中学1年生の社会の地理では、「オセアニア」という単元を学習します。
そこでこの記事では、この単元が苦手という中学生やそして中学生に勉強を教える親御さんのために抑えておくべき重要なポイントをわかりやすくまとめたので参考にしてください。
オセアニアの地理と気候
オセアニア州は、オーストラリア大陸と3つのネシアでつくられています。
オセアニアは「オーシャン(大洋)」という言葉からつくられた地域名で、ネシアは「諸島、島々」という意味からなっています。
3つのネシア
・ミクロネシア(小さい島々)
パラオ・ミクロネシア連邦・マーシャル諸島・グアム(アメリカ合衆国領)など。
・メラネシア(黒い島々)
パプアニューギニア・フィジー・ソロモン諸島・ニューカレドニア(フランス領)など。
・ポリネシア(多くの島々)
ニュージーランド・サモア・ハワイ(アメリカ合衆国領)・イースター島(チリ領)など。
オーストラリア大陸
オーストラリア大陸は、大規模な地震や火山がない安定した地域で、その大部分は標高500m以下のなだらかな平原となっています。
一方、ニュージーランドやパプアニューギニアは、日本と同じように地震や火山が多いことが特徴です。
ニュージーランド
ニュージーランドでは、温泉を生かした観光や地熱発電が早くから行われてきました。
太平洋には、海底火山が山頂部分を出している火山島や、サンゴ礁が発達している美しい島々があり、多くの観光客が訪れます。
オセアニアの気候
オーストラリアは、大陸全体の3分の2の地域が年降水量500mm以下となっています。
特に内陸では降水量がきわめて少なく、ほとんどの地域が、乾燥した草原や砂漠でできており、別名、乾燥大陸と呼ばれています。
そのため、人口のほとんどは、比較的降水量が多く農業の盛んな南東部・南西部に集中しています。
ニュージーランドは、ヨーロッパの西部と同じ西岸海洋性気候で、一年中適度な雨が降ることが特徴的です。このため牧草がよく育ち、羊や牛などの牧畜が盛んです。
太平洋の島々は、雨の多い熱帯の気候ですが、海風が湿気をやわらげてくれるので、一年中過ごしやすい気候となっているようです。
オーストラリアの多文化社会
オセアニアの国々は20世紀初めまでイギリスやフランス、アメリカ合衆国などの植民地だったので、キリスト教を信仰する人が多く、英語やフランス語が公用語となっている国が多くあります。
また現在でも、サイパンやグアムはアメリカ合衆国領、タヒチやニューカレドニアなどはフランス領のままです。
オーストラリアは、おもにイギリスからの移民によって開拓が進められたので、第二次世界大戦の直後までは、国民の大多数がイギリス系の人々でした。
第二次大戦以降は、ギリシャなど他のヨーロッパからの移民が増え、白豪主義が撤廃された1970年代以降は、アジアも含めたさまざまな地域からの移民とその子孫が、現在のオーストラリア社会を作りあげてきました。
多文化社会への歩み
もともとイギリス色の強かったオーストラリアですが、移民の増加により、さまざまな文化をたがいに尊重しあう多文化社会へと大きく変化しました。
オーストラリアの公用語は、英語だけですが、英語によって社会のまとまりを保つと同時に、英語以外の言語によるテレビ放送や、異文化理解のための外国語教育など、多文化に配慮したさまざまな取組が進められてきました。
オーストラリア先住民アボリジニーの美術や独自の伝統文化を尊重するための努力が続いています。
ニュージーランドもイギリス色が強いですが、英語のほかに先住民マオリの言語も公用語と認められていたり、国会でマオリの議席が確保されるなど、多文化社会の一員としてマオリの社会的地位や文化を守る取り組みが進められています。
オセアニアの産業
以下ではオセアニアの産業の重要ポイントをまとめたので参考にしてください。
農業
オーストラリアの広大な大陸で、のびのび育った牛さんのお肉が日本を含め多くの国々に輸出されています。
オーストラリアは、乾燥大陸ってよばれていると前に書きましたが、内陸部は正直、農業には向いていません。
大陸の右側や左下の北東部・南東部・南西部は、降水量に恵まれており、牧草がよく育ちます。そのため、肉牛や羊毛用の羊の飼育が盛んです。
特に大陸の右下の南東部や、左下の南西部では、小麦などの栽培と組み合わせた牛や羊の飼育が行われていて、代表的な農業地帯にもなっています。
オーストラリア大陸の右下の南東部には、オーストラリアで最大の都市シドニーがあったり、間違えやすい首都キャンベラなどがあります。
当然、人口が多く都市向けに出荷される野菜や果実の栽培も盛んです。
日本は、オーストラリアの真北にあり、ほぼ同緯度にあります。赤道をはさんで南半球と北半球のほぼ同経度にもあることから、季節が逆になるという特徴があります。
そのため、本来季節が違って食べられないはずのアスパラガスやたまねぎ、ブロッコリーなどがオーストラリアから日本へ輸入されています。
このように、乾燥地域の多いオーストラリアでは、農業は降水量の影響を強く受けています。
ニュージーランドは、温帯で降水量が十分にあるので、同様に牛や羊の飼育が盛んです。
但し、オーストラリアが、肉牛・羊毛だったのに対し、ニュージーランドは乳牛・羊肉といった違いがあります。
オーストラリアの輸出品
オーストラリアは、1960年代の輸出の3~4割は羊毛で、輸出の相手国はイギリスが1位でした。
現在の輸出では鉄鉱石や石炭や天然ガスの割合が高く半分弱です。輸出の相手国は、中国が1位で、日本、韓国、インド、アメリカなどが続きます。
鉄鉱石は、大陸左上の北西部で採掘され、石炭は、大陸右側の北東部・南東部で採掘されています。
尚、露天掘りと呼ばれる地表をけずってほり下げていく方法で、大規模で効率の良い採掘が行われています。