新年度になり、進級するとクラス替えが行われる学年も多いでしょう。「仲のいい友達と一緒になれた!」「なぜかいつも○○君と同じクラスになる。」という感想が毎年聞こえてきます。今回は、クラス替えの仕組みについて、元教員のマナビバ講師が解説していきます。
児童・生徒はどのように決めるの?
クラス替えは基本的に、1年間担任をしていた先生たちが学年で、次年度のクラス編成を考えます。(例えば、新3年生のクラス編成だったら、2年生の時の担任の先生たちで考えます。)
クラス替えをする時にそれぞれの児童・生徒について判断する項目は以下の通りとなります。
- 学力
- 生活態度
- リーダー性
- 家庭の様子
- 運動
- ピアノ
- 交友関係
これらについて、それぞれの児童・生徒を整理していきます。その後、全ての項目について、高い子・低い子の人数がバランスよくなるように各クラスに振り分けていきます。どうしてこれらの項目がピックアップされているのかについて、簡単に説明していきます。
【学力】
クラスでは、ほとんどの時間を授業で過ごします。授業を効率的に進められるように、勉強が得意な子と苦手な子が各クラス同じ人数になるように振り分けます。また、テストの平均点が同じになるようにする狙いもあります。特に勉強が苦手な子は各クラス、大体同じ人数になるように編成されていますので、どのクラスでも学習をしっかり見てもらい、個別のフォローをしてもらえるので安心して授業に臨んでください。
【生活態度・リーダー性】
授業以外でも、体育祭や文化祭等クラス単位で行動することが多いです。また、委員会の人数などもクラスごとに決められています。そのため、積極的に行動や発言ができる人、リーダーシップをとってみんなを引っ張っていける人等、クラスを良い方向に導いていく存在やみんなを巻き込んでクラスを盛り上げることができる存在を期待されている人も各クラス同じ人数になるように編成されます。反対に、先生の言うことを聞かない人や宿題・提出物を出さない人等も均等に分かれるので、いわゆる「荒れているクラス」というのは最初からは存在しないといっていいでしょう。
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【運動】
運動会や体育祭で、それぞれのクラスが平等に力を発揮できるように、運動能力もクラス編成の参考にされます。特に、中学校や高校の体育祭はクラスごとで争われることが多いため、重要度は高くなります。そのため、体育祭ではクラスの団結力や戦略が勝敗を左右すると言っていいでしょう。
【ピアノ】
中学校では、合唱コンクールが行われる学校が多く、ほとんどの学校で指揮や伴奏も生徒が担当します。そのため、ピアノ伴奏できる人が必ず一人以上いるようにクラス編成されるのがほとんどです。よって、ピアノを習っている人や、伴奏ができるかどうかもクラス編成の項目に入ることが多いです。また、小学校や高校でも、入学式や始業式で全校合唱をする際に児童・生徒がピアノ伴奏を行うことも多いです。各クラスからバランスよく、全校行事で活躍する人を出すために、判断材料となることが多いです。
【交友関係】
クラス替えでは、交友関係も重要視されることが多いです。仲が悪く、ケンカばかりしている等トラブルが多い場合には、基本的にはクラスは離されます。なぜなら、トラブルを解決するのに時間がかかって授業が中断したり進まなかったりするからです。仲が悪い人たちがいると、クラスが1つにまとまりにくいという恐れもあります。
反対に、仲が良すぎる場合もクラスを離されてしまうこともあります。学校生活では、いろいろな人と関わって、コミュニケーション能力を高めることも学びの1つです。特定の人とばかり関わっていると、他の人と関わる機会を与えるという目的で違うクラスに振り分けられます。
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担任の先生はどのように決めるの?
それぞれのクラスの担任の先生は、各クラスの児童・生徒のメンバーが決まった後に、校長先生が中心となり決められます。中学校や高校では学年の先生方は変わらずに、担任の先生が変わることが多いですが、小学校では毎年学年の先生方も変わることがあります。先生方の編成は、経験の多い・少ないや、男性・女性、指導力が高い・低いを総合的に判断して、バランスよく各学年に振り分けられることが多いです。ですから、クラスで困ったことがあった場合は、同じ学年の他のクラスの担任の先生に相談してみるといいでしょう。
クラス替えについての希望や要望は伝わるの?
保護者の方から、「○○と同じクラスにしてほしい。」、「○○と違うクラスにしてほしい。」という要望が担任の先生に伝えられることも多いです。基本的に、クラス替えに関する希望調査は行われませんし、要望も受け付けてはいません。しかし、トラブルがあった等、学校生活を送るうえで障害となるような事情だと先生方が認める場合は、クラス編成をする際に考えてもらいます。もし、心配なことや困っていることがあれば学校に相談してみるといいでしょう。児童・生徒からの相談では、単なる好き嫌いと判断される場合もあるため、お家の人を通して相談することをおススメします。
【通りにくい要望】
- 人見知りなので、○○君と一緒のクラスじゃないと不安だから、一緒にしてほしい。
- ○○さんのことが嫌いで、学校が楽しくないみたいです。別にしてください。
- 体力がないので、1階の教室にしてください。
- 男の先生は苦手意識があるみたいなので、女の先生でお願いします。
- ○○さんと、▲▲君といつも同じグループで、小さいころからずっと仲良しです。3人同じクラスにしてほしいです。
【通りやすい要望】
- ○○さんに、いじめられたことがあります。本人も不安がっているので、クラスを離してくれませんか?
- ○○君の保護者と、子どものことで揉めました。子ども同士の関係や、保護者会に悪い影響を与えそうなので、クラスを分けてもらえませんか?
- 話すのが苦手で、病院にも通っています。○○さんは特徴をよく分かってくれて、サポートしてくれます。一緒のクラスだと安心して学校生活を送れるし、話せるよう成長もできると思うのですが、難しいですか?
まとめ
このように、クラス替えはそれぞれの項目についてバランスよく分かれるように編成されます。しかし、考えなければいけない項目が多いので、完全に振り分けられるわけではありません。先生方が一番重視しているのは、そのクラスの全員が学習内容を理解することができ、スムーズに授業を進められるかどうかです。また、クラスが一致団結して、同じ方向を向いてよりよい学校生活を送れるかどうかです。
人は一人一人、性格が違います。考えることも感じることも人それぞれです。社会にでたら、たくさんの人と関わり合いながら生きていかなければなりません。クラス替えはその練習といってもいいでしょう。「仲いい人が別のクラスだった。」「嫌いな人と同じクラスになってしまった。」とネガティブに考えるのではなく、「新たな出会いがある。」とポジティブに考えましょう。そして、個性を認め合い、性格や考え方・感じ方の合わない人とも協力しうまくやっていくことに挑戦してみましょう。関わっていくうちに、その人の面白さや新たな一面が見えますよ。
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