中学校に入学すると、勉強が本格的に始まります。進級するごとに勉強は難しくなり、学習に対する悩みを持つ人も増えていきます。中学生のお子さんをもつご家庭の中には、「うちの子、学校の勉強についていけてないのではないか…?」と心配している人もいるでしょう。
今回は、「学校の授業についていけない。」と感じているご家庭が、どのようなことをしたらよいかを解説していきます。
勉強についていけない原因を探ろう。
勉強についていけないと感じた場合、まずは原因を探ることが大切です。勉強についていけない、テストの点数が伸びていないと感じる場合は、頑張っているけど、できない場合と、そもそも勉強に取り組んでいない場合の2種類が考えられます。
どちらなのかを判別するために、以下のことをして原因を探りましょう。
- 学校のノートを見る。(書いてる?書いていない?)
- 授業で取り組んだプリントやテストを見る。(無回答が多い?書いているのに間違っている?)
- 学校の先生に授業中の様子を聞く。
- 勉強のどこが苦手なのかを聞く。(教科や単元など)
- どうして勉強したくないのかを聞く。(分からないから?面倒くさいから?)
頑張っているけど、ついていけない人は、どうしたらいい?
学習状況を確認したところで、ここからはタイプ別に解説していきます。まずは、ノートもしっかりとっている、プリントやテストも最後まで粘り強く取り組んでいるのに、成績が上がらない場合です。
このような場合は、以下の3つに取り組んでみましょう。
- どこにつまづいているかを確認する。
- 家でできることを考える。
- 授業中にしたらいいことをアドバイスする。
この3つについて、詳しく解説していきます。
①どこにつまづいているかを確認する。
子どもは、「合っている。」「間違っている。」という表面的な部分でしか問題を見ない傾向があります。そのため大人が、どのような間違いをしているのかを明確にしてあげる必要があります。
テストやプリントなどを振り返って間違いが多い部分の共通点を見つけてあげましょう。そうすることで、その子の課題をはっきりさせることができます。
ただ単に「勉強が苦手」「国語が苦手」というのではなく、「計算が苦手」「文章を書くのが苦手」「数学の中でも図形が苦手」と具体的に分析してあげましょう。
②家でできることを考える。
家で一緒に勉強する。
苦手な場所が分かったら、その部分の対策をしていきましょう。
学校の授業は30~40人をまとめて指導する集団授業です。全員が分かるように授業で学習を教えることが基本ですので、担任の先生は教室を回りながらそれぞれの児童の理解度をチェックしたり、分かっていない子には個別で対応したりしています。
ですが、人数が多く、授業の時間も限られているため、一人一人にかけられる時間には限界があります。
そのため、学校の授業で理解しきれない分は、家庭での学習でカバーする必要があります。家でできる苦手対策として、以下のようなものが考えられます。
- 文章の読解力を上げるため、教科書の音読練習をさせる。
- 文章を書く力を上げるため、毎日日記を書かせる。
- 学校でやったプリントやテストの問題の解き直しをする。
- 学校でやった問題にもう一度取り組んでみる。
学習方法で悩んだら、担任の先生やその教科の先生に聞いてみるのがいいでしょう。一人一人のことをよく見ているからこそ、その子に合わせて考えてくれます。また、「この力を伸ばすためには、こうしたらいい。」ということが分かっていますから、的確なアドバイスがもらえます。
塾に通わせる。
お仕事の都合で、家で学習を見てあげる時間がない、というご家庭もあるでしょう。そのような場合は、塾に通わせるというのがいいでしょう。中学校では、小学校と比べて、塾に通っている人が大きく増えています。
文部科学省の「子供の学習費調査」をもとに、塾に1年間で費用を払ったことのある人の割合=塾に行っている子の割合(通塾率)として、以下の表をご覧ください。
学年 | 塾に行っている人の割合 |
公立中学校1年生 | 58.7% |
公立中学校2年生 | 68.7% |
公立中学校3年生 | 79.8% |
私立中学校1年生 | 55.6% |
私立中学校2年生 | 62.8% |
市立中学校3年生 | 62.6% |
このように、中学生の半数以上の人が塾に通っていることが分かります。特に公立中学校の3年生は高校受験を控えているため、塾に通わせる子どもが多くなっています。
受験を考えているご家庭だけでなく、「放課後も学習する習慣をつけたいから。」「学校の授業についていけないから。」「家で一人では学習しないから。」といった理由で塾に通わせるご家庭も多いです。
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知能検査を受ける。
授業中や放課後にたくさん努力をしても改善しないという場合には、学習が身につきにくいという特性があったり、発達、脳機能に問題があったりする可能性があります。
そのような場合には、知能検査を受けることを検討してみましょう。
知能検査の目的は、障害の有無を判定したり診断したりすることにあるのではなく、子どもの発達の状態や困難な状況に関する客観的な情報を得て、最も適切な指導の方向性を考えることに意味があります。
したがって、その子の苦手な傾向をはっきりさせ、どのようにしたら学習しやすいかという疑問を解決する助けになるのです。
知能検査は、病院やクリニックでも受けられる他、札幌市が行っている教育相談を通して受けることもできます。教育相談では、子どもの教育に関わる相談を受けることができます。
関係機関やその他の相談機関との連携や紹介をしてくれたり、在籍校に支援の手立ての提案や情報交換を行ったりしてくれるため、勉強についていけずに困っているご家庭は一度相談してみるとよいでしょう。
③授業中にしたらいいことをアドバイスする。
授業の受け方に問題がある可能性もあります。授業中、ただ黒板に書かれたことをノートに写すだけ、ぼーっと話を聞いているだけでは学力は向上しません。
せっかく勉強する時間なのですから、なるべく1つでも多くのことを身に付けたいですよね。
とはいえ、学習が苦手な子は、「どのようにして授業を受けたらいいか分からない。」と感じている子が多いでしょう。そのような子ができることして、以下の項目が挙げられます。
- 分からないところをメモしておく。
- 分からないところは先生や友達に質問をしてみる。
- 間違った問題にチェックをつけておく。
このように、「どこが分からないのか。」をはっきりさせておくだけでも、大きな収穫と言えるでしょう。
なぜなら、スムーズに家庭での対策につなげることもできますし、自分でも苦手を自覚することができるからです。
勉強を頑張れない人は、どうしたらいい?
次に、そもそも勉強をやる気がない、授業を聞いていないというような人です。このような場合は、最低限の勉強ができるような関わりが必要です。そして、将来的には自分で勉強を進められるようにできるとよいですね。
このような場合は、以下の3つに取り組んでみましょう。
- お家の人が勉強の管理をする。
- 宿題やテストの解き直しをする。
- 目標を立てる。
この3つについて、詳しく解説していきます。
①お家の人が勉強の管理をする。
しっかり勉強しているかどうかの確認をお家の人がこまめにするようにしましょう。学習の習慣をつけることは、高校に向けてとても重要なことです。
学年が上がるにつれて学習の難易度も上がりますし、学習量も増えます。後から習慣をつけることは大変ですので、今のうちに多少強引にでも学習の習慣をつけるようにしましょう。
学校での学習
- ノートを毎回チェックする。
- 学校で取り組んだテストやプリントなどを提出させるようにする。
学校で、しっかりやることをやっているかどうかチェックするようにしましょう。ノートを書いているかどうか、プリントやテストの取り組み具合はどうかを見るようにしましょう。
勉強の取り組み方についてルールを決めておくといいですね。この時に「~しなかったら~できない。」など罰があるような後ろ向きなルールでは、モチベーションも下がってしまいます。
今できていることを認めつつ、「もっとこうできたらいいね。」というような前向きな目標にするようにしましょう。
このような目標を設定するときに多いのが、「~したら欲しいものを買ってあげる。」「~したら、お小遣いアップする。」という「ご褒美」をつけることです。
この方法では、子どもは自分のためでなく、「ご褒美」のために勉強を頑張ります。しかし、自主的に勉強する効果は一時的にしかならず、長続きしません。
また、「ご褒美」がないと頑張れないようになり、自分のために頑張ることができなくなります。ですので、自主的に勉強するようになる方法としては有効ではありません。
ですが、何もしないよりは効果があります。最初のうちは、勉強に向かわせる手段として有効かもしれませんね。
自宅での学習
- 宿題に毎日しっかり取り組む。
- 勉強する時間を決める。
- お家の人から見える場所で学習する。
- お家の人が丸付けをする。
家庭での学習として、まずは宿題にしっかり取り組むようにしましょう。しかし、勉強を頑張れない人にとって一人で学習することは難しいでしょう。
ですので、家庭で勉強する時間を決めたり、見える場所で学習させたりと、勉強をしなければいけない環境を作ることも一つの手です。
また、丸付けをするなど、しっかり取り組んだかどうかの確認をするようにしましょう。これを続けることで自然と自分で勉強できるようになります。
②宿題やテストの解き直しをする。
宿題をやる際には、学習が身につくよう、取り組み方も気を付けなければなりません。
特によく見られるのが、答え合わせをしない、間違っていたら解答を写して終わる、適当に丸付けをするというやり方です。
これでは、せっかく時間を使って学習しても内容を理解しているとは言えません。そのため、丸付けをする、間違えたところはもう一度解く、というように取り組むようにしましょう。
テストやプリントなども、間違えたところをそのままにしておくと、分からないところがどんどん増えていきます。間違えたところをもう一度解き直し、しっかり理解することで、その単元がしっかり理解できていると言えます。
このように、宿題とテストを完璧に理解することができていれば、小学校の学習内容は完璧にカバーできていると言えます。やる量を増やすのではなく、やらなければならないことの質を上げることで、学校の勉強についていけるようにしましょう。
③目標を立てる。
目標があると、人はそれに向かって努力し続けることができます。勉強も同じです。
なぜなら、「目標達成のために学習しなければならない」というように、勉強することへの理由や意味を感じることができるからです。
ですから、目標を立てることで、自分から勉強するようにすることができます。目標には、大きく分けて「長期目標」と「短期目標」の2種類が存在します。
長期目標と短期目標
長期目標とは、長い時間をかけて目指す目標のことです。小学生~高校生においては、自分が最終的にどのような職業に就きたいか、その仕事でどのようなことを達成したいかが長期目標にあたります。
短期目標は、その長期目標を達成するために、段階的に目指す具体的な目標のことです。小学生~高校生においては、どこの大学、高校に進学する、定期テストで何点をとる、何位になる、小テストで満点をとる、などの期間が短い目標や目先の目標が設定できます。
目標を持たせるためにできること
目標がない子は、親の促しも必要です。長期目標よりも短期目標の方が身近で自分事としてとらえやすいので、まずは短期目標を一緒に設定してみましょう。
この時に注意することは、あくまでも最終決定は子ども自身で行うことです。目標は自分で設定することに意味があります。自分で決めたからこそ目標を自覚し、それに向かって頑張ることができるのです。
人に決められた目標は「別に自分で決めたわけじゃないから。」と逃げる理由になってしまいます。
もちろん、長期目標が決まっている方が、そこから逆算して短期目標をたくさん立てることができるので、なるべく早いうちに長期目標を決めることが望ましいです。
しかし、「今からでも勉強が自分からできるようになってほしい。」と思っている方が多いでしょう。
長期目標はすぐに決まるものではありませんので、その場合は、まず目先の目標を立てるようにしましょう。その繰り返しの中で、長期目標について考えることも視野にいれながら、過ごしていけると良いですね。
まとめ
このように、子どもが勉強についていけてないと感じる場合には、まずは原因の追究が必要です。そして、その原因を解決できるような対策を考えていきましょう。
中学生になっても、勉強の効率が悪かったり、勉強をやった気になって身になかったりと、一人で完璧な勉強ができている子は少ないです。
そのため、家庭で学習状況やどんな勉強をしているのかをチェックし、アドバイスする必要があります。
家庭での学習対策は、時間がかかると思う方もたくさんいるでしょう。ルールや決まりを作ってしまえば、後は自分でできるようになります。そのため時間がかかるのは最初だけです。お子さんの学習のために、ご家庭でできることは全てやるようにしたいですね。