「マウントをとる」という言い方は、一昔前にはあまり聞かない言い方でした。
相手よりも上の立ち位置をとり、その優位性から「自分のほうが上にいる」ことに喜びを感じたり、安心したり、物事を自分の思う方へ進めたり、自慢したり、相手を見下すような言動になる、など様々です。
では、「学歴マウンティング」とはどのようなことを言うのでしょうか、マナビバが探っていきます。
「学歴マウンティング」とは!?
自分のほうが相手より優れていたり上の立場にいることを相手に認めさせる、あるいは自分で確認する、などの行為を「マウントをとる」と呼んでいます。
したがって、「学歴マウンティング」とは、自分が相手より高学歴であることを持ち出して、自分が相手より優位な立ち位置に立とうとすることを言います。
最難関の国立大から上位の有名私大、中堅校の出身者まで幅広く「学歴マウンティング」をする人は存在します。もっと言えば、大卒というだけで高卒や専門卒の人に「学歴マウンティング」をしてくる人もいます。
または、立ち位置や力関係というよりも、単に自分のコンプレックスを解消したり、自分の存在意義を見つけたいというような、相手に対してのことより自分のメンタル的なところを何とかしようとして、その結果「学歴マウンティング」の言動をとってしまう人たちが実際には多いようです。
学歴マウンティングする人の5つの特徴
- ①他人と比べないと自分を見い出せない
- ②負けず嫌い
- ③自分が劣っていたり不幸であるのを認めたくない
- ④努力した自分を褒めてほしい
- ⑤受験で失敗し、今も上手く行っていない
①「他人と比べないと自分を見い出せない」について
マウントの特徴として、「人vs人」が根本にあります。別の言い方をすると、「自分と相手を比べて、どちらが上か?」という勝ち負けの判定をします。自分ひとりでは自分のことを判定できないため、必然的に誰か別の人と比べることになります。
もちろん、例えば部活に学校生活の多くの時間と情熱を費やして取り組んだ人は、その結果、出身学校がどこになろうとも、あまり大きな問題ではないかも知れません。また、自分で過去を振り返り、自分なりにその評価をすればそれでいい、という人も多数います。
その一方で、学校の勉強だけしかしていない人は、せめて有名な学校を出て、それを自分のアピールポイントにするしかない、という考えの人もいます。その考えの良し悪しは置いておき、現実に学歴でアピールしようとする人は、「他の人たちが入れなかった学校の出身」であることを人に知らせることで満足しようとします。
自分を保てる何らかの安心材料としては、具体的に学歴を強調することが手っ取り早く、またそれ以外に持っているものがないとなれば、つい学歴自慢でマウンティングしてしまう結果になります。
自分で好きで話すというより、つい話してしまうという人が結構います。それで安心するのです。
②「負けず嫌い」について
何事も、やる以上は必ず勝つ、勝たねば気が済まない、という人がいます。学校のテストでも、スポーツでも、大食いでも、職場の地位でも、収入でも、持ち家の価格や大きさでも、そして卒業した出身校でも。そのような人は、当然に入学した高校や大学もトップ校でなければ自分で自分を許せません。
自分が一等賞を取るためには、何らかの競争相手と勝負して、そして自分が負けていない、人より勝っている、という順位づけや序列づけをすることになります。
つまり、自分が常に一番であり続けたい気持ちが、人に対して学歴その他で勝っていることを確認する行為となります。それで学歴マウンティングし、満足しようとします。
この「負けず嫌い」は、①の「他人と比べないと自分を見い出せない」タイプと非常に似た感じがしますが、少し違います。①は自分で自分のことをどう評価していいかがわからない人で、それに対して②の「負けず嫌い」は本能的に誰かと競争して勝つことに喜びを感じる人で、その点で異なる性質といえます。
③「自分が劣っていたり不幸であるのを認めたくない」について
マウントポジションは、格闘技で仰向けの相手に馬乗りになった状態のことを指し、これが「マウントをとる」の由来となっています。マウントを取ると自分が上、マウントを取られたら自分が下、という目に見えてハッキリした勝ち負けや序列が生じます。
普段、自分は他者より劣っていると感じ、コンプレックスを持つ人は大勢います。自己肯定感の低い人が世の中に多数います。
そこから、「それは、そういうものだから仕方ない」と受け入れるタイプの人と、「いや、本当の自分はもっと違うハズだ」と信じて自分を他者より劣っていない、むしろ勝っている、と思いたいというタイプの人とに分かれます。③の「自分が劣っていたり不幸であるのを認めたくない」は後者に当たります。
そこで、形になってわかるように自らマウントポジションを取ることで、他者より劣っている自分を消し去ろうとします。そうすることで、いつものコンプレックスを吹き飛ばし、自分に自信を取り戻そうとしています。
それを実行するには、自分が勝てるものを出すしかありません。学歴しかない人は、学歴というカードを出す以外はない、ということになります。
④「努力した自分を褒めてほしい」について
そもそも高学歴というものは、簡単には手に入りません。近年では、親の経済力によって、得られる学力や学歴にも差が出てきている、と言われています。
それが、特に経済力の高くない家庭の子が頑張って努力して勉強し、好きなゲームやマンガを我慢して猛勉強した末に合格した難関校ならば、「こんなに頑張った私の話を聞いて!」「ここまで努力したオレを褒めてくれ!」と言いたくなるのも理解できなくはありません。
こんなに頑張ったのに、
「私は早稲田を出ました」
「ああ、そうですか。家がお金持ちで、いい塾とか行けていたんですね」
これでは、まるで自分が大して努力もせずにカネの力で一流大学まで行けたかのような評価になり、努力して頑張ったことを褒めてもらえません。こうなると、褒めてくれる人を見つけようとして、イチイチ学歴マウントを取ってくるようになります。
自分を褒めて認めてほしい、という気持ちが学歴マウンティングを習慣化させるのです。
⑤「受験で失敗し、今も上手く行っていない」について
受験で失敗し、「もし、あの時、〇〇大学に合格していたら」「もし、受験で落ちていなければ」などの「タラレバのモシ煮」は、二十代の人でも四十代の人でも、少なからずあると思われます。
しかしながら現実は、失敗してしまった自分がいます。そうは思いたくない、でも現実は現実で、鏡に映る自分がいます。そんな気分の悪い状況を、何とかして別の状況に変えてしまいたい、というココロの声が、マウンティングに走らせます。
いつもマウントを取りたいと思わなくても、自分より学歴の低い人を見つけ、その度に自分は決してダメではない、そこそこの所にいるのだ、と自分で自分に言い聞かせます。
総じて、受験で失敗したり、その後の就職や仕事で上手く行かなかったと感じている自分の中でのココロの問題を処理する手段として、学歴マウンティングを用いようとすることになるのです。
学歴マウンティングする人への対処法は?
学歴マウンティングする人に対しては、ムキになって対抗したり否定したりせず、
「そうなんですか。随分と頑張ってきたんですね、偉いですよ!」
とその人を認めて褒めてあげるのが最も無難に終わる方法です。
学歴マウンティングする人には、その人なりの理由や経緯があります。ほういう人が求めるものは、自分を肯定的に受け入れてほしいという「承認欲求」です。
「承認欲求」が強い人は、そもそも自分を否定されたくありません。また、自分より学歴なり何なりで上の人がいることも本当は承知しています。それでも、その場のその時では、学歴マウンティングをしてくる人に対して、あなたは最上級または最上級に近い位置にいる、と認めてあげることでその人は満足します。
そういう学歴マウンティングの話が嫌いな人は、無視をする、または話半分で聞き流す、という手もあるにはあります。
しかし、それでは当の学歴マウンティングをする人は満足できず、別の機会にまた話してきたり、他の人に言いに行ったりします。つまり、誰かに認めてもらい、褒めてもらわないと気が済まない人であるワケです。
相手を認めて褒めてあげることでその人が満足して気が済むのであれば、そうしてあげよう、という気持ちの余裕を持つことで、精神的にあなた自身が大人であることがわかります。
まとめ
今回は、「学歴マウンティング」をする人の特徴について触れていきました。単にイヤミな人で一緒に話すのが苦痛だ、と感じる人たちが多数いて、むしろ認めて褒めてあげようなどとは思わないかも知れません。
そこを、話を聞く側が一歩譲って聞いてあげる、あるいは百歩譲って聞いてあげる、そういう態度の持ちようでコミュニケーションが成り立ち、険悪な雰囲気を避けるのも賢い対応の選択肢になります。