基本的に学力はいっぱい勉強すれば伸び、あまり勉強をしなければ伸びないものです。
しかし、同じように勉強していても、あの人は伸びているけどこの人は伸びていないなど、個人差というものは生まれます。
今回はそんな個人差の中でも、家庭環境が学力にどのような影響をもたらし、学力を変化させるのかをマナビバが解説していきます。
家庭環境は学力に影響するの?
家庭環境は学力に影響します。しかし、行動遺伝学の知見によると、学力の遺伝的要因は65〜70%ほどでかなり大きいとされており、環境の影響は残りの30〜35%だとされているため、遺伝的要因ほど大きくはないといわれています。
とはいえ、3割以上は環境が学力に影響するのですから、決してその影響は小さくありません。
それでは、どんな環境的要因が学力に影響するのか見ていきましょう。
保護者の子どもへの働きかけと子どもの学力の関係
次の表のA層は子供を学力で4等分したときの一番上のグループで、D層は一番下のグループを指します。
この表から、家に本がたくさんあることは国語・算数ともに大きな関係があることがわかります。他にも、ニュース等について子供と話すことや、外国の言葉や文化に触れる機会を作ることが重要であることも読み取れます。
また、学力の高い子よりも学力の低い子の方が「勉強しなさい」と言われることが多いのがわかります。これについては、学力が高い子は勉強の心配がいらず、言われていないだけとも考えられるので、一概に「勉強しなさい」と言うのが悪いことだとこの表から断言できるわけではないことに注意してください。
他にも、全体からすると数は少ないですが、博物館や美術館のような施設に連れて行くことも大きな差がある部分です。
保護者の普段の行動と子どもの学力の関係
こちらでも、本を読む姿勢を子供に見せることが重要なことがわかります。
また、保護者がニュース番組を見る方が学力が高くなり、バラエティ番組などを見ていると学力が低くなりがちなことも見て取れます。
こちらも数は少ないですが、美術館やクラシック音楽のコンサートなど、芸術に関することは大きな差が生まれています。
家庭での子どもの時間の過ごし方と学力の関係
この表から、勉強する時間が多ければ多いほど学力が高くなり、テレビやゲームに時間を使えば使うほど学力が低くなる傾向が見て取れます。
しかし、パソコンの利用に関しては異なる傾向が見られます。これはパソコンで何を見ているのか、しているのかで差がつき、時間だけで測るのが難しいからだと思われます。
家庭での子どもの生活習慣・行動と学力の関係
子供の生活習慣や行動との関係でも、本を読むことは大きな差を生む要因となっています。
他にも、持ち物を前日に確かめることや規則正しい睡眠などの生活習慣も、高学力層と低学力層で大きな差があります。
ニュースを読むことや調べものをするという点も差がつく要素となっており、保護者がしているかどうかと同様の傾向があることがわかります。
家庭での環境・生活と子どもの学力-ベネッセ教育総合研究所
参照元
どんな家庭環境なら学力は上がるの?
ここまで家庭環境と学力の関係を見てきましたが、それではどんな家庭環境を作れば学力が上がるのでしょうか。
基本となるのは、子供が自主的に学びたいと思えるような環境を作ること、そして子供を学びから遠ざけてしまうものは少し制限を加えるということです。
次は、これまでのデータを元に学力の上がる家庭環境について見ていきましょう。
家に本がたくさんある
家に本がたくさんあり、保護者が小さな頃に読み聞かせをすることや、本を読む姿を見せることで子供も本を読むことに興味を持ちやすい環境を作ることができます。
子供が本を読むことは学力に大きく影響を及ぼすため、子供が本を読むという環境を作り上げることが重要なのです。
もっとも、読書好きな保護者が自分の趣味だけで本を集めてしまうと、子供が読める本がなくなってしまうこともあるので、子供の年代に合わせてある程度読んでほしい本を用意しておく必要があります。
小さい頃から読書を続けていれば、小学校の高学年くらいで古い文学作品などを除けば、大体の小説は読めるようになっているはずです。
新聞やテレビのニュースをよく見る
家庭で見るテレビ番組などは、子供に大きな影響を与えます。日頃からニュース番組をかけ、そのニュースについて会話するだけでも、その会話を聞いた子供はなんとなく世の中のことがわかるようになっていきます。
そうすると、自然と世の中のこと、身の回りのことに興味を持つようになり、調べる癖がつくでしょう。
この自ら気になったことを調べるというのは、学ぶという行為において極めて重要で、学力にも影響してきます。
しかし、バラエティ番組ばかり見ていると、子供もそちらにしか興味を持たず、こういった面から知的好奇心を刺激するということは難しくなります。
バラエティ番組を見ているから学力が低くなるというわけではないですが、複数の番組を同時に見るというのは難しく、バラエティとニュースの両方をしっかり見ていてはテレビの見過ぎになります。結果として、バラエティ番組に時間を使いすぎて、学力が上がるような環境を整えるのが難しくなるのです。
ゲームや動画などの時間はしっかり決めて、規則正しい生活をする
睡眠不足は集中力や記憶力を低下させる要因です。そんな状態では、学校の授業を受けても集中できずに理解ができなかったり、受けたはずの授業内容がなかなか覚えられなくなります。そうすると、当然学力は伸びなくなってしまいます。
夜なかなか寝付けなくなる原因となりがちなのは、ゲームやスマートフォン、テレビです。
ゲームは楽しんでいると気がつけば数時間経過しているということも珍しくありませんし、スマートフォンはYouTubeなどの動画サイト、インスタグラムなどのSNSにアクセスでき、そうしたものを見ているだけで時間はあっという間に過ぎます。テレビも夜遅い時間の番組にハマってしまうと、その時間は起きていようとなってしまいます。
こういったものを全て禁止する必要まではありませんが、ある程度は制限しないと楽しいのでいつまでもやめられなくなってしまいます。夜◯時以降は禁止や、1日◯時間までなどのルールは決めておきましょう。
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外国語や外国文化に触れたり、博物館に行くなど学校の勉強以外で知的好奇心を刺激する
これも本を読んだり、ニュースを見たりするのと同様、子供に様々なことに興味を持ってもらうことの一環ですが、こちらは保護者が家庭内だけでどうにかするのは難しいものです。
しかし、いきなり英会話に連れて行ったり、興味もないのに博物館に連れて行っても子供は楽しめず、興味を持つどころか敬遠してしまうことでしょう。
そのため、事前に本を読んだり、動画を見ることで子供に興味を持たせることが重要となり、そこは家庭の領分となります。
まとめ
今回は家庭環境による学力への影響について見ていきましたが、いかがだったでしょうか。
家庭環境は子供に大きな影響を与えるため、できれば子供にとって良い家庭環境を整えたいと思ったはずです。
しかし、ここで挙げられていることは、お金や時間がかかるのも事実で、全て叶えるのは難しいと思った人もいるのではないでしょうか。
本をたくさん買うお金や場所がない、共働きで面倒を見切れず一人の時間にゲームをさせがち、英会話などの習い事に連れて行けない、などなど感じたことは様々あるでしょう。
ですが、大切なことはここに挙げた条件を全てクリアすることではなく、子供のために環境を整えてあげようとすることです。
勉強しろと押し付けるのは良くありませんが、ある程度勉強するのが当たり前という環境を普段から作る努力をしていきましょう。