2022年の新高校一年生から新課程になりました。数学では数学Cが復活したことは聞いたことがある人は多いと思います。
でも、どんな単元があるのか、数学Cが増えたことによる大学入学共通テストへの影響などを理解している人はまだ少ないと思います。
これを読めば数学Cの単元の内容や、大学入学共通テストで数学Cが必要なのかが分かります。
今回は、高校1年生で文系や理系を選んでいる生徒向けに、数学Cにどんな単元があるのか、旧課程と新課程で数学がどのように変化したのか、また、大学入学共通テストで数学Cを使う必要があるのかをマナビバが解説していきます。
数学Cの単元とその内容
「平面上の曲線と複素数平面」
「平面上の曲線と複素数平面」は数学Ⅲから移動してきました。
平面上の曲線は放物線や楕円などの二次曲線を勉強する分野です。また、平行移動させたときの関数の表現や、二次曲線の接線などを求めます。二次関数を勉強したときにxとyの2つの文字で二次関数を表していましたが、原点Oからの距離rと原点からの角度θ(シータ)によって曲線を表そうとすることを勉強します。
複素数平面はまず虚数という言葉があります。整数や分数は二乗すると必ず正になりますが、虚数は二乗しても負の数になる数のことを言います。複素数はそんな虚数と実数を合わせた数のことを言います。複素数平面では複素数を平面上に表して、虚数の性質を使い問題を解いていく分野になります。
「ベクトル」
「ベクトル」は数学Bから移動してきました。ベクトルは「大きさ」と「向き」の2つの量を持ったものを言います。矢印を使って書き表します。向きと大きさが同じならたとえ違う場所にあったとしても同じベクトルという性質があります。自由に平行移動させてベクトル同士の和や逆ベクトルを用いて問題を解いていく分野になります。
「社会生活における数理的な考察」の「数学的な表現の工夫」
「社会生活における数理的な考察」の「数学的な表現の工夫」は新課程から追加されました。この単元では統計・離散グラフ、行列を勉強します。統計・離散グラフは棒グラフや折れ線グラフを組み合わせたようなパレート図、箱ひげ図や散布図などの統計の利用を学びます。行列は、数字を長方形や正方形に並べて表現したものです。主に行列同士の和や差などの計算方法を学びます。
数学Cに移った単元の変更点
ここでは旧課程と新課程の単元を比べていきます
旧課程の数学の単元
数学Ⅰ | 数と式 図形と計量 2次関数 データの分析 |
数学A | 図形の性質 場合の数と確率 整数の性質 |
数学Ⅱ | いろいろな式 図形と方程式 指数関数・対数関数 三角関数 微分・積分の考え |
数学B | ベクトル 数列 確率分布と統計的な推測 |
数学Ⅲ | 平面上の曲線と複素数平面 極限 微分法 積分法 |
新課程の数学の単元
数学Ⅰ | 数と式 図形と計量 2次関数 データの分析 |
数学A | 図形の性質 場合の数と確率 数学と人間の活動 |
数学Ⅱ | いろいろな式 図形と方程式 指数関数・対数関数 三角関数 微分・積分の考え |
数学B | 数列 統計的な推測 数学と社会生活 |
数学Ⅲ | 極限 微分法 積分法 |
数学C | 平面上の曲線と複素数平面 ベクトル 数学的な表現の工夫 |
旧課程から比べて新課程は、数学Ⅲは分量が減り、数学AやBに「数学と人間の活動」と「統計的な推測」などの「統計科目」が増えました。
これは近年、ビッグデータ・機械学習・統計学の活用などがビジネスに欠かせない現状を踏まえて、統計やデータ解析の分野の重要性があるからだと思います。
大学入学共通テストに数学Cは必要なのか?
文科省の発表によると、2025年からの大学入学共通テストでは、「数学I・数学A」、「数学Ⅰ」、「数学II・数学B・数学C」の3科目に増えます。
「数学II・数学B・数学C」の試験時間は「数学Ⅱ・数学B」から変更になり、60分から70分に変更されます。
このうちの数学BとCの範囲は数学Bの「数列」と「統計的な推測」、数学Cの「ベクトル」、「平面上の曲線と複素数平面」の4分野が出題されます。
このうち3分野を選択することとなります。 大学入学共通テストで「数学II・数学B・数学C」を受験する生徒は、「数学C」のうちの2分野を学ぶことになり、特に文系で共通テストが必要な生徒は、数Cを学習する必要があります。
ここから文系への負担は、かなり増えるでしょう。
理系も「平面上の曲線と複素数平面」は二次試験でも出題されているのでそこまでの負担は無いかもしれません。
ですが、実際共通テストの出題分野は増えているので、理系も十分に対策しないと良い点は取れないでしょう。
文科省の令和7年度の試験について
https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7ikou/r7mondai.html
まとめ
数学Cの復活により、高校数学の分野が増えました。大学入学共通テストの「数学II・数学B・数学C」を受験する時には、数学Cの3分野から2つは選択しなければいけません。
理系の人は二次試験でも複素数平面や平面上の曲面を使うため影響は少ないかも知れません。
しかし、文系の人は「複素数平面や平面上の曲面」と「数学的な表現の工夫」のどちらかは選ばないといけないのです。
ここから今まで以上に数学に費やす時間が増加することが予想されます。
今のうちにこれまでの分野の復習をしていき、共通テストで自分の目指す得点が取れるようにしましょう。