現在、不登校の子どもは、小学生で全国に約630万人、中学校で約324万人いると言われています。小学生は100人に1人が不登校、中学校は25人に1人が不登校になっているという計算です。その数は、年々増加傾向にあります。
今回は、不登校となってしまった子どもに、どのように対応したらよいか、どのように接したらいいかについて解説していきます。
不登校の原因とその対策
子どもが「学校に行きたくない。」と感じる理由は、様々です。また、年齢や性別によっても変わってきます。子どもを学校へ復帰させるには、その原因を解決してあげることが大切です。そのため、まずは何が原因なのかを把握しましょう。
文部科学省が行った「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」によると、以下の要因が不登校の原因となっています。
小学校・中学校ともに多いのが、「無気力・不安」が原因となるもので、全体のおよそ半分を占めています。このような回答をしている子は、「なんとなく学校に行きたくない。」「よく分からないけど不安だ。」というような気持ちでいることが多いです。自分でも不登校になってしまった原因が分からない状態でいます。
なぜ、このような結果になっているのかというと、原因がはっきりしている子は対処がしやすいので、学校へ比較的早く復帰することができるからです。友人関係が原因の場合は、学校と協力して該当児童・生徒に話を聞いたり、思い切って転校したりというような具体的な対策を講じることが可能です。
しかし、「無気力・不安」が原因で不登校となってしまった場合には、本人の気持ちが原因ですから、学校や家庭で具体的な対応をとることが難しく、不登校が長期化してしまいます。
「無気力・不安」が原因な子に、「どうしたの?」「何があったの?」とひたすら質問をしても、子どもは答えることができませんし、かえって子どもを悩ませるばかりです。
では、どのような接し方をしたらよいのでしょうか?次の4つに気を付けて、対応するようにしましょう。
- 子どものペースで過ごさせる。
- 先のことを考えさせない。
- 学校とのつながりをとぎれさせない。
- 子どもの辛い気持ちに寄り添う。
そのために、どのような関わり方をしたらよいのか、それぞれについて詳しく解説していきます。
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子どものペースで過ごさせるためには?
子どものペースで過ごさせるために、次のことを実践しましょう。
- 子どもが「学校に行きたくない。」と言ったら、否定せずに学校を休ませてあげる。
- 「休んでもいいよ。」と声をかける。
- 学校に行きたくない理由を話してくれるまで待つ。
- 学校に行ける気持ちになるまで待つ。
不登校の対応で、一番やってはいけないことは、「無理やり学校に行かせる。」ということです。お家の人としては、「学校に行けるようになってほしい。」という願いがあることでしょう。
「早く問題を解決したい。」「学校へ行かないことが習慣になってほしくない。」という気持ちから、ついつい焦って、学校へ強引に行かせがちです。
しかし、「学校に行きなさい。」というのは、問題の根本的な解決になりません。お子さんが「学校に行きたくないというと怒られる。」と感じて本当のことや悩みを話しにくくなります。
不登校になるということは、学校が安心できる居場所ではないということです。そのような子どもにとって、お家が唯一安心できる居場所なのです。居場所をなくさないために、子どものペースを尊重してあげましょう。
先のことを考えさせないためには?
先のことを考えさせないために、次のようなことを実践しましょう。
- 先の約束はしない。(×「明日は学校に行こうね。」など)
- その時の気分で判断させる。
- 見通しをもたせない。(×「明日先生が家に来るよ。」「来週は運動会があるよ。」など)
不登校になってしまう子どもは、「学校に行って、こんなことがあったらどうしよう。」「明日も学校に行かなければならない。」と先のことを考えることによって、プレッシャーを感じ、不安な気持ちが強まります。
そのため、先のことは考えさせません。特に、約束をするのが一番プレッシャーに感じます。「今日は休みたい。」と言った時に、「今日は休んでいいから、明日は学校に行こうね。」とは言わないようにしましょう。
夜に「明日は学校に行けそう?」と聞いたり、朝に「今日は学校へ行きそう?」と聞くのもやってはいけません。学校に行く前提で、いつも通りに過ごしましょう。子どもがそのまま学校に行けば、いつも通りに見送り、「行きたくない。」「休みたい。」と言ったら休ませるようにしましょう。
学校との繋がりをとぎれさせないためには?
学校との繋がりをとぎれさせないためにしたいことは、以下のことです。
- 担任の先生と会ったり、話をしたりする機会をつくる。
- 友達と会う。
学校への安心感を抱かせるため、学校へ復帰した時にスムーズにクラスの輪に入れるようにするために、学校との繋がりを絶たないようにしたいです。
そのために、できる範囲で学校とつながるようにしましょう。具体的な例をいくつか紹介します。
- 学校の先生と日記のやり取りをする。(今日家でやったこと等を交換日記のようにする。)
- 学校の先生と電話で話をする。
- 放課後、誰もいない時間に学校に行く。
- 保健室登校をする。(休み時間に保健室で友達と会う。)
学校にも協力してもらい、「渡したいプリントがあるから、学校に取りに来てくれない?」「日記を届けたいから、今から一緒に学校へ行こうよ。」など、理由をつけて学校に行くのも良いですね。
また、放課後においても、友達と遊ぶのを禁止する、習い事や部活には行かせないというのは避けましょう
「友達と話しているうちに、学校に行きたくなった。」「友達に誘われて自然にクラスに入る気になった。」ということもあります。学校に戻るきっかけはなるべく残しておきたいですよね。そのため、不登校中でも友達と関わることは積極的に行いましょう。
もちろん、子どもですから、「学校をサボっている」という印象を受けることも少なくありません。理解を得るために、友達の親御さんに伝えたり、仲の良さによっては、友達本人に理解を求めたりするのがよいでしょう。
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子どもの辛い気持ちに寄り添うための行動とは?
不登校で、一番辛い気持ちをしているのは、子ども本人です。ですから、子どもの気持ちに寄り添った対応をするようにしましょう。
- 子どもの話を否定せずに聞く。
- 「頑張れ」という言葉を使わない。
- 今まで通りに接する。
- 自信をつけられるように褒めてあげる。
今までの説明でもお話ししてきましたが、子どもにとって、家やお家の人は最後に残された居場所であり、相談できる大人です。そのため、不登校の原因や困っていること等、子どもが話してくれたことは否定せずに聞いてあげましょう。
子どもは自分が不登校であることに負い目を感じており、何とかしなければならないと常に思っています。
このような状態でお家の人に「不登校なことは悪くない。」と認めてもらうだけでも、気持ちは軽くなります。反対に、応援する気持ちであっても「頑張れ」と言う言葉は、「頑張らなきゃ」と自分を追い詰めてしまうことにつながるので、使わないよう注意しましょう。
また、負い目を感じていることから、親からもよそよそしい態度をとられてしまうと、逃げ場が無くなるように感じ、かえってストレスが増えかねません。子どもが不登校になったからと言って特別扱いせず、いつものように「おはよう」と話しかける等、あまり不登校であることを意識せず、普段通りに接してあげましょう。
まとめ
不登校の子どもは、不登校であることを気にし、落ち込んでいます。お家の人の焦り、不満、悲しみも感じ取って、自分を追い込んでしまいます。難しいことではありますが、子どもの前では不登校のことを意識しないことが対応するうえで最も大切なことだと言えます。
そのうえで、子どもに学校へ復帰するきっかけ・チャンスをたくさん残したり作ったりすることが重要です。基本は学校へ行くつもりで一日を過ごす、友達や先生との交流を続ける、とりあえず学校の前まで送ってみる等、チャンスを作ってあげましょう。
気を付けたいのが、「ただ休ませて、放置する。」ということです。子どもは「学校に行かなくても別にいいんだ。」と思い、学校へ行く気持ちはますます薄れてしまいます。
大切なのは、休ませた「後」です。お家で勉強をする、時には、学校へ行くことやこれからどうしたいかについて話し合ってみる、先生や友達と話せるようにする、といったように、歩みは遅くなっても前に進む気持ちは忘れずにしたいですね。
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