学習障害(Learning Disability:LD)とは、聞く、話す、書く、読む、計算のいずれかに困難さを持った人のことをいいます。学習障害を持っていると、授業は理解できるのに上手く答えられない、普段のコミュニケーションは難なく取れるのに、音読になるとたどたどしくなって上手く読めないなど、できること(得意なこと)と、できないこと(苦手なこと)のギャップの大きくて一人で悩んでいる…と言ったことが多くなります。
学習障害ってどんな特徴があるの?学習障害の子の接し方とは?と言ったギモンにお答えします。
学習障害とはなに?
学習障害とは、①知的には普通であり、視覚や聴覚の障害はないにもかかわらず、②聞く、話す、書く、読む、計算のいずれかに困難さをもった人のことをいいます。
例えば、お友達とのコミュニケーションは他の子と変わらずに取れるし、難しい問題も口頭でやりとりすればスラスラ解けるのに、テストの解答用紙には書けずにテストの点数が延びにくい…といった様子がみられます。
一般的には勉強が始まる小学生以降に気づかれることが多く、専門機関でさまざまな検査を受けて診断がつきます。目安としては、学習到達度に遅れが1〜2学年相応あるのが一般的です。
困難さがある領域以外は発達の遅れはみられないため、”努力不足”や”頑張っていない子”と見逃されたり、誤解されることが多くあるので注意が必要です。
学習障害はどのような困難さを抱えているかによって、大きく3つのタイプに分類することができます。
文字を読むことが苦手な”読字障害”
読字障害とはディスレクシアといい、文字を読むことへの困難さを持っている人のことを指します。読字障害と一言で言っても、「ツ」と「シ」など類似した文字をどうしても間違えてしまうタイプ、よく読み飛ばしや勝手に読んでしまうタイプ、長文を読んでいるとどこを読んでいるのかわからなくなるタイプなどがあります。また、文字と言っても、日本語には平仮名や片仮名、漢字といったさまざまな文字があります。文字の種類によって困難さが異なる場合もあります。
文字を書くことが苦手な”書字表出障害”
書字表出障害とはディスグラフィアといい、文字が書けない、書いてある文字を写すことができない等の困難さを持っている人のことを指します。例えば、鏡文字(左右入れ替わった文字)や勝手に文字を当てはめて書いてしまうタイプ、誤字脱字や書き順の誤りが多いタイプ、文字のバランスが取れず大きさがバラバラになってしまうタイプなどがいます。書字表出障害も読字障害と同じく、平仮名や片仮名、漢字と言った文字によって困難さが異なる場合があります。
計算や図形が苦手な”算数障害”
算数障害とはディスカリキュアといい、計算や図形問題など、算数・数学の分野に困難さがる人を指します。例えば、順番に数を数えることはできるけど、数の大小などの概念がわからない、繰り上げや繰り下げが苦手、文章題を理解できない、図形がグラフが苦手などのタイプがいます。
うちの子、学習障害かも?と思った時のタイプ別の接し方
もし、お子さんや生徒など、”もしかして学習障害かも?”と思ったら、まず大事なのはうまくできなくても叱らないことです。学習障害の子は、「なんだか自分は周りとは違う」「あれ、上手くいかない」と傷つきを持ってる子が多くいます。苦手なこと、できないことは、得意な力でフォローして、成功した時にたくさん褒めてあげてください。
タイプ別に詳しい接し方を紹介します。
読字障害の子は読み聞かせるのがコツ
文字を読むことが苦手な読字障害の子は、問題文を読んで理解することに苦手さを感じている場合が多いです。そのため、問題文を音声にして聴かせることで、文字を介さずに問題文に触れることができるので、理解しやすくなります。
他にも、もし、長い文章は読み誤りが多いけど、短い文であれば読み誤りが少なくなるのであれば、余計な文章は視界に入らないよう、今読みたい文以外は見えないように隠してしまう方法もあります。
読み飛ばしや勝手に読んでしまう子に対しては、1文字ずつ意識できるように指差ししながら確認するのも良いです。
また、漢字が苦手なのであれば平仮名や片仮名にして見せてあげましょう。
書字表現障害の子は選択問題や口頭で説明するのがコツ
文字を書くことへの苦手さがある書字表現障害の子は、問題文を読んで理解でき、答えもわかっているのに上手く書いて表現することができずに、得点にならない場合が多くあります。そのため、答えを書くのではなく、口頭で説明してもらうと正解できることがあります。
バランスを取って文字を書くことが難しいのであれば、マス目(十字に補助線が入ったタイプ)のノートを使い、文字のバランスを取る練習をしたり、なぞり字の練習をするのも良いです。
作文や感想文などの長い文章を書くのが難しい場合は、パソコンを使って頭の中の文章を文字にするのも1つの手です。
算数障害の子は得意な力を使って数や図のイメージを膨らますことがコツ
数を数えることはできても、数の概念を理解できない算数障害は、みじかなものに例えながらイメージを膨らますと良いです。例えば、8個入りのたこ焼きを2個食べたら何個余るのか?という問題に対して、実際に8個入りのたこ焼きを用意して、まずは最初の数を確認する、2個食べる、残ったのは何個なのかを確認すると言ったように、実際に経験することで数のイメージ、計算のイメージが膨らみやすくなる場合があります。
立体の展開図がわからない、想像できないのであれば、実際にティッシュ箱などを解体してみて、どんな形になるのか、確認するのも良いでしょう。
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まとめ
学習障害の子たちは、できることと苦手なことの差に悩み、苦しんでいることが多くあります。周りの大人が理解を示して、得意なことを生かして苦手なことをカバーできるように導いてあげることが、学習障害をもつ子たちの支えとなり、自信に繋がります。
より詳しい特徴を知りたい、この子にぴったり合った接し方を知りたいと思った方は、専門機関(病院や発達支援センター)や担任の先生、スクールカウンセラーなどに相談してみてください。その後、言語検査を受けると、より具体的に得意さと苦手さを理解することができ、その子に合ったサポートができるようになります。
相談してみることは、その子自身を理解する一歩となりますので、ぜひ、専門機関への相談を検討してみてくださいね。