今回は、大学への進学率について、都道府県別にご紹介します。
文科省が公表した学校基本調査によると、2021年度の全国の大学進学率は54.9%で過去最高であることが分かりました。短期大学と専門学校を含む高等教育機関への進学率は83.8%で、これも過去最高でした。
公開!都道府県別の大学進学率
では、都道府県別の大学進学率を見てみましょう。
<文部科学省の学校基本調査・高等学校卒業後の状況調査>
順位 | 都道府県 | 大学進学率 |
1位 | 京都 | 67.8% |
2位 | 東京 | 66.6% |
3位 | 兵庫 | 62.5% |
4位 | 大阪 | 61.8% |
5位 | 広島 | 61.3% |
6位 | 神奈川 | 60.9% |
7位 | 奈良 | 59.9% |
8位 | 愛知 | 59.0% |
9位 | 埼玉 | 58.5% |
10位 | 山梨 | 57.0% |
11位 | 福井 | 56.9% |
12位 | 滋賀 | 56.5% |
13位 | 石川 | 56.4% |
14位 | 岐阜 | 56.1% |
15位 | 千葉 | 56.0% |
16位 | 富山 | 55.3% |
17位 | 香川 | 55.1% |
18位 | 福岡 | 53.9% |
19位 | 徳島 | 53.8% |
20位 | 静岡 | 53.4% |
21位 | 愛媛 | 53.2% |
22位 | 群馬 | 53.0% |
23位 | 高知 | 52.5% |
24位 | 栃木 | 51.9% |
25位 | 岡山 | 51.8% |
26位 | 和歌山 | 51.5% |
27位 | 茨城 | 51.4% |
28位 | 三重 | 51.1% |
29位 | 宮城 | 50.0% |
30位 | 長野 | 49.1% |
31位 | 大分 | 48.8% |
32位 | 新潟 | 48.4% |
33位 | 北海道 | 47.7% |
34位 | 青森 | 46.6% |
35位 | 熊本 | 46.4% |
36位 | 長崎 | 46.1% |
36位 | 山形 | 46.1% |
38位 | 福島 | 45.8% |
39位 | 鳥取 | 45.4% |
40位 | 岩手 | 45.2% |
41位 | 島根 | 45.1% |
42位 | 秋田 | 45.0% |
43位 | 宮崎 | 44.9% |
44位 | 山口 | 44.3% |
45位 | 佐賀 | 43.6% |
46位 | 鹿児島 | 43.5% |
47位 | 沖縄 | 40.8% |
出典:文部科学省学校基本調査
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm
このような順位になりました。
トップ10を見ると、広島以外は首都圏または関西圏です。やはり大都市のある都道府県や大都市から近い都道府県は進学率が高く、その一方で地方の県や道は低い傾向にあります。それでも、日本の大学進学率は全体で上がっています。
なぜ大学進学率が上がったの?
大学への進学率が高まる要因として、第一に少子化の影響が考えられます。
少子化が進むと、受験資格のある人口は減るのに大学の入学定員の間口は変わらないため、「どこかの大学には入れる」ということになっていきます。この入りやすさ、合格のしやすさは高くなり、進学率も高まるからだと考えられます。
少子化に伴って国立大学は在籍者数を減らしていますが、一方で私立大学は学部を増設したり、女子大学が共学化して施設を拡充し、結果的に在籍者数は増しています。
このような状況が続き、少子化の中でも大学生の数が全体として増え続けているのです。
この他では、コロナ禍で雇用環境の見通しが不透明なことから、就職希望だった高校生が大学進学へ進路選択を変えたり、高等教育の修学支援制度によって学ぶ機会を確保できた生徒が増えたことが挙げられます。
大都市圏と地方の差は縮まらない!?
では、今回の都道府県別の大学進学率のような、大都市圏は進学率が高く、地方は低い、という状況は今後も続くのでしょうか。
これには、大まかに二つの観点があります。
①地方は学生を受け入れるのが難しい
まず、首都圏や関西圏、中京圏などは、ただ人口が多いだけでなく、大学の数が多いことや、大学の規模も大きいことが強みです。加えて若い人に向けた施設や店舗も多数あります。
それに対して、地方は大学そのものが多くありません。また地方の大学は規模が小さめの学校が多数で、なかなか地方に住む学生が増えるような状況にはありません。
もし、自分の子供を大学まで行かせようと思ったら、例えば上京させる、などの手段も考えなければいけなくなります。その負担や心配を思えば、簡単には遠くの大学へいかせようとはならず、地元の大学へ、ということになるのが自然です。しかしながら、その地元の大学が少ないというのが問題です。
②経済力に格差がある
学生を持つくらいの年代の人たちを大体40代後半〜50代前半と想定すると、東京では親の年収の中央値が約700万円であるのに対し、地方は400万円台です。
教育県として知られる秋田県は、子どもたちの学力テストの成績は全国でトップクラスです。それにもかかわらず、大学進学率は47都道府県の中で42位です。この秋田県の状況を見れば、学力が不足していて大学へ進学できないのではなく、別の理由があると想像できます。
その最たるものが経済力の差と言えます。まして、大学の立地場所が首都圏や関西圏に集中しているため、そこに住んでいる家では交通費はかかっても仕送り代は要りません。それを地方の子が通うとなれば、上京して部屋を借りて生活しながら学費も納めるという非常に高額な支払額となります。
これが大きく影響して地方の大学進学率の向上を阻んでいると思われます。
大学進学率に男女差はあるか!?
大学進学率は、日本ではまだ男女差があります。以下のグラフをご覧ください。
統計情報リサーチ
https://statresearch.jp/school/university/students_5.html
男女別に見ると、昔よりも大学進学の男女差は縮まっています。
しかし、それでもまだ男女差はあります。これが将来、本当に対等になるには、就職先で男女雇用について全く変わらない状況になることや、男性が家事をもっと手伝うのが当たり前であるという社会的な環境の変化も必要です。
北海道では、大学進学率は全国で33位ですが、男女差が激しく、男子の進学率が女子より10ポイント以上高いという数値が出ています。
大学への進学率に男女の差があると、大企業などで有名大学の学生しか採用しない方針の会社に女性が入社する自体が難しくなります。当然ながら企業も一定数の男女比を確保しようと考えてはいるものの、有名大学の男女比が互角にならないと採用する男女の比率はどうしても男性が多くなってしまう、という結果になります。
奨学金で大学へ進学できる!
地方出身者が大学に行くための方法もなくはありません。それは「奨学金」の制度を活用することです。特に、返済の必要のない給付型の奨学金は、可能なら利用しましょう。
ネット検索でも「奨学金」「大学」などの必要な文言を入れれば情報の入手ができます。資金的に大学進学は無理だ、とすぐに断念せずに、高校の進路相談の先生にも奨学金について話を聞いてみるなど、手を尽くすことが大切です。
もちろん、幾つかの条件はあります。当然ですが親の経済力がある家庭は条件から外れるかも知れません。その他では、その学生の学力や、通学する大学や短大、専門学校なども審査条件の中に含まれるところも多いようです。
JEES奨学金
http://www.jees.or.jp/foundation/g-scholarship.htm
JASSO奨学金
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/
JBC・CSR基金
https://www.jbc-csr-fund.org/
まとめ
今回は、都道府県別の大学進学率について調べてみました。
日本三大都市圏である、東京を中心とする首都圏、京阪神を中心とする関西圏、名古屋を中心とする中京圏は、大学への進学率が高いことがよくわかりました。進学に熱心というよりも経済的に余裕があったり大学の受け入れ人数がそもそも段違いであるなど、大都市圏の優位は動かず、地方はその差を埋めるのが簡単にはできないのが現状です。
今後は、勉強して努力して進学できる機会にもっと地方が恵まれてもいいのでは、との声を忘れずに、また都会育ちの人は大学まで行けることの有り難さを再認識し、進路を考えられるようにしていきたいものです。