近年、注目されている発達障害の中でも、特に文字に関する難しさを持つ学習障害。
学習障害は学齢期、つまり文字を本格的に使い始める小学生以降に気づかれることが最も多いです。
もし、自分の子どもが学習障害かも?と思ったらどうすれば良いの?治療法ってあるの?そんな疑問にマナビバが答えます!
学習障害とは?
学習障害(LD、局限性学習症)とは、普段のコミュニケーションや、文字を介さない学習に関しては年齢相応に順調に習得できるのにもかかわらず、”文字を使った学習”になると、何らかの難しさを抱えている人のことを指します。
たとえば、似たような文字によく間違えて書いてしまう、同じ行を何度も読んでしまうなどといった様子が見られます。
学習障害に治療法ってあるの?
”うちの子、学習障害かも?”と思った時に、真っ先に気になるのは、将来治るのかどうかですよね。
現代の医学では、学習障害を完璧に治療する方法は見つかっていません。
また、学習障害の原因の有力候補として、脳の機能障害や遺伝要素が原因ではないかと言われていますが、必ずしも当てはまるわけではないため、原因もはっきりしていないのが現状です。
でも、完治するための治療法がないと聞いてがっかりしないで下さい。
学習障害の特徴を正しく理解し、ちょっとした工夫をすることで、他の人たちと同じように生活し、社会に出てはたらき、幸せに暮らしている人はたくさんいます。
学習障害かも?と思った時に試して欲しい対応法を紹介します。
学習障害の苦手なこと別対応法
学習障害の対応法は、具体的に、何に対して困っているのかによって対応法が変わってきます。ここでは苦手なこと別に対応法を紹介して行きます。
文字の形を上手く捉えられない、上手く書けない時は…
- 文字を覚えることが苦手
- 鏡文字(左右、上下が反対になる)になってしまう
- 文字のバランスがとれない
とにかく、「文字を書く」ことが苦手な場合は、文字の書き方をことばにしてイメージすると良いです。
例えば、【花】という感じを学習中だとします。
花という漢字の書き方やバランスが上手く取れずに書けない場合は、
①くさかんむりの
②下にカタカナのイと
③隣にヒを書く
といったように、【花】という漢字を知らない人でも漢字をイメージできるように言葉にすると良いです!
もし、これだけではイメージしにくいようでしたら、漢字練習の用紙に手順ごとに色をつけます。そうすると、どこに、何を書けば良いのかより明確になり、イメージしやすくなります。
文章を書く(作文等)のが難しい時は…
- 文字は概ね書くことができる
- 書きたい内容もほぼ決まっているし、口頭であれば説明できる
- でも、いざ文章で書くとなると書けない
書きたい内容のイメージはできているのに、実際に文章化するのは難しい場合もあります。
そんな時は、音声入力を使い、書きたい内容を文字起こししましょう。
その後、できあがった文章を読み込み、書き写します。書き写す作業の時に、書きたかった内容と実際にできあがった文章のイメージがあっているのかどうか、どんなふうに表現されているかに注目しながら確認してください。次に同じような文章を書くときに、イメージとして持ちやすくなります。
とにかく国語の教科書の音読が苦手…
- 簡単な字なはずなのに、何度も何度もつまずいてしまう
- 文字の読み飛ばしが多い(勝手読み)
- 同じ行を何度も読んでしまう
- 行を読み飛ばしてしまう
文字の読み飛ばしや行を何度も読んでしまう場合、1文字ずつ、1行ずつ注目できるように工夫しましょう。
もし、何度もつまずいてしまう場合や、文字の読み飛ばしや勝手読みが多い場合は、1文字ずつ指さししながら読むと良いです。一気に長い文章を読もうとすると大変なので、短めの文から練習すると良いでしょう。
また、同じ行を何度も読んでしまう、行を読み飛ばしてしまう場合は、読んでいる行を意識できるように、定規などを使って、余分な行を隠してしまうのも手段です。行の一番下の文字まで読んだら、次の1行が見えるように定規をずらす、また1行読み終わったら次の1行を…といったように繰り返して行きます。
気をつけて欲しい、”2次障害”とは?
冒頭でもお話ししましたが、学習障害の大きな特徴として、普段のコミュニケーションや文字を介さない学習は、周りの子と同じように習得することができるにもかかわらず、”文字を使った学習”になると途端に難しさを感じることが一般的です。
学習障害を持つ人は、「口で説明してくれればわかるのに、文章にされると意味がわからなくなってしまう」「文章で書くことはできないけど、口頭で説明することができるのに」と、特定の能力に対するコンプレックスを抱きやすく、また、「こんな簡単なこともできないの?」と心ない言葉から傷つき、劣等感を持つことがあります。
この傷つきや劣等感が強くなりすぎると、明るかったはずの子が少しずつ塞ぎ込み、抑うつ傾向に陥る…といった、2次障害に苦しむことも少なくありません。
この2次障害を防ぐためには、まずは周りの大人が学習障害に理解を示し、苦手な能力を得意な能力で補えるように工夫することが大切です。また、”これもできない”、”あれもできない”ではなく、”こうすればできる!!”とポジティブな経験に変換できるように、学習障害を持つ人を支えることが大変重要になります。
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学習障害と上手く付き合っていく
多くの学習障害は、学齢期以降に気づかれるので、いわゆる”普通の子”として育ててきたのに(育ってきたのに)、まさか、障害があったなんて…と驚き、動揺し、戸惑ってしまうと思います。
2012年に行われた全国調査では、学習障害を含む発達障害の可能性がある児童生徒は全体の6.5%存在すると言われています。つまり、クラスに少なくても1〜2人いる計算になります。
学習障害を含む発達障害は決して珍しいものではないので、困難さを持ちながらも上手く付き合いながら学校生活を送っている人がたくさんいます。
※この調査は普通学級に通う生徒を対象としているため、特別支援学級や特別支援学校に通う生徒は除外されています。実際に発達障害を持つ生徒はもっと多いと予測されます。
学習障害を感知するのは難しいですが、上手く付き合っていく方法はたくさんあります。学習障害を持つ人が健やかに、幸せに暮らしていくためには、まずは身近な大人の理解が必要不可欠です。もし、”あれ、学習障害かも?”と少しでも違和感を感じたのであれば、お近くの専門機関や学校のカウンセラーさんなどにご相談ください。
できるだけ早めに相談して、対応法を身につけることで、学習障害があっても他の人と変わりなく生活していくことができるようになります。