今回は、「大学にもカーストがあるってホント⁉」との疑問にマナビバがお答えします。
元々はインドの階級制度、身分制度として知られた言葉ですが、この言葉と「大学」がどのように関連するか、探っていきます。
大学にカーストはある!
大学にカーストというものがあるのかというと、実社会から見ると言わずもがなの歴然とした大学カーストが存在しています。
それは、「学歴フィルター」に象徴される大学の偏差値や長い伝統的な評価による大学カーストです。
その大学カーストというものは、就職活動などでも「学歴フィルター」を用いて選別したり、人の評価の中の一側面として見られることがある、という意味合いで解釈するのが適切です。飽くまでも企業社会のヒエラルキー(階級)の一部であるということです。
忘れてはいけないことは、「大学名」の社会的評価であって、一人ひとりの人間としての評価を出身大学で決めることなど出来ない、ということです。ただし、努力して難関の大学を突破したことを悪く言う人はほぼいないことも同時に言えます。
カーストは何段階に分けるの?
カーストという呼び名は、インドで4 つの階級(バラモン、クシャトリア、ヴァイシャ、シュードラ)と枠外(アウト・カースト、指定カースト、指定部族)グループで階層分けをした身分制度のことですが、日本の歴史でも士農工商その他の階層分けがあり、事実として善悪にかかわらずカーストは存在しました。
それが現代社会においては、特に就職活動で、最初から出身大学によって学生を振り分ける「学歴フィルター」と呼ばれるものがあります。企業の人事に携わる人には、限られた時間の中で大量の就職希望者を選別するために何らかの振り分ける手段が必要です。それが「学歴フィルター」です。
それを、日本の大学に当てはめると以下のような分け方になります。企業などが新人採用で大量の応募者を振り分けるために、大まかに4段階〜6段階くらいに分けられます。
カースト的な序列順位 | 大学群 |
---|---|
上位の中の上位 | 主に最難関大学、医学部など難関大学の中の特定の学部 |
上位の中の下位 | 主に難関大学、上位大学の一部 |
中堅の中の上位 | 主に上位大学、中堅大学の中の偏差値55前後まで |
中堅の中の下位 | 主に中堅大学で偏差値50程度まで |
下位の中の上位 | 主に難易度の低い大学(偏差値45前後) |
下位の中の下位 | 主に偏差値40前後の大学、ボーダーフリーの大学 |
だいたい以上のようになります。
「どちらの学校のご出身ですか?」「はい、〇〇大学の□□学部です」という会話はよく聞かれます。
善悪はさて置き、現実問題として「学歴フィルター」は学生の評価をする上で手っ取り早いというのが企業側の本音かも知れません。大企業ともなれば千人単位で応募が来ます。それを丁寧に一人ひとり面談している時間はありません。
中学、高校のカーストと大学のカーストの違いは?
中学や高校では、主に運動系の部活の子が幅を利かせる、などがよくある例で、生徒たちの間で何かしらのグループ分けや序列のようなものが見られることもあります。また、首都圏などでは私立中学・私立高校に通うのがステータス、とも言われています。
では、大学にはそういうものが当てはまるのでしょうか?
結論から言えば、中学や高校におけるクラス内で地位や幅を利かせる、のような感覚のカーストはほぼありません。なぜならば、大学には自分のクラスや担任というものがほぼ無いからです。
仮に所属のクラスがあったとしても、自分の教室、自分の机、朝や帰りの学活やHRというものが大学には基本的になく、休み時間は受講する科目の指定された教室へ移動するため、教室で休み時間に友達と楽しくおしゃべりするような間もあまりありません。つまり、年中ある特定の集団の中で比べ合う場そのものがほとんどない、というワケです。
したがって、大学では学校内の生活における友達や個人間のグループ分けに近いカーストはほとんど無いと言えます。もう成人としての年齢に達していることもあり、カッコいい、おしゃれでカワイイ、運動ができる、などの序列分けからは卒業しているとみるのが妥当です。
大学の中のカーストは学部の序列なの⁉
もし、一つの大学の中で何らかのカーストの類があるとすると、一つだけ考えられます。
それは、学生のキャラクターやパフォーマンスでの階級や序列ではなく、どちらかといえば同じ大学の中での学部間によるカーストのほうが強いと言えます。例えば医学部は大学の中で別格扱いです。また、文系なら法学部が最高位の学部という見られ方をすることがしばしばです。
しかし、例えば明治大学では商学部を「看板学部」として認知されてきたなど、伝統的に大学を代表するような学部もあります。また、上智大学では外国語学部英語学科、法学部法律学科、法学部国際関係法学科が御三家と呼ばれることも多く、近年は総合グローバル学部も人気があります。それでも世間一般では「上智といえば英文学」の印象を持つ人が多数派です。
このように見ると、その大学によって、それぞれの大学内の学部間カーストが少しは存在するかもしれません。
カーストもどこまで分けるか程度が問題
企業によって作られる「学歴フィルター」と、それとは別に一般的な「あなたはどの学校を出たの?」という会話で受け取られる印象は、けっこう共通する認識度があり、これが社会的な知名度や評価というものにつながっています。
いわゆる「偏差値」による輪切りのランクづけはよく知られたものですが、数値を追いかけてカーストが細分化され過ぎると、階級や地位、身分などの意味合いより数値の比較が中心となっていきます。その人の評価の一項目である学力や学歴というものに拘り過ぎると、偏った人の見方になりかねません。
このように見ると、大学のカーストを考えるのも時と場合によります。 先ほどの大まかな大学カーストを更に細分化すると、今度は以下のようになります。
序列 順位 | 国立大学 | 私立大学 |
---|---|---|
別格 | ・東大医学部など最難関国立大学の医学部 | |
1 | ・東京大学、京都大学、一橋大学、東京工業 ・千葉大、金沢大、新潟大、岡山大、長崎大、熊本大の「旧六医」医学部 | ・慶應義塾大学医学部、東京慈恵会医科大学、日本医科大学、順天堂大学医学部 |
2 | ・大阪大学、名古屋大学 | ・私立大学の医学部の上位校 |
3 | ・神戸大学、東北大学 ・上記以外の国公立大学の医学部 | ・上記以外の私立大学の医学部 ・慶應義塾大学、早稲田大学 |
4 | ・北海道大学、九州大学、東京外国語大学、大阪公立大学 | ・上智大学、同志社大学、明治大学 |
5 | ・筑波大学、横浜国立大学、千葉大学、東京都立大学 | ・立教大学、国際基督教大学、東京理科大学、青山学院大学 |
6 | ・広島大学、お茶の水女子大学、名古屋市立大学 | ・中央大学、法政大学、学習院大学 |
7 | ・金沢大学、岡山大学、電気通信大学など | ・関西学院大学、豊田工業大学、明治学院大学、立命館大学、津田塾大学、など |
・ ・ ・ | 中堅クラスの国公立大学 | ・中堅クラスの私立大学 |
15 | 国公立大学の中で最も難易度が低い大学 | ・京都産業大学、中京大学、文教大学、など |
・ ・ ・ | ・難易度の低い多数の大学 | |
30 | ・ボーダーフリーの多数の大学 |
実際に大学受験を考えるとき、上記のような偏差値のランキングは参考材料として役に立ちます。それと似たような意味合いで、企業側もそのようなランキングを参考材料にしている可能性もなくはありません。
しかし、最も重要なのは、その人がどんなことに取り組んで、どんな成果を出したか、という人物としての評価です。したがって、有名な難関大学に入っても、その後の数年間を無駄に送っては台無しになってしまうかも知れません。
それと同時に、一所懸命に勉強して有名な難関大学に入ったならば、そのような難しい入試を突破するところまで頑張って勉強を続けた努力と集中力は大いに評価されて当然ともいえます。
まとめ
世の中には、高層タワーマンションのどの階に住んでいるかによって成立するようなカーストもある、という話まであります。何らかの並び順があれば、そこに何らかの順位づけや序列、階級分けのカーストが人のココロの持ちようで自然発生的に出てくるものなのかも知れません。
それが大学受験ともなれば、当然に学力の高低による順位づけがあり、また同じ大学の中でも学部間に多少の差が生じるのは必然です。そのような差から感じる階級分けや序列、順位づけに振り回されず、自分の考えに根拠と確証をもって勉学に取り組むことが大切です。
その一方で、就職には根強くカースト的な学歴フィルターも存在していることをよく承知して、進学先を決めて行きましょう。