中学2年生の社会の地理では、「日本の位置と領域」という単元を学習します。
そこでこの記事では、この単元が苦手という中学生やそして中学生に勉強を教える親御さんのために抑えておくべき重要なポイントをわかりやすくまとめたので参考にしてください。
日本の位置
緯度と経度を使って日本の位置をみてみると、緯度では、およそ北緯20度から50度の間にあります。
ほぼ同じ緯度にあるのは、アメリカ合衆国、中国、アフリカ大陸北部からヨーロッパ南部などです。また、日本は北半球にありますが、逆側の南半島でほぼ同じ緯度にある国としては、ニュージーランドやアルゼンチンなどです。
経度では、およそ東経122度から155度の間にあり、ほぼ同じ経度にあるのは、オーストラリア、ロシアの東部、韓国などです。
時差と日付変更線
2つの地域の標準時の差のことを時差と呼び、経度の差が大きいほど時差も大きくなります。具体的には15度で1時間の時差があります。
ロシアやアメリカ合衆国のように東西に長い国には、国内でも複数の標準時があります。
太平洋上には、日付変更線という1日の始まりと終わりを表す線が、ほぼ180度の経線上に沿って設けられていて、日付変更線を西から東へ通過した場合は1日遅らせ、東から西に通過した場合は1日進みます。
時差をもとめよう
日本(経度135度)とイギリス(経度0度)は経度差が135度ですので、以下の計算で簡単に求めることができます。
135(度)÷15(度)=9時間
経度15度ごとに1時間の時差なので、9時間の時差があると簡単に計算できます。
領域と経済水域
国の主権がおよぶ範囲を「領域」といい、以下の3つに分けられます。
陸地・・・領土
海域・・・領海
空域・・・領空
この領土・領海・領空を合わせたものが「領域」です。
尚、領海の範囲は国によって異なりますが、日本の領海は領土沿岸から12海里(約22km)の範囲、日本の領空は領土と領海の上空と定められています。
排他的経済水域と接続水域
日本の領海は海岸線から12海里(約22.2km)の範囲ですが、その領海の外側には、沿岸の国が魚などの水産資源や、海底にある鉱産資源を利用する権利をもつ排他的経済水域があります。
排他的経済水域は、国連海洋法条約で海岸線から200海里(約370km)以内の範囲と定められており、この海域では、船や航空機の通行、海底ケーブルやパイプラインの敷設がどの国にも認められています。
また、領海の外側で、海岸線から24海里(約44.4km)の範囲を接続水域と呼び、沿岸の国が密輸や密入国などの取りしまりを行っています。
各国の 排他的経済水域の面積は、領土における海岸線の形や、隣国との位置関係などで大きく異なります。
島国である日本の場合は、領海と排他的経済水域をあわせた面積が、国土面積の10倍以上にもなります。
日本近海は、世界でも有数の漁場と言われており、沿岸の海底には、天然ガスをはじめとする地下資源が豊富にあると予測されているため、これらの海域が含まれる排他的経済水域は、日本にとって重要なものです。
そのため、水没する危険性のあった東京から約1,700km離れた日本最南端の沖ノ鳥島に護岸工事をほどこしたり、無許可で漁業を行う外国の船などを海上保安庁が取りしまったりして、排他的経済水域を守る取り組みを行っています。
日本のはしっこ
日本において、東西南北の一番端の島は覚えておきましょう。
- 最北端…択捉島(北海道)
- 最南端…沖ノ鳥島(東京都)
- 最東端…南鳥島(東京都)
- 最西端…与那国島・西崎(沖縄県)
日本の領土問題
北方領土・竹島・尖閣諸島などで、その領有をめぐって隣国との間で課題がある地域もあります。
北方領土問題
北方領土とは、北海道の北東にある国後島・択捉島・色丹島・歯舞群島の4つの島のことをいい、日本固有の領土と考えられています。
日本はサンフランシスコ平和条約において、樺太の一部や千列島の権利を放棄しましたが、北方領土の近海は、水産資源が豊富な漁場で、多くの日本人がこれらの島に住んでいました。
しかし、第二次世界大戦後にソビエト連邦に占拠され、日本人は強制的に退去させられ、現在までロシアが不法に占拠した状態です。
1992年からは、相互理解と友好を深めて北方領土問題の解決に貢献することをめざした「ビザなし交流」が始められ、日本人の元・島民やその家族と、現・島民のロシア人との相互訪問が行われるようになりました。
日本は、ロシアに対して北方領土すべての返還を求め続けていますが、実現していません。
竹島問題
竹島は、1952年から韓国が一方的に自国の領土と主張し占拠しています。ちなみに韓国名は、独島(トクト)という呼び名です。
韓国は海洋警察隊をおいたり、灯台や埠頭などを建設したりしていて、日本はこれに抗議し、国際司法裁判所での話し合いを3回も提案していますが、韓国が応じず現在にいたっています。
竹島は日本海にあり、17世紀には日本の人々が漁を行っており、1905年には、明治政府が国際法に従って島根県に編入し、日本固有の領土として再確認されています。
尖閣諸島問題
1970年代から、中国が一方的に領有権を主張するようになったのが尖閣諸島です。
中国の船が尖閣諸島周辺の日本の領海に不法に侵入してくることが何度かあり、日本は2012年に尖閣諸島の大半を国有地化し、領土の保全に努めています。
尖閣諸島は東シナ海にあり、1895年に沖縄県に編入された日本固有の領土です。第二次世界大戦後はアメリカ軍の占領下に一時おかれましたが、1972年に沖縄県の一部として日本に復帰しています。