小学生になると、より長い時間親元を離れ学校で過ごすことになります。担任の先生と顔を合わせて話す機会も少ないため、学校の中での子どもの様子が分からず、「これってどうなの?」と不満に感じたり、「もっとこうしてほしい。」という要望をもったりするご家庭も多いでしょう。
このようなことを感じた場合に、「学校に言ってもいいのか。」「面倒くさい親だと思われたくない。」と悩む方もいると思います。今回は、不満や要望の言い方や、伝える内容について解説していきます。
クレームで損しないために考えたいことは?
クレームは基本的には伝えた方が良いです。なぜなら学校の先生方はすべてのことを把握することが難しいからです。
先生方は、大抵一人で多くのことを抱えて指導しています。また、学校自体も限られた職員で運営しており、どちらかというと人員的に不足しており、マンパワーが足りません。ですから、行き届かない部分は当然生まれてきます。
しかし、「要望」と「わがまま」は紙一重です。「わがまま」だと思われないように、まず、不満や要望を抱いたら、以下のようにその内容について客観的に見直しましょう。
- その要望は現実的に可能かどうか?
- 他の人も同じように感じているかどうか?
思ったことをそのまま伝えるのは危険です。例えば、現実的に不可能なお願いをしたら、「非常識」「自分のことしか考えていない」というように思われます。
ただのわがままなのかどうかを確認するためには、他の保護者の方に「こう思ってるんだけど…。」「うちの子はこう言っているんだけど…。」と相談してみましょう。他の人もそう感じている場合は、改善すべきことですし、立派な「要望」です。
学校への不満は誰に伝えたらいい?
では、不満や要望は誰に伝えるべきなのでしょうか?基本的には、以下の順番で伝えるとよいです。
- 担任の先生
- 他の先生
- 教頭や校長などの管理職
- 教育委員会
まずは、担任の先生に伝えるようにしましょう。要望や不満は最終的に本人の耳に届きます。いきなり他の人に伝えると、「何で言ってくれなかったのだろう…。」と不信感を抱かれる恐れがあります。学校側や先生も理由があったり、説明してくれたりする場合があります。
また、教頭・校長が全ての学級のこと、全ての児童のことを事細かに把握していることはありません。ですから、結局は担任の先生に事情を聞き、それを保護者の方に伝えるという流れになります。二度手間になりますし、人を介すことで、話が正確に伝わらなくなる恐れもあります。
担任の先生に言っても改善しない場合は、同じ学年の先生や教頭・校長など管理職の先生に相談するのがよいでしょう。
教育委員会に相談しても、結局はその内容が学校に伝えられます。先ほどと同様に、「何で言ってくれなかったのだろう…。」と学校側が不信感を抱く可能性があるので、教育委員会に言う前に、学校に相談するようにしましょう。
子どものために伝えたい要望!
先ほどもお話ししましたが、子どもの学校生活をよりよくするための要望は伝えた方がよいです。以下のような内容は積極的に伝えるようにしましょう。
自分の子どもに関する困り
担任の先生が全ての子を100%理解するというのは、難しいのが現状です。ですから、学校での様子と家庭での様子の情報交換をするという点において、自分の子どもに関する困りや悩みは積極的に伝えていいと言えるでしょう。
【例】
- 勉強についていけていないので、学校での様子を教えてほしい。
- 勉強についていけていないのだが、家庭でとんなことをしたらよいか。
- 勉強についていけていないのだが、個別に関わることはできるのか?学校でできることはあるのか?
- 家で落ち着きがないのだが、学校ではどんな様子か?
- 学校に行きたくないと言っているが、学校で何か変わったことはあったか?
- 学校に行きたくないと言っているが、どのように対応したらいいのか?
- 〇〇という病気があるので、体育の際には、気を付けて見てほしい。
- 人前で話をするのがどうしてもできないので、できない時はフォローしてほしい。
担任の先生が変わる時には、基本的に前の学級担任と引き継ぎを行い、一人一人の性格や行動の特徴、学力などを把握します。
しかし、実際に対面してみないと分からないこともありますし、子どもの特徴も年齢によって変わっていくこともあります。また、家庭での様子と学校の様子も違うことがあります。
このような時に、学校と協力して問題を解決するため、家庭の状況をお知らせし、家庭でできることと学校でできることを明確にするとよいでしょう。
学校で起こったトラブル
学校では、休み時間など、先生がいない時間もあります。この時に起こったトラブルは先生が知ることは難しいでしょう。先生に言えなかったという子どもも少なくありません。このような場合は学校に伝えて話を聞いてもらいましょう。
【例】
- 休み時間に〇〇君とケンカをしたと言っているので、話を聞いてほしい。
- 〇〇君に嫌がらせをされて困っているみたいなので、様子を見てほしい。
学校で起こったトラブルは基本的には学校が責任を持たなければなりません。担任の先生は安心して楽しく過ごせるクラスを作る必要があります。担任の先生にとっても、クラス内でのいざこざやいじめ、嫌がらせは無くしたいと思っています。気づいたことはすぐに伝えるようにしましょう。
学校やクラスの中でのルールがある場合もありますし、このトラブルをもとに決まりが作られる場合もあります。クラスがよりよい集団になったら、お子さんも学校に楽しく通えますよね。これからのトラブルを未然に防ぐという点においても、学校のトラブルは学校に聞いてもらうことがいいでしょう。
先生の言葉遣いや行動について
子どもにとって、学校の先生は、一番身近な大人です。学校の先生の言うことや行動は子どもに大きな影響を与えるでしょう。そのため、誤った言葉遣いやや行動があればすぐに正すべきです。
【例】
- 不適切な発言(差別、偏見、暴力的な表現、性的な表現)
- 子どものことを考えていない発言(やる気を下げる、ショックを受ける、傷つく内容)
- 仕事をしていない(スマホをいじってばかりいる。教室にいない。授業が進まない。)
- 子どもに向き合っていない(話を聞いてくれない。適当に済ます。)
- 社会人として不適切(挨拶をしない。身だしなみが整っていない。)
学校内でも先生の行動は教室の中でそのほとんどが行われていますので、第三者の大人がいることは少ないです。どうしても、閉鎖的にならざるを得ない環境に教師は置かれていますから、自分の行為が時として身勝手なものになってしまうこともあります。
子どもから学校の話を聞いて、「こんな言動して大丈夫?」と心配に思ったら、学校に相談するようにしましょう。
学校から嫌がられるクレームとは?
何でも学校に言っていいというわけではありません。伝える内容によっては、「面倒くさい保護者」と思われたり、「非常識な人」と思われたりすることもあります。言わない方が良い内容について確認していきましょう。
先生に丸投げにする。
「学校でなんとかしてもらえますか?」、「~と言っているので、学校で話を聞いておいてください。」というように、学校に丸投げするのはよくありません。その子の教育の責任は基本的にはそれぞれの家庭にあります。
「家庭ではこのようにしている。」、「家庭ではこのように言っていた。」というように、家庭ではやれるだけのことをやったが、できないことや分からないこともあるので、学校でも協力してほしいというスタンスで話をするようにしましょう。
無理な要望や一方的な要望。
「自分の子だけ特別に~してほしい。」というのは、特別な事情がない限りわがままです。
【例】
- 「話すのが苦手なので、自分の子だけ自己紹介や発表をなしにしてほしい。」
- 「打たれ弱いので、自分の子には注意したり怒ったりしないでほしい。」
- 「勉強が苦手なので、休み時間に個別で教えてほしい。」
- 「仕事の都合で、早く家を出すので、登校時間前に教室に入れてほしい。」
正しい教育をするにあたって、乗り越えなければならないことや、鍛えなければいけないことはたくさんあります。病気や障がいなどの特別な事情がない限り、一人だけ別の対応をするというのは、ただのわがままです。
学校は集団指導が基本ですし、学校で行われることは意味のある教育活動です。子どもの成長の機会を奪ってしまうことは「子どものことを考えている。」とは言えません。
また、担任の先生も、クラス全員を見る義務がありますし、他の業務もあります。全員に平等にできないことは基本的にはお願いすべきではありません。
放課後のトラブル
放課後の生活については、学校は関与していません。スマートフォンやお金、ゲームの関係で起こったトラブルなどは、基本的には当該家庭のみで解決すべきでしょう。
学校内でのトラブルと違って、担任は事情を知りませんし、学校で話を聞く時間はありません。その分他の子どもたちの時間を奪ってしまうことになります。
しかし、そのようなトラブルがあったことを担任の先生が知っておくことで、学校内での様子を見てもらうことができますし、お金やスマートフォンの使い方について帰りの会などで周知してもらい、トラブルを未然に防ぐこともできます。報告をすることは、むしろ良いことでしょう。
まとめ
学校の先生との関係性が悪くなってしまうと、子どもも学校で過ごしにくくなります。不満や要望は子どもの成長のため、子どもがよりよい学校生活を送るために行うということを意識して伝えるようにしたいですね。
また、担任の先生は一人で30人前後の児童を見ています。先生の大変さを理解しているという配慮の気持ちを表すことも重要です。
感情的になって、激高することは、何も生みだしません。子どものために言っているのですから、これからよりよくなるよう、前向きな話をすることが大切です。伝える目的を振り返って、正しく伝えられるよう心がけましょう。