中学1年生の社会の地理では、「アジア」という単元を学習します。
そこでこの記事では、この単元が苦手という中学生やそして中学生に勉強を教える親御さんのために抑えておくべき重要なポイントをわかりやすくまとめたので参考にしてください。
アジア地域の地形と気候
アジアの内陸には、8,000mをこえるヒマラヤ山脈や、チベット高原などの高地が広がり、西アジアのイラン高原やトルコのアナトリア高原まで続いています。
これらの高地から、長江・黄河、メコン川、インダス川などの大河川が流れ出しており、下流域に広がる平野は水田などの農耕地として広がっています。
気候
アジアには、寒帯・亜寒帯(冷帯)・温帯・乾燥帯・熱帯まですべての気候帯が見られます。東アジアから南アジアにかけての東部地域は季節風(モンスーン)で四季が見られます。
一方、内陸部や西アジアでは季節風の影響が及ばないので、1年を通して雨があまり降らない乾燥した気候となり、水が利用できる場所に集中して住んでいたり、牧畜が行われています。
アジア地域ではそれぞれの区分ごとに独自の発展をしており、異なる特徴を持っています。以下では重要なポイントをまとめたので参考にしてください。
東アジアと中国
東アジアでは数多くの国と地域があり、それぞれ独自の発展をしてきました。
中国の産業
まずは東アジアの要「中国」の産業についてみていきましょう。
農業
降水量の多い南部では稲作(米)が行われ、降水量の少ない北部では、畑作(小麦・とうもろこし)が行われています。
農産物のほとんどは、人口が多いため国内で消費されていますが、日本などに向けて輸出(茶・野菜・水産物など)も行われています。
工業
中国では、1949年の建国以来、国が中心となって独自で工業化を進めて来ましたが、低賃金だったせいか、なかなか成果が出ませんでした。
そこで、日本企業や外国企業向けに外国の設備や技術を導入するための税金を優遇するなど経済特区をシェンチェン(シンセン、深圳)や、チューハイ(ジュハイ、珠海)などに作り、外国企業と共同で工業化をする方針に切り替えました。
すると安くて豊富な労働力を活かし急速に工業化が進展し「世界の工場」と呼ばれるまでに発展しました。
人口の多い国内向け販売も拡大し現在では「世界の市場」としても注目されています。
急激な発展に伴う問題点
絶好調と思われる中国でも新たな問題として環境問題と経済格差があります。
環境問題とは、急速な経済発展に伴い各地で工場が建設されましたが、環境対策が十分でない工場が多く、各地で工場からの排煙や廃水を原因とする大気汚染や水質汚濁などが発生したことを言います。
経済格差とは、都市化・工業化が進展 した沿岸部と従来の農業中心のままの内陸部で経済的格差が拡大し、内陸の農村部より多くの収入を得ようと沿岸部への都市への出稼ぎが増加しました。
しかし、収入の格差がますます広がっているので、国は内陸部で鉄道や道路、工業団地などの整備・開発を進めています。
これを「西部大開発」と言います。
尚、現在では、現代版シルクロードの「一帯一路」建設ともうまく連動し、貴州や重慶、四川、陝西といった西部地域でも経済成長が進んできています。
東南アジア
東南アジアと言えば、世界遺産でもあるタイの古都アユタヤ遺跡群や古代都市スコータイ、カンボジアのアンコール・ワットなどの遺跡群、さらには、インドネシアのビーチリゾート、バリ島などの観光名所があります。
そんな東南アジアも中国と同じように工業化で経済成長が進んで来ています。
東南アジアの国々
東南アジアは以下の国々です。
インドネシア、フィリピン、ベトナム、ラオス、カンボジア、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、タイ、ミャンマー、東ティモール
人口
東南アジアの人口は多く、約6億人です。
華人と呼ばれる中国系の人々は東南アジアの各地に住み、流通業をはじめさまざまな分野で活躍しています。
農業
主食は米で、季節風の影響で気温が高く降水量が多く、稲作が盛ん(年に2回米を作る二期作も行われています)。
タイやベトナムは世界有数の米の輸出国となっています。
そのほか、マレーシア・インドネシア・フィリピンなどでは、プランテーション(大規模農園)で天然ゴムや油やし、バナナなどの輸出用の作物が生産されています。
ベトナムでは、コーヒーの栽培によって貿易の拡大に伴い新しい産地となっています。
工業
東南アジアの国々では各地で工業化が進んでいます。
工業団地を整備し、少し前の中国と同じ形で労働賃金の安さを生かして外国企業と共同で工業化を進めています。
シンガポール・マレーシア・タイは、早くから工業化が進んでおり、電気機械工業や輸送機械工業を発達させてきました。
中でもタイは、日本をはじめとする各国の自動車メーカーが進出しており、東南アジアの自動車生産の拠点となっています。
最近は中国などから、さらに賃金の安いベトナムやインドネシアへ工場を移す企業が増えています。
ミャンマーやカンボジアなど工業化の遅れていた国々でも、衣類や生活用品などをつくる工場が進出しはじめました。
一方で、中国と同じように都市部で生活水準は向上しましたが、農村部では経済格差が拡大し、農村から都市への人口流出が問題となっています。
ASEAN(東南アジア諸国連合)
東南アジアの農業や工業化への後押しをしているのが、ASEAN(東南アジア諸国連合)です。
貿易や人の交流をさらに活発にして、地域の結びつきをより強くしようとしています。
もともとは戦争や紛争などの問題をかかえていた東南アジア地域の安定をめざすため、1967年に結成されたもので、現在は東ティモール以外の10カ国が加盟していることからASEAN10と言われています。
南アジア
インドやパキスタンなどがある南アジアを見ていきましょう。
宗教
インドは、約12億人の人口(約14億人の中国に続いて現在2位)で、将来は世界一になるだろうとの予測もされています。
宗教では、 ヒンドゥー教徒が大多数で約72%を占めています。ヒンドゥー教徒は、カースト制度と呼ばれる身分制度によって、職業や結婚の範囲が限定されてきました。
インド以外の南アジアでは他の宗教を信仰している人も多く、パキスタンやバングラデシュではイスラム教、スリランカなどでは仏教を信仰している人が多いようです。
農業
南アジアの国々は、気候が同じではなく異なるため、それぞれの気候のちがいを活かした農業が行われています。
降水量の多いガンジス川下流部では稲作が行われ、降水量の多い上流部では小麦の栽培が行われています。
輸出用作物も多く作っていて、スリランカの茶や、インドのデカン高原の綿花などは有名なので押さえておきましょう。
ICT関連産業
インドでは近年、情報通信技術(ICT)関連産業の、特にソフトウェアの輸出が大幅に伸びています。
ICTとは、情報技術(IT=Information Technology)と通信技術(CT=Communication Technology)が結合した言葉で、ICT業界では、会社はアメリカの会社(例えばマイクロソフトやGoogleなど)でも働いている技術者は、インド出身者が活躍の場を広げています。
伸びている理由は、数字の発明国であるインドの数学教育水準が高かったり、イギリス植民地時代に英語を話せるようになったことや、新しい産業なのでカースト制度の影響を受けにくく、国や州も産業の発展を援助したインドならではの理由があげられます。
中国が経済発展を遂げた今、インドに多くの外国企業や日系企業も数多くが進出しています。
西アジア ・中央アジア
今度は西アジア・中央アジアを見ていきましょう。
オイルマネーで栄えた国々は独特な発展をしており、アラブ首長国連邦の1つであるドバイは、砂漠の中のリゾートとして有名です。
トム・クルーズのミッション・インポッシブル4の撮影でも使われた世界一高いビルであるブルジュ・ハリファは206階建てで高さはなんとの828メートルです。
イスラム教
西アジアや中央アジアはほとんどがイスラム教徒で、断食やメッカへの巡礼が行われます。西アジアはアラビア語が中心です。
石油
西アジアは原油産出量が多く、アラブ諸国は石油輸出国機構(OPEC)で結び付いています。
採掘された原油の大部分は、タンカーやパイプラインで日本や北アメリカ、ヨーロッパなどへ輸出されています。
石油で得たお金(オイルマネー)で重化学工業化や近代化を推進してきました。
ドバイなどは、石油の恩恵を受けて発展した代表的な都市です。
OPEC(オペック)は、
Organization of(機構)
the Petroleum(石油)
Exporting(輸出する)
Countries(国々)
の文字を略したものです。
OPECは西アジアだけでなく、アフリカの産油国や南アメリカのベネズエラなども加盟していますので、注意してください。
中央アジアは、原油+天然ガス・石炭・希少金属(レアメタル)などの鉱産資源にめぐまれています。