小学校の国語の授業では、大きく分けて「読む」、「書く」、「話す・聞く」、「漢字・言葉」の4つの学習をします。その中でも「書く」ことが苦手な子どもが多く、そもそも「作文に何を書いたらいいかわからない。」と悩んでいる人もたくさんいるでしょう。今回は、作文の書き方のコツについて解説していきます!これを読んで作文を書くのが上手になりましょう!
構成を考えよう!
作文を書くときには構成から考えるようにしましょう。構成とは、大体の内容を簡単に書いたメモのようなもので、どのように作文を書いていくかの設計図になります。大体の内容をあらかじめ決めておくと、それを広げていけばいいだけなので、書きやすくなります。作文が苦手な人は、作文を書くときにいきなり書き出してしまいます。しかし、それだと上手な作文はなりませんし、何を書いているのか、何を書いたらいいのか途中で分からなくなります。また、書いているうちに話が変わったり、お題からずれたりしてしまいます。
作文の基本的な構成は、①はじめ、②中、③終わりの3つです。しかし、作文の種類によって②中の内容が変わります。種類ごとに具体的な構成を見ていきましょう。
①意見文・感想文を書くときには?
まずはじめに、ある題材やお題に対して自分の考えや感想を述べる「意見文・感想文」の構成の考え方を解説していきます。意見文・感想文の構成は以下の通りです。
はじめ | 自分の意見や感想を簡単に書く。 例)賛成・反対、~すべき、主人公に共感した、~の行動が疑問に思った |
中1 | 「はじめ」で書いたことに対する理由や根拠を書く。(1つ目) |
中2 | 「はじめ」で書いたことに対する理由や根拠を書く。(2つ目) |
終わり | 改めて、自分の意見や感想を書く。 |
「意見文・感想文」はそう考えた理由を書くことが求められます。理由や根拠は2つ書くのが良いです。1つでは、内容として薄くなってしまうので、2つ考えるようにしましょう。それぞれの書き出しについては以下の通りです。
【意見文の場合】
はじめ | 私は~の意見に賛成/反対です。理由は2つあります。 |
中1 | 1つ目は~だからです。どうしてかというと…。 |
中2 | 2つ目は~だからです。どうしてかというと…。 |
終わり | このように~です。だから、私は~の意見に賛成/反対です。 |
【感想文の場合】
はじめ | 私は~を読んで~思いました。理由は2つあります。/そう思った場所は2か所あります。 |
中1 | 1つ目は~だからです。どうしてかというと…。 1か所目は「~」という部分です。そこから~思い…。 |
中2 | 2つ目は~だからです。どうしてかというと…。 2か所目は「~」という部分です。そこから~思い…。 |
終わり | このように~です。だから、私はこの文章を読んで~思いました。 |
②自分について書くときには?
次に、自己紹介や好きなこと、日記、将来の夢など、自分のことについて書く文章についての構成を解説していきます。
はじめ | これから何について話すのかを簡単に書く。 |
中1 | 1つ目のきっかけ、エピソード、理由など。 |
中2 | 2つ目のきっかけ、エピソード、理由など。 |
終わり | これからのことについて書く。 |
自分のことについて書く場合も、中は2つ内容を入れるようにしましょう。この時に、1つ目と2つ目の内容は違う内容になるようにしましょう。また、終わりでは、これからのことについて一言付け加えるようにしましょう。
【好きなことを紹介する文章の場合】
はじめ | 私は~が好きです。/私の好きな~は~です。理由は2つあります。 |
中1 | 1つ目は~だからです。どうしてかというと…。 |
中2 | 2つ目は~だからです。どうしてかというと…。 |
終わり | このような理由で私は~が好きです。 これからも、たくさん練習して上手になりたいです。(好きなスポーツなど) 私が次に食べたいのは~のお店の~です。(好きな食べ物など) |
【将来の夢の場合】
はじめ | 私の将来の夢は~です。 理由は2つあります。/きっかけは2つあります。/ そのために必要な力が2つあると考えます。 |
中1 | 私は~が好きだからです。どうしてかというと…。 1つ目は~です。 |
中2 | そう思ったきっかけがあります。幼稚園の頃に…。 また、私は~も好きです。どうしてかというと…。 |
終わり | このように~が好きな私にとって、~は魅力的な職業です。そのために…。 しかし、私は~という力がまだ足りません。これから…。 夢を叶えるためには~する必要があります。これから…。 |
将来の夢について書く場合は、中は、「1できっかけを話し、2で必要な力について分析する」、「1で理由を話し、2できっかけを話す」等中の内容を分けることもできます。理由やきっかけ、必要な力を2つ書くのが難しい場合は、2つの内容について書くようにすると、考えやすいですね。
③物語を書くときには?
国語の学習では、自分で物語を考えて作るという学習もあります。「作家のように面白い物語を書くなんて難しい…。」と悩んでいる人も多いでしょう。しかし、物語も簡単な構成を考えてしまえば、それにつけ足していくだけで立派な物語になります。しかし、物語の文章の構成は、上の2つとは大きく異なります。
はじめ(起) | 物語のあらすじ、登場人物の紹介、場面の説明 |
中1(承) | 事件が起こる |
中2(転) | 事件が変化する |
終わり(結) | 事件が解決する |
物語文の構成は、上記の通りです。ここで大事なのは、「事件」を設定することです。事件とは、「物語の中心となる話題」のことです。例えば、冒険系の物語だったら「宝物を探す。」、恋愛系の物語だったら「好きな人に告白する。」といったことが物語の「事件」にあたります。
「事件」が決まったら、「事件」をどう変化させるのか、どう解決させるのかを考えましょう。度解決させるのかは簡単に考えられますが、どう変化させるのかは少し難しいですね。先ほどの例で考えると、「宝の地図を無くした。」「親友もその人に告白していた。」など、「事件」にもう一つ新たな展開を加え、簡単に解決しないようにすることが「事件が変化する。」ということです。
物語の構成について、具体的な例を用いて整理していきます。
はじめ(起) | 太郎君は、森の中を歩いていました。 |
中1(承) | 突然、雨が降ってきました。 |
中2(転) | 強い風が吹き始め、雷も鳴り始めました。 |
終わり(結) | 雨は止み、空には虹がかかっていました。 |
この例の「事件」は、「雨が降る」ことですね。このように簡単な構成を考えれば、後はこの構成に森の中の様子を書いたり、太郎君の心情を書いたりすると、物語の完成です。
文章を考えよう!
ここまでは、文章の構成について説明してきました。構成が考えついたら、いよいよそれを文章にしていきます。では、文章を考える時には、どのようなことに気を付けたらよいのでしょうか?
①詳しく書くには?
5W1Hを意識して書こう。
5W1Hとは、「When:いつ」「Where:どこで」「Who:だれが」「What:何を」「Why:なぜ」「How:どのように」の頭文字をとった言葉です。内容によっては全ての項目を入れることが難しいものもありますが、基本的にはどのような出来事においても書くことができます。これを意識して書くことで、内容が詳しくなり、文章量も確保することができます。
【例】
- 今日の放課後(When:いつ)に、〇〇君と△△君と3人(Who:だれが)で遊びました。公園(Where:どこで)で鬼ごっこ(What:何)をしました。
- ☆月★日に(When:いつ)、お父さんとお母さんと弟と僕の4人(Who:だれが)で旅行に行きました。弟が「ラベンダー(What:何を)を見たい。」と言ったので(Why:なぜ)、富良野(Where:どこで)に車(How:どうやって)で行きました。
「とても」や「いろいろ」等の言葉にたよらない。
書くのが苦手な人は、「いろいろ」「様々」等簡単な言葉を使う傾向にあります。この言葉を具体的にすることで、量を増やすこともできますし、内容が分かりやすくなります。また、「とても」「しっかり」「すごく」等の修飾語を入れて表現している人が多いです。どのくらいなのか、どうしてそう思ったのか、具体的に書くようにしましょう。「面白かった」「楽しかった」「勉強になった」という感想を表す言葉についても、どんなところが面白かったのかを書くなど、内容を具体的に書きましょう。
この時にも、5W1Hが有効です。自分の書いた文章に質問をすることで、どんなことが書けるかが見つかります。例えば、下の例だと、「どのくらい大きかったの?」「どうして楽しかったの?」「どんな風に楽しかったの?」と質問をすることができますよね。まずは文章を書き、それについて自分で質問をし、それに答える形で付けたしをしていく、という作業を繰り返すことで、内容をふくらませることができます。
【例】
「とても大きかった」→「見上げるのに首が痛くなるほど大きかった」
「すごく楽しかった」→「次は何が出てくるんだろうとわくわくして、すごく楽しかった。」
②読みやすい文章にするためには?
主語と述語をそろえよう。
主語と述語を意識して書くようにしましょう。主語とは「~は」や「~が」といった文の「~」にあたる部分です。述語は「どんなだ。」にあたる部分です。「僕はお母さんと一緒に公園に出かけた。」という文であれば、「僕」が主語で「出かけた」が述語です。文章を書いているうちに、主語と述語が分からなくなり、誰がしたことなのかが分からなくなります。また、主語がないと誰の動作なのかが分からなくなるので、主語と述語を意識して文章を書くようにしましょう。
【例】
×昨日、私はお父さんと一緒に大阪に行って、とても広かった。(「私は」→「広かった」)
×昨日、私はお父さんと一緒に大阪に行って、とても楽しかった。(「私は」→「楽しかった」)
〇昨日、私はお父さんと一緒に大阪に行った。(「私は」→「行った」)
大阪はとても広かった。(「大阪は」→「広かった」)
大阪の遊園地で遊ぶことがとても楽しかった。(「遊園地で遊ぶこと」→「楽しかった」)
一文が長くならないようにしよう。
一つの文章が長くなると、何を言いたいのか分からなくなりますし、先ほどのように主語と述語を間違えやすくなります。一文はできるだけ短くした方がいいでしょう。目安は、主語が変わる時です。書いていて、文が長くなってきたと思ったら、いったん文を切るようにしましょう。
【例】
×昨日、私はお父さんと一緒に大阪に行って、大阪はとても広くて、その中でも遊園地に行って、その遊園地はとても楽しかった。
〇昨日、私はお父さんと一緒に大阪に行った。大阪はとても広かった。大阪の遊園地で遊ぶことがとても楽しかった。
まとめ
上手な作文を書くためには、構成を考えることが大切です。はじめ、中、終わりを意識して、3つの短い文を考えてみましょう。後は、その文章をより詳しくなるように付け加えたら、あっという間に作文の完成です。
作文が上手に書ける人は、文章の構成を正しく理解できています。文章の構成を正しく理解できていると、文章の読解力も上がります。なぜなら、構成を理解できているので、どこに何が書かれているかが分かるからです。物語の場合は、「事件」をいち早く見つけることで、どう変化し、どう解決したのかが簡単に分かり、その文章の一番大切な部分が何かを理解することができますね。
文章の「構成」に注目して、国語力を上げていきましょう!
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