもしれません。
実際、私立の医学部では、2020年現在で最も安い国際医療福祉大学(栃木県)の医学部でも6年間の学費総額が1910万円。最も高額な川崎医科大学(岡山県)になると4736万5000円と通常の大学費用の数倍以上かかってしまう計算になります。
しかし、国立大学の場合は学部によって学費が変動しないので、入学金28万2000円、年間授業料53万5800円×6年の約350万円の費用がかかる計算になります。
私立医学部の授業料を簡単に捻出できる家庭はそう多くはありませんので、国立の医学部を目指す家庭が多くなります。
そのため、国立大学の医学部の方が遥かに難易度が高くなっています。
私立と国立の医学部を徹底比較
有名国立・公立の医学部の偏差値
No | 大学 | 平均 偏差値 |
---|---|---|
1 | 東京大学理科三類 | 74 |
2 | 京都大学医学部 | 72 |
3 | 東京医科歯科大学 | 71 |
4 | 大阪大学医学部 | 71 |
5 | 名古屋大学医学部 | 70 |
6 | 神戸大学医学部 | 69 |
7 | 大阪市立大学医学部 | 69 |
8 | 千葉大学医学部 | 69 |
9 | 横浜市立大学医学部 | 69 |
10 | 九州大学医学部 | 69 |
11 | 東北大学医学部 | 69 |
12 | 広島大学医学部 | 69 |
13 | 京都府立医科大学 | 69 |
14 | 名古屋市立大学医学部 | 68 |
15 | 北海道大学医学部 | 67 |
16 | 岡山大学医学部 | 67 |
17 | 筑波大学医学部 | 67 |
18 | 三重大学医学部 | 67 |
19 | 岐阜大学医学部 | 67 |
20 | 奈良県立医科大学 | 67 |
21 | 金沢大学医学部 | 67 |
22 | 宮崎大学医学部 | 67 |
23 | 大分大学医学部 | 67 |
24 | 新潟大学医学部 | 66 |
25 | 滋賀医科大学 | 66 |
有名私立の医学部の偏差値
No | 大学 | 平均 偏差値 |
---|---|---|
1 | 慶應義塾大学医学部 | 73 |
2 | 東京慈恵会医科大学 | 69 |
3 | 大阪医科大学 | 69 |
4 | 順天堂大学医学部 | 68 |
5 | 日本医科大学 | 68 |
6 | 防衛医科大学 | 68 |
7 | 関西医科大学 | 68 |
8 | 昭和大学医学部 | 67 |
9 | 国際医療福祉大学医学部 | 67 |
10 | 東京医科大学 | 66 |
11 | 東邦大学医学部 | 66 |
12 | 産業医科大学 | 66 |
13 | 藤田保健衛生大学医学部 | 66 |
14 | 兵庫医科大学 | 66 |
15 | 近畿大学医学部 | 65 |
学費の高さは 国公立<私立
国公立の医学部が人気なのは、なんといっても学費の安さにあります。国立の医学部で6年間に収める学費は、およそ350万円。これが私立の医学部になると、最も高額な川崎医科大学で6年間の学費総額が4565万円、金沢医科歯科大学で3950万円など、多くの医学部で3000~5000万円の学費を必要とされます。実に国立の10倍以上という、高額な学費です。
有名医学部の学費
2021年現在
No | 大学 | 学費 |
---|---|---|
1 | 国立大学医学部平均 | 350万円 |
2 | 私立大学医学部平均 | 760万円 |
3 | 順天堂大学 | 2080万円 |
4 | 慶応義塾大学 | 2156万円 |
5 | 昭和大学 | 2200万円 |
6 | 東京慈恵会医科大学 | 2250万円 |
7 | 自治医科大学 | 2260万円 |
8 | 東邦大学 | 2580万円 |
9 | 日本医科大学 | 2770万円 |
10 | 関西医科大学 | 2770万円 |
11 | 東京医科大学 | 2940万円 |
12 | 産業医科大学 | 3049万円 |
13 | 大阪医科大学 | 3141万円 |
14 | 久留米大学 | 3220万円 |
15 | 東京女子医科大学 | 3284万円 |
16 | 日本大学 | 3310万円 |
この私立大の医学部の学費は給付金や地方の医療機関に出向することを前提として資金援助を受ける機会があることから、私立大の入学者の平均は国立の約2倍程度の学費で抑えられていますが、実情は2000〜4000万円程度の学費が必要になると考えた方が良さそうです。
最後に
医者を目指すことは誰でもできますが、実際に医学部に入学をするという関門を突破できるのは一握りです。
私立の場合は費用もかかるというのも、自分だけではなく保護者との相談が必要になるでしょう。
中学の段階でもしその意志が少しでもある場合は、早めに準備をしておくと良い結果が出る可能性が上がりますよ。