話の一例として、就活のナビサイトで説明会を申し込んだところ、申し込みの開始直後なのに「すでに満席です」との表示が出るという話があります。ところが有名大学の学生が後から申し込んだら複数の日程が提示され、差別的な目にあったとのことです。なぜ、このような事態が起こるのでしょうか。
高学歴であれば就職に有利であるという考えは、どのような所から来るのでしょうか。今回は、「就職活動において学歴の高い人は有利なのか?」というギモンにマナビバが解説します。
出身校で振り分けるってホント⁉
それでは、企業が就活する学生を説明会の案内の時点で振り分ける理由について見ていきます。
- 高学歴の学生を採用すれば安心できる
- 採用に関わる費用を抑えたい
以上の2点について説明します。
①「高学歴の学生を採用すれば安心できる」について
企業にとって高学歴である学生には安心感があります。大手の有名企業には高学歴の有能な社員が多数いて、その有能な社員と似たような人材を獲得しようと思うと、その社員の出身校の後輩を入れておけば大体は大丈夫だろう、との気持ちから例年行事のように決まった限られた大学の学生を入社させる結果となります。
もちろん「高学歴=受験勉強ができる=仕事ができる」とは限りません。しかし、高学歴であれば厳しい受験競争を勝ち抜いてきた実績があり、人の話に対する理解力、努力の継続力、数字やデータに対する考察力など、受験と仕事はある程度の関係があり、高学歴の人には企業の求める人材が多いということを採用担当者は経験的、統計的に知っています。それで高学歴の学生をできるだけ多く採用したいと考えるようになります。
②「採用に関わる費用を抑えたい」について
企業の採用活動には高額な費用がかかります。就活のナビサイトひとつに掲載するだけで何百万円もの金額がかかります。説明会を開催し、エントリーシート(応募書類)を受け付け、学生に連絡して面談していくには膨大な手間ひまが必要になります。企業としてはせっかく説明会を開催するのであれば、できるだけ速やかに自社の求める人材を集めたいと考えるのが当然です。
高学歴の学生ほど優秀な人材が多いことを知っている採用担当者は、就活のナビサイトなどで事前に説明会に来る大学の枠を限定しようとします。実際に東大や慶大、早大のみを対象とした説明会なども数多く開催されています。これは、いわゆる「学歴フィルター」で採用における費用対効果を最大化したい企業の考えの表れといえます。
この①と②の結果、高学歴の就活生はエントリーシートに通過しやすいのです。
振り分けない企業でも有利になるの?
もちろん説明会で振り分ける企業ばかりではありません。
しかし、それでも高学歴は有利になります。
- 先輩や仲間から情報を得やすい
- 採用試験で高得点が取れる
以上の2点を説明します。
①「先輩や仲間から情報を得やすい」について
いわゆる大手有名企業には高学歴の社員が大勢います。すなわち高学歴の就活生には大手有名企業にOBとOGが沢山います。企業の人事部や採用担当者とは別に、学歴フィルターがなかったとしても大学の先輩から数多くの情報が得られます。採用してもらうコツという内部情報が手に入りやすいのです。
このような「学閥」も採用に大きく有利になります。すべての企業に学閥があるワケではありませんが、慶大、早大、旧帝国大などは多くの企業で学閥が形成され選考で有利に働く環境にあります。
また、高学歴の学生は自分に見合った大手企業に入りたいとの気持ちもあり、早い段階から就活を始めてOBやOGから情報をもらって準備している学生の割合が高いです。
すると、真面目に就活に取り組んでいる優秀なライバルを見て、それが刺激となり自身の就活への取り組みにも熱が入っていきます。同じ大学の友人同士で、同じ企業への入社を競っているのでなければ互いに情報共有して説明会の内容や先輩の助言を教え合うなど、就活力が向上しやすい環境にあるのです。
②「採用試験で高得点が取れる」について
採用選考の過程として学力試験が課されることがあります。代表的な学力試験としてSPIがありますが、他にもCABやGPSなど幾つもの種類があります。どの試験を使うかは企業や業界によって異なります。
採用試験という名の学力試験なので、勉強が出来る高学歴の学生は高得点が取れる傾向にあります。就活生は最初は就活用の試験に不慣れで点数があまり取れなくても、高学歴の学生なら学力の基礎が出来ていて就活用の学力試験にもすぐ適応してきます。相応の対策をもって学習すれば良い成績を取れるようになります。
さらに、この学力試験を採用の一次試験の足切りとして利用される場合もあります。結果的に採用試験においても実質的な学歴フィルターが存在しているとも言えます。
「高学歴ではない人」はどうすればいい⁉
企業も同じ大学ばかりから採用を続けることが必ずしも万全の策ではないことを知っています。人材が画一的になり、組織として成長できなくなってしまうため、いつまでも同じ採用方式を続けません。
近年では総合職にも女性を多数採用したり、違う価値観や考え方を持つ外国の出身者を採用するなど、多様な人材を組織に組み入れようとしています。同様に、企業によっては出身大学を問わずに面接し、その結果、中堅大学や地方の学生を採用した企業の例も出てきています。
つまり多様性の重要さについても十分理解しており、それは学歴も同様だと考えている、ということです。様々な大学の学生を採用することで組織に多様性をもたらし、誰に対しても門戸を開こうとする企業も増えていることを理解しましょう。
求める基準を満たす人であれば採用したいと考える企業が増えているなら、大企業か中小企業かにこだわらずに自分を評価してくれる企業が見つかるまで根気よく応募することが大切です。
学歴フィルターがあるからといって、行動をしなければ採用の可能性はなく、何も変わりません。学歴に自信がない人は、学歴以外の長所を生かして前向きに就職活動を考えることが大事です。
まとめ
今回は、高学歴が就職に有利かを書きました。たしかに有利な点が多いことはわかりましたが、それが就職活動の全てではなく、これからの時代は必ずしも学歴ばかりではないこともわかりました。
しかしながら、高学歴になるための努力が評価されない時代が来るということも考えにくいです。いずれにしても、就職活動では自分がどのような人物であるかをよく振り返り、前向きに行動することが大切です。