新学期の身体測定の結果を受けて、「大きくなったなあ。」と成長を感じているご家庭も多いでしょう。一方で、小学生の平均体重はいくつなのか、肥満や痩せすぎの傾向にあるのかどうか気になっているご家庭も多いと思います。今回は、小学生の理想の体重と、適正体重にするにはどうしたらよいかを解説していきます。
小学生の平均体重は?
文部科学省から令和3年7月28日に発表された「令和2年度学校保健統計調査」によると、小学生の平均体重は次のような結果となっています。男女別、年齢別の平均体重や推移についてみてみましょう。
令和2年度の年代別平均体重は男女ともに全年代で増加しています。
特に小学生では、11歳が男女ともに過去最高値を更新しており、小学生の体重が増加傾向にあることがわかる結果です。ただ一方で11歳は平均身長も過去最高値を更新しているため、全体的に小学生の体格が大きくなっていることが分かります。
自分の子の体重を比べる際には、最新のデータで比較するようにしましょう。
小学生男子の平均体重
令和2年 | 令和元年 | 平成30年 | |
6歳(1年生) | 21.5kg | 20.9kg | 20.9kg |
7歳(2年生) | 24.3kg | 23.5kg | 23.5kg |
8歳(3年生) | 27.4kg | 26.5kg | 26.5kg |
9歳(4年生) | 31.1kg | 30.0kg | 30.0kg |
10歳(5年生) | 35.4kg | 34.2kg | 34.1kg |
11歳(6年生) | 40.3kg | 39.0kg | 39.1kg |
小学生女子の平均体重
令和2年 | 令和元年 | 平成30年 | |
6歳(1年生) | 21.5kg | 20.9kg | 20.9kg |
7歳(2年生) | 24.3kg | 23.5kg | 23.5kg |
8歳(3年生) | 27.4kg | 26.5kg | 26.5kg |
9歳(4年生) | 31.1kg | 30.0kg | 30.0kg |
10歳(5年生) | 35.4kg | 34.2kg | 34.1kg |
11歳(6年生) | 40.3kg | 39.0kg | 39.1kg |
肥満や痩せすぎはどうしたら分かるの?
肥満や痩せすぎを判断する指標としてBMIというのが有名です。一度は耳にしたことがある人もいるでしょう。しかし、BMIは成人の肥満度を計るものです。
小中学生の場合は、以下の計算式で求めることができます。
実測体重(kg)÷身長(m)3×10
指数 | 判定 |
100未満 | 痩せすぎ |
100~115未満 | 痩せている |
115~145未満 | 普通 |
145~160未満 | 太っている |
160以上 | 太りすぎ |
例えば、身長140cm(=1.4m)、40kgの10歳男児を例に肥満度を計算すると次のようになります。
40÷1.43×10=145.77
上の表に当てはめると、「太っている」という判定となります。
肥満のリスクは?
肥満の主な問題点は、生活習慣病と呼ばれる2型糖尿病、脂質異常症、高血圧などの原因となることです。これらは動脈硬化を促進し、将来的に心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクを高めることもあります。
生活習慣病は成人だけではなく、子どもでも見られます。
また、睡眠時無呼吸を起こしたり、膝・腰などにも悪い影響を与えることもあります。肥満の状態を長く続けていることは決してよいことではありません。
子どもの肥満は大人の肥満のもとです。特に年長児の肥満ほど大人の肥満に移行しやすいことがわかっています。
思春期の時期になってしまうと、身長が伸びて体格が形成されてしまうことや、肥満を引き起こす生活習慣が定着してしまうことから、元に戻すことは大変難しいです。
このように、小学生の肥満解消はとても重要であり、できるだけ早いうちに始めたほうが良いと言えます。
肥満を防ぐポイントは?
子どもの肥満のほとんどは単純性肥満と言って、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っていることが原因です。
つまり食事・おやつ・ジュースなどの過剰摂取、食事内容のバランスの悪さ、運動不足などによって起こるものがほとんどです。食事と運動の2つの面を改善することで防ぐことができます。
1970年代以降、食生活やライフスタイルの変化により子どもの肥満が急激に増えました。現在は、増加傾向は止まってきていますが、すでに全体の10%を超える子どもが肥満となっています。
食事
子どもの肥満予防、解消において大切なのが食事です。食事面では摂取エネルギーを見直すようにしましょう。
小学生の1日に必要な摂取カロリーは以下の通りです。
【男子】
活動量が少ない | 標準的な活動量 | 活動量が多い | |
1~2年生 | 1,350kcal | 1,550kcal | 1,700kcal |
3~4年生 | 1,600kcal | 1,800kcal | 2,050kcal |
5~6年生 | 1,950kcal | 2,250kcal | 2,500kcal |
【女子】
活動量が少ない | 標準的な活動量 | 活動量が多い | |
1~2年生 | 1,250kcal | 1,450kcal | 1,650kcal |
3~4年生 | 1,500kcal | 1,700kcal | 1,900kcal |
5~6年生 | 1,750kcal | 2,000kcal | 2,250kcal |
活動量の多い、少ないは以下の基準を参考に判断してください。
活動量が 少ない | 生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合。 →勉強や読書が好きな子ども、絵を描くとか折り紙等の手作業が好きな子どもなど、 学校の休み時間や放課後を室内で過ごすことが多い子ども。 |
標準的な 活動量 | スポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている場合。 →休み時間に運動をしたり、放課後、友達などと外で遊ぶことが多い子ども。 |
活動量が 多い | 1日のうち1時間程度は激しいトレーニングをしている場合。 →放課後に水泳や野球、サッカーなどのスポーツをほぼ毎日しているような子ども。 |
年齢によっては一度にたくさん食べられないため間食で必要なエネルギーを補いますが、食べ過ぎや栄養の偏りを意識するだけで大きな違いが出る場合もあります。
小学3~4年生ころからは1回の食事量も増えて間食の必要性が薄まるので、バランスのよい食事でカロリーコントロールをするとよいでしょう。
特に、小学校低学年頃はついついお菓子をだしにしてしまうことも多いものですが、あげすぎないよう注意することが大切です。
また、小学校中学年以降、特に女児は自発的にダイエットを考えることも増えます。しかし、この時期のダイエットは摂食障害などにつながるリスクもあるため要注意です。
1日に必要な摂取カロリーを大きく上回る場合は、食事量や種類を見直す必要がありますが、上の表とあまり変わらない場合や下回っている場合は、食事量を減らすのはよくありません。必要なエネルギーが不足するのは、成長や学習に悪影響をもたらすからです。
運動
子どもの肥満を予防、解消する上で簡単かつ効果的な方法は運動です。摂取カロリーが多いだけであれば、運動で消費カロリーを増やせば状況は逆転します。
また、運動により筋肉が増えると基礎代謝量も増え、以前と同じような生活習慣でも太りにくい体質に近づくこともできます。
そのために、習い事やスポーツ少年団などをはじめるのもよいでしょうし、散歩や階段の上り下りをするだけでも消費カロリーを増やすことができます。
一緒にウォーキングをしたり、手を繋いで一緒に走ったり親子で一緒に楽しみながら運動するのもよいですね。
なかなか外で体を動かせる場所がない場合もあるので、できる範囲で無理なく体を動かす方法を探してみましょう。
また、現代では、スマートフォンやゲーム機などの普及により、室内で過ごす子どもが増えています。外で遊ぶように促したり、一緒に外に出て運動したりして、運動量を確保しましょう。
やせ過ぎが気になる場合はどうしたらいい?
日常的に運動する機会が多かったり、そもそも食が細かったりすると消費エネルギーが摂取エネルギーを上回って、標準体重を下回ることもあります。
自分の子どもが「痩せすぎなのでは……?」と不安になることもあるでしょう。
線が細いと思っていても第二次性徴を向かえるとしっかりした体格に変わることも多く、肥満に比べてリスクも少ないため、あまり神経質になる必要はありません。
もし肥満度が「痩せすぎ」やそれに近い数値で、食べる量も少ない場合は、体を作るために必要なタンパク質や炭水化物をしっかり取れるメニューを意識したり、あえて間食を増やしたり工夫するとよいでしょう。
量が少ないなら、少ないなりに栄養が偏らないようバランスのよい食事を心がけることが大切です。
気になるご家庭は、1日に必要な摂取カロリーをもとに、食事量や種類を見直してみましょう。
まとめ
体重が増えやすい、増えにくいというのは体質が関係していることも多いです。お家の人が気にしすぎると、子どももストレスをかかえてしまいます。成長期である小学生で最も大切にしたいことは、規則正しい生活と、バランスの良い食事です。肥満度を標準にしたい場合は、これらを優先しながら、摂取エネルギーを、標準の数値に合わせて調整するようにしましょう。