日本の就活では、学歴が重視される傾向があります。中でも、学部卒か院卒かというのは採用枠や待遇が異なるほどに違いが生じるため、大学卒業後の進路は慎重に選ぶ必要があります。
しかし、大学生以外では「大学院」と言われても何をする場所なのかわからない、大学の延長線にあるという何となくしか認識がない人の方が多いでしょう。
そこで、この記事では大学院とはどんな場所なのかを解説し、進学するメリット・デメリット、理系の採用枠が多い企業のランキング等を紹介していくのでぜひ参考にしてください。
大学院とはどんな場所?
日本における大学院は、大学の学部の上に設置されており、「学術の理論および応用を教育研究し、文化の進展に寄与することを目的とするもの」とされています。
高校卒業後に進学するのが大学の中にある「学部」で、この学部を卒業して学士号を取得する又は、個別の入学資格審査に合格し学部卒業と同等の学力を有すると認められることが進学の条件となっています。進学後は、課程に応じて修士号、博士号、専門職学位を取得することができます。
実際、大学院でどのようなことをするのかを簡潔に説明すると「研究を重ねる」又は「実務能力を磨く」ことがメインになります。
しかし、これではピンとこない方も多いと思うので、文系と理系のそれぞれ大学院でどのようなことをするのか紹介します。
理系の大学院では何をするのか
理系の大学院に進学すると、大学で学んだ分野の専門性を深め、研究を行うこととなります。学部から同じ研究室に入っている場合は、引き続き自分の研究に打ち込み、成果を残すことが可能です。
就職の面では研究分野に直結する仕事に就きやすく、研究室によっては教授から企業への推薦で通常ルートよりも簡単かつ早く内定を得られるケースもあり、かなり有利に働きます。
文系の大学院では何をするのか
文系の大学院では、専攻にもよるのですが理系ほど専門分野が特化されておらず、研究というよりも講義を受ける、資格を取るといったことになります。
就職の面では理系ほど活かせる場面が少ないため、人によっては不利となってしまうケースもあります。文系の大学院進学するのは少数派であり、よほど大学院でやりたいことが決まっていないと無駄なお金と時間をかけてしまう可能性があるので、注意してください。
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大学院の種類
大学院の中にも種類があるので、その種類ごとの特徴を見ていきましょう。
学部のある大学院
学部のある大学院とは、学士課程(学部)の上級機関となる研究科のことです。例えば、理学部のある大学に理学研究科があるというような形式です。
独立研究科
独立研究科とは、その学問に対応する学士課程(学部)を持たない研究科のことで、さまざまな学部の卒業生を受け入れることで、新しい視点を取り入れたり、新しい研究分野に取り組んでいます。
専門職大学院
専門職大学院とは、研究を目的とするのでなく、高度に専門的な職業人を養成するための機関です。
大学院大学(独立大学院)
大学院大学とは、学士課程(学部)自体を持たない機関のこと、「独立大学院大学」や「独立大学院」とも呼ばれます。
大学院の学費はどれくらいかかる?
大学院で必要な学費(入学金・授業料・施設費等)は、国、公、私立、研究科などにより、大きく異なりますが、初年度にかかかるおおよその費用は、凡そ以下の通りです。
国立82万円程度
公立70~100万円程度
私立(文系)80~180万円程度
私立(理系)100~180万円程度
私立 専門職大学院(法科大学院除く)70~260万円程度
法科大学院(私立)90万円~200万円程度
通信制大学院60~100万円程度
進学を希望される大学院・研究科の募集要項や公式サイトで学費等をチェックしてみてください。
大学院に通うメリット
それでは大学院に通うメリットについて見ていきましょう。
①就職先の選択肢が広がる
大学院を卒業することで就職先の可能性が広がり、選択肢が増えます。
大手企業メーカーの研究職などでは、そもそも採用条件を院卒・修士以上としている会社もあり、研究職を目指す学生のほとんどは大学院への進学を目指し、推薦で内定が決まることも多いです。
②初任給が学部卒より高い
多くの企業では、学部卒より大学院・修士卒の初任給が高く設定されているので、社会人スタートが少し裕福に始めることができます。
③高い専門性と経験が得られる
大学院に進学すると、学部時代以上に研究・実験に時間を費やすので高い専門性を身に付けることができます。
研究成果を学会などで発表する機会もあり、その分野の有識者と知り合いになれたりするのもメリットといえるでしょう。
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大学院に通うデメリット
大学院にはメリットがあるだけではなく、デメリットもありますのでこちらもチェックしましょう。
①学費がかかる
先述したように、大学院や選考分野によって異なりますが、大学院には当然学費がかかります。
大学院では学部時代と違い、研究で忙しく、がっつりアルバイトの時間はとりづらく、お金を工面する必要が出てくるケースもあります。
②学部卒と2年遅れて社会人が始まる
同世代と比べて社会人経験が2年遅れてスタートすることも、人によってはデメリットと感じるでしょう。
特に大学院を卒業した恩恵を得られなかった場合はコンプレックスとなってしまうことも珍しくないので、大学院に入学する前にしっかりとプランを立てると良いでしょう。
大学院に行くにはどんな方法がある?
大学院に進学するためには、入学試験を受験する必要があります。
大学院進学を希望する人は、それぞれの試験に合わせた対策を立てて準備をしましょう。
一般入試
大学を卒業見込みの人、大学を卒業した人が受けられる試験で、一般的な試験の内容は、外国語・専門科目の筆記・書類審査・面接で構成されています。
大学院によっては、過去の試験問題が入手でき、学部生なら簡単に合格できるというケースもあります。
推薦入試
大学の学部で優秀な成績を修めた学生が、その大学の大学院に進学できるという制度で、大学院によっては学外からの推薦を受け付ける場合もあります。
AO入試
入学希望者の人物像を学校が求めている人物とを比較して合否を決める方法で、大学院入試でも採用しているところがあります。
多くの場合、書類審査と面接で選考され、研究室が求める人物像に適しているかどうかが、大きな合否の判断材料となります。
社会人入試
一度社会人になった人を対象とした試験です。
大学院によっては試験を課さないところもあり、応募時に提出する研究計画書の内容などを通して、熱意・知識・人物像をもとに合否が判定されます。
理系大学院の卒業生採用が多い就職ランキング
最後に、東洋経済オンラインが発表している「理系学生の採用が多い企業ランキング」を紹介します。
1位:ホンダ(理系採用454人)
https://toyokeizai.net/articles/-/271326?page=2
2位:スギ薬局(理系採用375人)
3位:デンソー(理系採用368人)
4位:マツモトキヨシ(理系採用305人)
5位:ダイキン工業(理系採用287人)
6位:アイシン・エィ・ダブリュ(理系採用247人)
7位:京セラ(理系採用239人)
8位:三菱自動車(理系採用237人)
9位:NTT西日本(理系採用219人)
10位:大林組(理系採用217人)
大学院に何をしに進学するかをはっきりさせておこう
ここまで大学院について色々と説明してきましたが、大学院にいくかどうか迷っている人は「大学院で何を研究するのか」「何のために大学院に行くのか」というのを明確にしておきましょう。
理系の場合は大学院に行くのが当然という意識がある学校に通っていると流れで進学する人もいらっしゃいますが、みんながみんな大学院に進学すれば良いというわけではありませんので、しっかりと自分の将来を見据えた選択をしましょう。
また、今いる大学とは異なる大学に外部進学する場合は、過去問や対策情報がある内部進学希望者と同じ試験を受けることとなるので事前にしっかりと準備をして受験に臨む必要です。