今回は大学受験において、塾に行かないとどういったメリット・デメリットがあるのかについて解説していきたいと思います。大学受験は必要な勉強量が多く、塾に行く・行かないで勉強のスタイルも生活習慣も変わってきます。塾に行くべきか、行かないか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
大学受験のために塾には行くべきなのか
結論からいうと、大学受験を真剣に考えているのであれば塾には行くべきです。
高校生の通塾率は40%弱といわれていますが、難関といわれる旧帝大合格者の通塾率は約60%といわれています(文部科学省「平成30年子供の学習費調査」、東進「国公立大学受験者2000人アンケート調査報告」)。
この差は高いレベルを目指すのであれば、塾に通う必要があるとみんなが考えているから生じるものですが、なぜ塾に通う必要があると考えるのでしょうか。塾に行かないメリット・デメリットを見ながら考えていきたいと思います。
塾に行かないメリット
塾の授業に縛られない
塾に通っていると、塾のカリキュラムがあり、授業を無駄にしないためにも、塾のやり方に沿った勉強をしなければならなくなります。やりたいことがあっても、その勉強に使える時間が減ってしまうのです。しかし、塾に通っていなければ、全て自分で計画し、計画通りに行かなくても修正を加えながら勉強を進めることができます。
移動時間など時間のロスがない
塾に通っていると、通塾にかかる時間や、塾の休み時間など、どうしても時間のロスが出てきてしまいます。塾に通っていなければ、そういった時間も全て勉強時間に回せるので、勉強時間を増やすことができます。
旧帝大や早慶を目指すのであれば、約4000時間の学習時間が必要だといわれています。この4000時間というのはかなり膨大な時間であり、高校1年生の初めから毎日4時間ずつ勉強してようやく届く時間です。
しかし、多くの人は高校生になったばかりの頃は部活に打ち込んだり、友達と遊んだりでそこまで勉強しません。仮に高校1年生の頃は平日に1時間、土日に2時間ずつ勉強して、高校2年生の頃は平日に1.5時間、土日に3時間勉強したとします。そうすると、高校1年生の間の勉強時間は468時間、高校2年生の間の勉強時間は702時間で、合計1170時間となります。目標は4000時間なので、高校3年生の間に2830時間勉強しなければならず、3月はもう受験が終わっているため11ヶ月でこれだけ勉強するには、週に60時間勉強しなければなりません。これは平日6時間土日15時間勉強するペースです。
1日のスケジュールを想像してみてください。もし塾に通うのに30分以上かけていたら、これだけの勉強時間を確保するのは難しいのではないでしょうか。
お金があまりかからない
塾に通うと、月謝だけでなく長期休暇の講習会などもあり、年間50〜100万円程度かかることも珍しくありません。しかし、塾に通わなければかかる費用は参考書代ぐらいで、数万円あれば足ります。
思考力が身につく
塾に通わない場合、わからない問題があっても自分で理解しないといけないため、解説を読んで理解できるまで考える必要があります。その結果、なぜこうなるのかを考える習慣がつき、思考力がついていくのです。
塾に行かないデメリット
勉強をサボりがちになる
塾などの第三者が勉強をしているか見てくれるわけではないので、勉強をサボっても何か言われるということがありません。そのため、強い意志がなければなかなか勉強を続けられず、多くの人は合格に必要な勉強時間を確保できなくなります。
塾に行っていれば、塾の授業+宿題で必ず勉強する必要があり、しっかりこなせば勉強時間を確保することができます。
わからない時相談できる相手がいなくなる
今時の大学受験対策用の問題集はわかりやすく解説が書いてありますが、それでも解説を読むだけで全ての問題を理解できる人は多くありません。元々勉強が苦手であれば、丁寧な解説でもよくわからないこともありますし、高学力の人でも難問を解いていれば解説だけでは理解しきれない問題というのは出てくるものです。
塾に行っていれば、塾の先生にわからない問題の質問をすることができますが、塾に行かない場合、質問できる相手がいなくなってしまうことがあります。周りの友達や学校の先生がいつでも質問に答えられる時間があるわけではないでしょう。いつでも質問できる相手がいる環境があるということが重要なのです。
学習計画を全て自分で決めなければならなくなる
受験に必要な科目、重要な分野、それらの勉強にかかる時間の見通しなどがわからなければ学習計画は上手く立てられません。そのため、自力で立てた計画は消化しきれないことが多く、受験本番までに必要な演習が終わらなかったなんてことが起きるのです。
しかし、塾は受験勉強のプロであり、先々まで見通して、必要な力をつけるためにカリキュラムを組んでいます。自分できちんとした学習計画を立てられるか不安な人は、プロに頼った方が良いでしょう。
勉強場所が減る
自宅でいつでも集中して勉強できる人には問題はありませんが、自宅ではなかなか勉強に集中できないという人も多いかと思います。そんな人は塾に行かない場合、ファーストフード店やカフェなど外で勉強場所を見つける必要がありますが、お客さんの数によっては勉強できないこともあります。
しかし、自習室等のある塾であれば、塾に行けば勉強場所を確保できます。塾の授業目的以外にも、勉強場所を確保するために塾に行くという選択もよいかもしれません。
受験のポイントなどがわからなくなる
参考書や問題集で勉強を進めていると、目標点からするとどこまで勉強をする必要があるのか、逆にどこからは必要がないのかなどの区別がつけづらいことがあります。そのため、全体を満遍なく勉強した結果、重要なところを深掘りしきれず、抜けができてしまうことがあります。
受験情報の収集が難しくなる
中学受験や高校受験は基本的には地元の学校の中から最適なもの、そうでなければ寮などが充実しているところから選んでいきますが、大学受験は基本的に全国が舞台の戦いです。
そのため、進路選択のために必要な受験情報も膨大な量になり、受験勉強と並行してそれらを調べ上げるのはかなり大変です。
そんなとき、塾に通っていれば自分よりも受験に詳しい専門家から、様々な情報を提供してもらうことができます。
まとめ
塾に行かないメリット、デメリットについて見ていきましたが、いかがだったでしょうか。塾に行かないメリットを享受できるのは、自制心があり、学習計画を自分で立てられ、できなかったところも解説を読めば理解できる力のある人だけであるということができます。
学校に自習スペースがあったり、学校の先生がいつも質問に答えてくれるなどの環境が整っていれば、塾なしでも十分なサポートを受けられますが、多くの人はそういう環境にないでしょう。
だからこそ、勉強が苦手な子はわかりやすい解説のため、高学力の子も疑問の解消やさらにハイレベルな指導を求めて塾に通うという選択をするのです。
塾に行かないメリット・デメリットのどちらの方が大きいか一度よく考え、デメリットの方が大きいと感じるのであれば塾に行くことを視野に入れてみてください。