子どもが何度注意しても言うことをを聞かないと悩んでいる親御さんは多いかと思います。
小さい頃であれば、どんなに注意しても走り回るのをやめない、お店のお菓子売り場で床に寝転んで買うまで駄々をこねる。大きくなれば、将来を思ってこうした方がいいとアドバイスをしているのに全然聞いてくれない。
そんな風に子どもが言うことを聞いてくれない状態では、親も疲れきってしまいます。
ですから、子どもがどうして親の言うことを聞かないのかを理解して、どう行動すれば良いかを知っておくのが重要なのです。
今回は、子どもが親の言うことを聞かない原因とその対処法、日頃気をつけるべき子供への接し方についてマナビバが解説していきます。
子どもが親の言うことを聞かない原因とは?
子どもが親の言うことを聞かないのには、はっきりとした原因があります。そして、その原因は子どもが具体的に自分の言葉で説明できるものではありません。
子どもが親の言うことを聞かない原因は、大人になるために経なければならない過程の一部だからです。
しかし、子どもの成長段階により、親の言うことを聞かない原因も変わっていきます。
ここでは子どもが親の言うことを聞かない原因を、自我が芽生える1歳半~高校生までに分けて見ていきましょう。
2歳前後
2歳前後の子どもが親の言うことを聞かなくなるのは、イヤイヤ期に入るからです。
2歳前後がピークだと言われるイヤイヤ期は、自己主張が激しくなることで始まる第一次反抗期を指します。
イヤイヤ期に入ると、何でも自分が思うようにやりたいと思うようになり、子どもは親の言うことを聞かなくなるのです。
子どもの自己主張を受け止めることが自立に繋がるので、主張を受け止めて自立を手助けしてあげましょう。
4歳〜6歳
4歳〜6歳の子どもが親の言うことを聞かなくなるのは、判断力や思考力が高まり、自分で考えて行動したいという自立心が生じるためです。1歳半~3歳のイヤイヤ期とは違い、4歳〜6歳になると親の言うことに対して言葉で反抗することもあります。
4歳〜6歳の子どもに言うことを聞いてもらうには、自立心を認め、子どもの成長を褒めることです。その後に、追加で「これもできるよね」とお願いすると、言うことを聞いてもらいやすくなります。
小学校低学年〜中学年
小学校低学年〜中学年の子どもが親の言うことを聞かなくなるのは、中間反抗期に入るからです。
中間反抗期に入ると、自分の価値観というものが形成されてくるので、親の言うことに対して、自分はこうしたいんだという思いが強くなり、それをぶつけたくなるのです。
中間反抗期の子どもには、子どもの話にも耳を傾けながら、お願いする形で聞いてほしいことを伝えるのが有効です。しかし、ダメなことはダメとしっかり伝える必要がある時期でもあります。
小学校高学年
小学校高学年になると、学校などの社会集団での自分の立場や他者との関係性に迷う機会が多くなります。
そして、人間関係の中で友達の比重が大きくなり、友達付き合いと親の言うことを比べて、親の言うことを聞かなくなっていくのです。
こうして親離れが始まり、親の言うことを聞かなくなります。
この時期は、家庭以外でのコミュニティが広がり、そこで様々な挑戦をするものの失敗をしたり、友達と比較して自信をなくしたりすることもあります
そういった経験から、子どもの心が大きく揺れ動きやすい時期であるといえます。
小学校高学年の子どもには、言うことをきかせようとするのではなく、不安や悩みを汲み取り、子どもと向き合いながら成長を後押ししてあげることが重要です。
中学生
小学校高学年から始まりますが、中学生で本格化するのが思春期です。これは第二次反抗期と呼ばれたりもします。
思春期は、第二次性徴を迎え体の変化が大きく起こることから、心とのバランスが取りにくくなる時期です。
また、そういった時期に中学生になってしまうことで、部活などの先輩後輩という上下関係に悩み、環境が変わることで思い通りにならないことにストレスを感じるなど、様々な悩みを抱えるようになるのです。
思春期は難しい時期ですが、大切な成長段階の一つなので、親としても子離れの時期だと受け入れ、しっかり見守ってあげましょう。
高校生
高校生が親の言うことを聞かないのは、中学生からの思春期の続きです。
小学校高学年から中学生あたりで迎えるのが思春期初期と呼ばれるのに対し、高校生あたりで迎えるのが思春期中期です。
この頃になると体の成長はもう大体終わっている人が多く、アイデンティティに悩むことで心を成長させていきます。
高校でも部活などで先輩後輩の縦社会があり、そこで悩む人は多いでしょう。しかし、一番問題になることが多いのは性の問題です。
この頃には、自認する性に由来する特徴を受け入れ、指向する性の対象を受け入れる準備ができます。
大人である親からすると、責任を取れない高校生の付き合い方には口を出したくなりますが、子どもからすると邪魔をされたくないと強く思うところでもあります。
身体的には大人に近づき、精神的にも成長を実感して大人になろうとしている高校生なので、親が大人として子どもを守ろうとすればするほど、反感を持たれることが多いです。
反抗期で悩んでいる場合、一度距離をとってみることを検討するのもいいかもしれません。
子どもが親の言うことを聞くようにするための対処法は?
子どもが親の言うことを聞かない原因は以上になります。
しかし、原因がわかっても、いざ子育てをしていて言うことを聞かないとき、どう対処すればいいのかわからず困ってしまいますよね。
ここでは、そんな時に有効な対処法について見ていきましょう。
信頼関係を構築する
親子といっても、言ってしまえば他人。親でも子どものことを完璧に理解することはできませんし、子どもからしても親が考えていることなんてわかりません。
だからこそ、信頼関係を構築することが重要なのです。
友人関係や夫婦関係、仕事仲間とのコミュニケーション。いずれにしても、信頼関係を構築することから始まったはずです。これは、人間関係というのは、どんなものにせよ信頼関係が基本となるからですよね。
信頼できる相手にならどんなことでも相談できますし、大事なことでも任せることができます。
これは親子でも同じことです。信頼関係を構築できていれば、子どもは親の言うことを聞いてくれるようになりますし悩みを抱えても相談してくれるようになります。
何か行動をする前に、「お母さん・お父さんが嫌がるからやめておこう」と自ら踏み止まることもあります。
子どもの話に耳を傾ける
子どもが親の言うことを聞いてくれないと悩んでいるかもしれませんが、自分が先に子どもの言うことを聞いていなかったりしませんか?
自分としては、子どもの話を聞いていないつもりはないのかもしれません。
家事の途中で色々言われて、処理しきれずちゃんと聞かずに流してしまった。仕事で疲れて子どもの話をしっかり聞くどころではなかった。まだ小さすぎて言っていることが理解できない等々。
色々理由はあるでしょうが、子どもからすれば全て言うことを聞いてくれていないということになるのです。
親も毎日タスクが多くて大変ですが、可能な限りで子どもの話に耳を傾けましょう。
社会では傾聴することが基本でありながら重要なスキルとされているのと同じです。
子どもに対しても、しっかり話を聞いている姿勢を見せることが重要なのです。話を聞いてもらえると子どもが感じれば、それが信頼につながり、子どもも親の言うことを聞くようになるのです。
これはまだ十分に会話ができない小さな子でも同じです。会話ができなくても、子どもの感情表現をしっかり受け止めてあげれば、子どもは安心し、きちんと聞いてもらえたと満足します。
すると、小さな子どもでも、親の言うことを聞こうという姿勢を見せるようになります。
子どもの態度から気持ちを考えてあげる
子どもは自分の気持ちや意見はあっても、それを言葉でうまく表現できないということが多々あります。
そんな時は、なぜ子どもが何も言わないのか、言えないのかをよく考えてあげましょう。
その上で、親が子どもの気持ちを汲み取って言語化してあげることが大切です。
また、言語化するときは、「どう思ってるの」のようなざっくりとした質問で終わるのではなく、何かと比較してみましょう。
そうすると、会話がつながりやすく、子どもの話を聞きやすくなります。
子どもが言うことを聞かなくなる親の接し方とは?
子どもが親の言うこと聞くようにするためには、話をよく聞いて、気持ちに寄り添って、親子で信頼関係を構築することが必要でした。
しかし、親としてはそれを叶えようとしているつもりでも、子どもからすれば全然的外れということもあります。
ここでは、注意すべき子どもが言うことを聞かなくなるような親の接し方について見ていきます。
親が約束を破る
子どもが親の言うことを聞くための基本は、信頼関係の構築でした。
上述した、「家事の途中で色々言われて、処理しきれずちゃんと聞かずに流してしまった」「仕事で疲れて子どもの話をしっかり聞くどころではなかった」と言う場合に、その場を収めるために「また後でね」などと言っていませんか? そんなことを言った時は、本当に後で時間をとっていますか?
こういった親からすれば些細なことからでも、子どもは無視されたと酷く傷つき、信頼関係を損ないます。そして、こういう状況が積み重なると子どもはもう親のことを信頼できなくなってしまいます。
もし、子どもとの約束を守ってあげられなかった場合は、理由と一緒にちゃんと子どもに謝りましょう。
また、あらかじめ約束していたのに、子どもが駄々をこねたからと子どもの言うことをなあなあで受け入れていませんか?
これも、駄々をこねれば約束してても関係ないと子どもが考えるようになってしまい、言うことを聞かなくなる接し方の例といえます。悪くいえば子どもに舐められているので、そこに信頼関係はなく、子どもは言うことなんて聞かなくても、騒げばいいんだと間違った認識をしてしまうのです。
親の言うことがコロコロ変わる
前は好き嫌いをしたらダメだと言っていたのに、今日は嫌いなものを残していいと許してくれた。それなのに今度はまた好き嫌いはダメだと言われた。
こういったことが続くと、子どもは親の言うことの何を守ればいいのか分からなくなりますし、言うことがコロコロ変わるせいで何を信じればいいのかもわからなくなります。
当然、こんな態度では信頼関係は構築できないので、子どもは言うことを聞かなくなります。
親もできていないことを子どもにやらせる
子は親の鏡という言葉があります。子どもは普段の親の生活を見て学び、成長していきます。
しかし、親としては自分を反面教師にして成長してほしいという思いから、色々注意したくなることもあるでしょう。
そして、親が言ったことを子どもができていなかったら、「なぜやっていないんだ」と叱ることになります。
ですが、子どもからすれば親は立派な大人で、反面教師にしようなどとは思わないので、ただただ親もできていないことを強要されるのはストレスになります。
そして、いい大人の親がやっていないんだからいいだろうと、結局はやらなくなってしまいます。
まずは親自身が自分の行動を見直してみることが大切です。
理由を言わずに子どものすることを禁止する
理由も言わずただ禁止しても、子どもは何も学びません。理由がわからないというのは、子どもからすれば、ただ親の理不尽を聞くか聞かないかという話になってしまいます。
歩道を走り回る子どもに対し、ただダメだと叱るのではなく、「人にぶつかるかもしれない」「道路に飛び出して、車にはねられるかもしれない」のように、理由とともに伝えないと素直には聞いてくれません。
暴力に訴える
暴力がダメだというのは当然のことだと思われるかもしれません。
しかし、ここでいう暴力には叩く・蹴るのような直接的な暴力だけではなく、言葉の暴力も含みます。
また、言葉の暴力も「バカ」「死ね」のような人格を否定するような言葉だけではなく、脅すような言い回しも含みます。
これは意識していないと、やってしまいがちなものです。
「悪いことしたらお化けに襲われるよ」「言うこと聞かないとおやつ抜きね」などと脅すのは、一時的には言うことを聞くようになります。
しかし、子どもは脅されると、それは嫌だということだけが記憶に残り、それをしてはいけない理由は忘れてしまいます。そのため、ただ理由も言わずに禁止されるのと同様、理不尽だという想いだけが残るのです。
まとめ
子どもが親の言うことを聞かない原因とその対処法、日頃気をつけるべき子供への接し方について見てきましたが、いかがだったでしょうか。
子どもが親の言うことを聞かないのには原因があり、その原因は成長するにつれて変化します。
親も一人の人間ですから、子どもが言うことを聞かなければ、腹が立つこともあるでしょう。
しかし、これも子どもの成長過程なのだと理解し、今この子は成長していっているんだと肯定的に考えるようにしましょう。
とはいえ、言うことを聞かない子どもに疲れてしまうこともあるはずです。時には、子どもと離れる時間を作ってリフレッシュしてみるのもオススメです。