医者になりたいけど、頭が悪いから医学部は無理。そう考えて、医者の夢を諦めようとしている人も多いかと思います。
しかし、本当に頭が悪かったら医者にはなれないのでしょうか?
今回は頭が悪くても医者になれるのかどうかをマナビバが調査していくので、医者になることを諦めたくない人はぜひ参考にしてください。
頭が悪くても医者になることはできるの?
いま頭が悪くても、医者になることは不可能ではありません。
しかし、医者になるにはまず大学の医学部に合格しなければならず、医学部に合格するためには、高校までの勉強をしっかりできるようになっている必要があります。
頭が悪いままでは医者になることはできませんが、医学部は決してどんなに頑張っても手が届かないほど難しいところではありません。
そのため、今は頭が悪くても、医者になることができないわけではありません。
医者になる方法
医者にはどうやったらなれるのか。それは、医学部に入学して、6年生の時に一定以上の単位を取得することで大学から卒業見込みであると認められて初めて受けられる医師国家試験に合格することでなれます。
6年生の2月上旬にある医師国家試験に合格すれば、晴れて医師免許を取得できますが、医者になる道はここで終わりではありません。
医師免許取得後、研修医として2年間の初期臨床研修というものを受けなければなりません。
この初期臨床研修を修了すれば、医者として働くことができますが、専門医になるためにはさらに3〜5年の専門研修が必要になります。
とはいえ、一番重要なのはとにかく医学部に合格することです。これができないと、スタートラインに立つこともできないのです。
医学部に入るためにはどんな勉強が必要なの?
医学部は大学によって必要とする科目は違うこともありますが、基本的には数学・理科の理系科目と英語を必須とする理系の学部です。
医者になるためなので、理科は生物が必要だと思われる方も多いかもしれませんが、物理化学の2科目を要求する大学もあります。
その他に必要となる科目については、国公立大学を志望するのか、私立大学を志望するのかで変わってきます。
私立大学であれば、数学・理科・英語だけで済むことが多く、科目数の負担は少ないです。国公立大学であれば、共通テストを受ける必要があり、国語や社会も必要になり大変です。
もっとも、どちらも面接を課す大学がほとんどです。これは、勉強だけはできるけど、医者として患者さんとコミュニケーションを取るのが難しい人などを弾くために行われています。
しかし、私立大学医学部の学費は安くても6年間で2000万円ほどかかり、科目が少ないからと安易に選択できるものではありません。
そこで、次からは国公立大学と私立大学に分けて、必要な勉強を考えていきます。
国公立大学医学部の場合
国公立大学の医学部を受験する場合、共通テストで国語・数学2科目・社会1科目・理科2科目・英語を受験した上で、数学・英語・理科2科目の3教科4科目を課される二次試験を受ける必要があります。
もともと大学ごとの試験のために数学や英語、理科2科目は勉強する必要がありますが、国公立大学の場合はさらに共通テストで国語と社会が必要とされるのです。
つまり、勉強しなければならない科目数が多く、負担が大きいという特徴があります。
私立大学医学部の場合
私立大学の医学部を受験する場合、共通テストを受ける必要がなく、大学ごとの個別試験のみを受ければ大丈夫です。
この個別試験は基本的に数学・英語・理科2科目ですが、さらに小論文を課す大学もあります。
勉強の負担という意味では私立大学の方が小さく、少しでも楽をしたいのなら、私立大学の方が良いと言えるでしょう。
医学部の入りやすい大学
入りやすい大学というためには、次の3つの条件を満たしている必要があります。
- 偏差値が低いこと
- 科目数が少ないこと
- 倍率が低いこと
偏差値が低い大学
偏差値が低いことというのは、医学部受験においては偏差値60程度を意味し、全体の上位16%ぐらいになります。こう聞くと、ものすごい上位層のように思われるかもしれません。しかし、これは理系受験生の上位3万人くらいで、数万人ものうちの一人になればいいと考えれば、気分が楽になるのではないでしょうか。
国公立大学(偏差値60.0)
- 札幌医科大学
- 秋田大学
- 山形大学
- 徳島大学
- 香川大学
私立大学(偏差値62.5)
- 岩手医科大学
- 川崎医科大学
- 北里大学
- 近畿大学
- 埼玉医科大学
- 聖マリアンナ医科大学
- 獨協医科大学
科目数の少ない大学
2つ目の科目数が少ないことというのは、理科が2科目いらない大学など、基本となる英語・数学・理科2科目よりも科目数が少ない大学や、共通テストで5教科7科目必要としない大学のことです。科目数が少なくなれば、1科目にかけられる時間が増え、1科目ごとの完成度を上げられます。最初から科目数の少ない大学を目指し、その科目の勉強だけをすれば、逆転合格は狙いやすいでしょう。
国公立大学(英語数学のみ)
- 宮崎大学
- 徳島大学
- 島根大学
- 秋田大学
- 旭川医科大学
私立大学
- 帝京大学(英語必須、数学、化学、生物、物理、国語の中から2科目)
- 東海大学(英語、数学、理科1科目の3科目)
- 近畿大学(英語・数学・理科2科目だが、数学Ⅲなし)
倍率の低い大学
3つ目の倍率が低いことというのは、倍率が低ければ、競争相手が少なくなり、合格しやすくなるからです。倍率が高いと、前年は偏差値が低かったのに、今年は偏差値が高くなったということもあります。しかし、倍率はレベルが高すぎて、その大学を受ける人があまり多くないだけの場合もあるので、必ず偏差値とセットで確認しましょう。
国公立大学
- 大分大学(2.26倍)
- 群馬大学(2.23倍)
- 横浜市立大学(2.19倍)
- 鳥取大学(2.01倍)
- 名古屋市立大学(1.97倍)
- 徳島大学(1.71倍)
- 大阪公立大学(1.49倍)
- 名古屋大学(1.37倍)
私立大学
- 藤田医科大学(6.89倍)
- 慶應義塾大学(6.62倍)
- 北里大学(6.35倍)
- 東北医科薬科大学(4.86倍)
- 昭和大学(3.83倍)
オススメの大学
入りやすい医学部の条件を3つほど確認しましたが、偏差値が低く、その上で科目数が少なかったり、倍率の低い大学は入りやすいといえるでしょう。
そのため、国公立大学であれば偏差値・科目数・倍率の全てで当てはまる『徳島大学』、二次試験が科目別の試験ではなく総合問題のため偏差値が出ていませんが、『弘前大学』はオススメです。
私立大学であれば偏差値が低く倍率も低めの『北里大学』、偏差値が低く数学Ⅲの必要ない『近畿大学』あたりがオススメです。
医学部に入るのに必要な勉強時間
ここまで医学部の入りやすい大学で見てきた通り、医学部に入るなら最低でも国公立大学で偏差値60、私立大学で偏差値62.5は必要とされます。
国公立大学の偏差値60というのを医学部以外で考えると、東北大学や名古屋大学、大阪大学の工学部などと同じか、それよりもやや難しいレベルです。
私立大学の偏差値62.5というのを医学部以外で考えると、早稲田大学理工学部の一番偏差値の低い学科と同じくらいです。他にも偏差値62.5の私立大学はありますが、科目数が少なく、比較は難しいといえます。
国公立大学医学部の場合
偏差値60くらいの国公立大学に合格するには、およそ4000時間の勉強が必要だといわれています。これは高校1年生の最初から毎日休まず4時間ずつ勉強すればようやく届く時間であり、学校や部活などの時間があると続けるのは一朝一夕ではいかないでしょう。
共通テストの得点率は、2022年度入試は非常に難易度が高く80%もあれば十分にボーダーを超えられましたが、例年なら85%は必要なので、目標は85%に設定しておくべきでしょう。
また4000時間というのも、毎年このレベルの大学に何十人も合格させているような高校の生徒なら、という数字です。もし、中学の勉強から全然できないというところから始めるのなら、基礎学力の差を埋めるのに最低でも+1000時間は覚悟すべきです。
そうなると合計5000時間が目標になり、さらに勉強量を増やす必要があります。
勉強時間の内訳としては、以下の数字が目安になります。
- 数学:1400時間
- 英語:1200時間
- 理科2科目:1400時間
- 国語:600時間
- 社会:400時間
一番負担が大きいのが数学と英語で、さらに理科も入試問題をしっかり解けるレベルとなると、かなりの時間を時間を使うことになります。
理科2科目は物理化学か生物化学の組み合わせが一般的です。物理は時間はかかるもののできるようになれば高得点を狙いやすい科目ですが、生物はある程度までできるようになるのにはそこまでかからないものの、安定して高得点を取れるようになるには苦労する科目です。
国語は共通テストだけとはいえ、古文漢文の単語・文法の暗記、読解の訓練にかなり時間がかかります。現代文の方も、安定して高得点を取れるようになるには倍の時間をかける必要があるくらいに点数を取るのが難しいです。しかし、共通テストで国語は6〜7割取れれば十分と妥協するなら、このくらいの学習時間で十分でしょう。
社会は理系の場合、地理を選択する人が多いですが、それは地理もある程度まで点数を取るのにはそこまで時間はかからないからです。もちろん、高得点を狙うならかなりの時間が必要ですが、その時間は数学・英語・理科のうち苦手な科目があればそちらに回すべきでしょう。
私立大学医学部の場合
偏差値62.5くらいの私立大学に合格するには、およそ3500時間の勉強が必要だと言われています。こちらも高校1年生の頃から毎日休まず3.5時間ほど勉強すれば届く時間ですが、高校1年生の最初からそこまで高い意識で勉強し続けられる人ならば、そこまで勉強に困ることはないでしょう。
こちらも、中学までの勉強でつまずいているなら、基礎学力の差を埋めるのに+800時間は覚悟しておきましょう。合計すると4300時間で、国公立大学に比べると、勉強時間が少なく済むのがわかるかと思います。
勉強時間の内訳としては、以下の数字が目安になります
- 数学:1500時間
- 英語:1300時間
- 理科2科目:1500時間
どの科目も、国公立大学の時より少しだけ勉強時間が多く必要です。
しかし内容としては、共通テスト対策に時間をかけなくていいぶん、志望校の過去問をしっかりと研究し、出題内容に合わせた勉強をしていく必要があります。
英語なら文法が多いのか、長文が多いのか。数学なら数学Ⅲの範囲が多いのか、ⅡBの範囲も含まれているのかなど、傾向により力を入れるポイントは変わってきます。
まとめ
頭が悪いけど医者になれるのかを調査してきましたが、いかがだったでしょうか。
当然ながら頭が悪いまま医者になる方法はないので、どこかのタイミングで勉強をして、頭が良くなる必要はあります。必死に勉強すれば、医学部は決して手が届かない難易度ではありませんが、生半可な努力で手が届くものでもありません。
普段勉強していない人なら、1時間勉強するだけでも疲れてしまうでしょうが、本気で医者を目指すなら平日6時間、休日12時間は勉強したいところです。
頭が悪いけど医者になりたいと本気で思うのなら、まずは数学と英語からでもいいので、今日から勉強を始めていきましょう!