今回は、「学歴コンプレックス」について調べていきます。自分の学歴を気にしやすい人の特徴と、その解消法をマナビバが紹介します。
「学歴コンプレックス」とは?
「学歴コンプレックス」とは、自分の学歴に対して何らかの劣等感(コンプレックス)や不満を抱えている状態をいいます。よく〇〇コンプレックスという言う方がありますが、必ずしも劣等感とも限らず、「強い感情やこだわりを持っている」と解釈するほうが合っている場合も多々あります。
コンプレックスは、常日頃から気にしている人もいれば、普段は隠れている一面が何かのきっかけで表に出てきたりもします。
特に「学歴コンプレックス」は、「他人より劣っている」「自分で思い描いた所に届かなかった」などから自分で学歴コンプレックスを抱えるようになる人が多いようです。
そうはいっても、「学歴コンプレックス」は基本的に自分の主観からできています。そのため、他人から見たら学歴コンプレックスなどよりも学歴自慢をしていいくらいの高い学歴の持ち主でも、学歴コンプレックスを持っていたりします。
このようなことから、学歴コンプレックスには他人から見ての学歴が高い、低いという評価は本人にとってはあまり重要ではないのかも知れません。低学歴だから学歴コンプレックスを抱くと思われがちな所もありますが、そうとも限りません。
学歴コンプレックスになる主な原因5選
「学歴コンプレックス」を抱える原因には複数のタイプがあります。
- ①自分に自信がない
- ②他人と比べ、劣っていると感じる
- ③そもそもプライドが高い
- ④親からのプレッシャーがあった
- ⑤社会に出て、待遇に差を感じる
以上の5つが学歴コンプレックスになる主な原因です。では、一つずつ見ていきましょう。
①「自分に自信がない」について
学校で成績が低いことで見下されたり、受験で不合格になった経験などから、学歴コンプレックスを持つようになる人もいます。
自分に自信が持てない人は、自分以外の人から評価されることで自分の価値が高いと感じ、安心できるようになります。そういう人は、学歴は他人から評価される自分の中のひとつという意味で重要に感じ、大学の偏差値や知名度を気にしてしまうのです。
②「他人と比べ、劣っていると感じる」について
「自分は自分、人は人」という考えを持てず、どうしても他人と比べて、自分に劣等感(または優越感)を持つ人も一定数います。人と比べる癖があると、学歴以外でも常に様々な所を比べてしまいます。中でも学歴はランクや偏差値、知名度などわかりやすいため、自分より学歴の高い相手がいると「自分は相手よりも下」であるという引け目を感じてしまいます。
しまいには、「学歴が低い自分は幸せにはなれない」との思い込みにまで至るケースもあります。
③「そもそもプライドが高い」について
自尊心の強い人は他人からの評価を常に気にしています。そういう人は学歴コンプレックスを抱えることがあります。
他人からの評価を気にするとキリがありませんが、自分のプライドを守りたくてつい高学歴の人にケチをつけたり、自分よりも学歴の低い人を見つけると見下してしまうなど、人に対する攻撃性が高くなる傾向があります。
④「親からのプレッシャーがあった」について
家庭教育で「とにかく学歴が何よりも重要」と言われてきた子どもは、そういう親の価値観が引き継がれ、自分も高学歴でなければいけない、と思うようになります。
レベルが高い学校へ進学するのが当たり前で、偏差値やランク、知名度にこだわってしまいます。レベルの高い学校への入学が絶対的であると考えるあまり、もし期待されている学校に入学できなかった事態になると、「自分はダメな人間だ」と思ってしまいます。
⑤「社会に出て、待遇に差を感じる」について
学歴の高い人は、大企業、一流企業など待遇のいい企業に就職する人が多数います。さらに、学歴によって昇進や出世がしやすくなることがあります。
そのような学歴で人の評価をする企業社会では、学歴があればいいですが、学歴がないと就職も昇進も難しくなってきます。すると「いくら頑張っても〇〇学校しか出ていないからダメだ」「どうせ努力しても学歴で評価されるから無駄だ」と考えてしまいがちになります。
学歴コンプレックスを感じやすい人の特徴とは?
多くの企業では、大卒者は昇給、出世してキャリアを築くことができるのに対して、高卒者には一定の上限があるといったことが多いのは日本の企業の特徴のひとつです。例えば、高卒は課長までしか進めなかったり、昇進のスピードが遅いなど待遇の差がある場合、そこにコンプレックスを感じるのは自然なことかも知れません。
つまり、高卒の人は、その高卒であることを気にする時点で学歴コンプレックスを抱えやすくなっている、といえます。ちなみに、大卒者の初任給の平均は21.2万円、高卒者の初任給の平均は16.7万円です。(令和元年賃金構造基本統計調査結果)このような金銭的な差からも劣等感や不満が出てくるかも知れません。
また、大卒の人同士が大学時代の思い出話をしている時や、新卒採用で会社の人事担当者が〇〇大学の子を入れる、などの話を聞く時も、人によっては心中が穏やかではないかも知れません。全国平均の大学進学率はだいたい5割ですので、2人に1人は大卒ではないことがわかります。ですから、高卒者は決して少数派ではありません。
これをどう受け止めるかによって、学歴コンプレックスを抱える人と気にしない人とに分かれます。
<コンプレックスに感じる学歴は人による?>
その一方で、たとえ東京大学、京都大学、慶應義塾大学、早稲田大学などトップクラスの大学を出ていても、学部が本人の目指していたところではなかったことに不満や劣等感を感じる人もいます。
このように見ると、コンプレックスを持つかどうかは人の気持ちの問題、ともいえます。何らかの数値を出して、これ以下ならコンプレックスがある、ないという線引はなかなかできません。
この逆に、たとえ待遇差を感じても、「人は人、自分は自分」と割り切った気持ちを持つことができる人もいます。いかにしてコンプレックスを持たずに仕事に打ち込めるかが精神的にも大事になってきます。割り切った気持ちを持てず、うまくいかない理由を全て学歴のせいと考え、卑屈になって周囲から浮いてしまうと、良好な人間関係を築きにくくなります。
学歴コンプレックスを克服する方法5選
- ①自分の学歴を認める
- ②人を学歴で判断しない
- ③資格を取得する
- ④好きな学校に行く
- ⑤納得ができる仕事に就く
①「自分の学歴を認める」について
もし学歴が高くても、物事がうまく運ぶとは限りません。成功を収めている人は、学歴の有無にとらわれず、日々の工夫と努力をしています。
大事なことは、その結果を受けて、そこからどうすればもっと充実できるかを考えて生活していっているかどうかです。それには、現状の自分を受け入れ、学歴も含めた「今」を認めることです。その上で日々の工夫と努力を始めることから道が開けます。
②「人を学歴で判断しない」について
学歴で他人を評価するという人は、自分自身も他人から学歴で評価されます。しかし実際に社会に出ると、学歴以外で評価される場面は沢山あります。学歴コンプレックスに振り回されずに済むには、普段から言動や人柄などで周囲から信頼されるような評価を得るのが大事です。
それと同時に、まず自分自身が学歴で人を判断しないように意識しましょう。
③「資格を取得する」について
資格を取得すると自分の大きなアピールになります。履歴書も、単に学歴欄だけでなく、もうひとつセールスポイントを持っていることになります。可能なら、自分の仕事やキャリアプランとの相関性が高い資格を取るのがオススメです。
資格を取得するには、相応の勉強やトレーニングを続けることが必要になり、それを目指して懸命に努力した日々は大きな自信につながります。学歴以外の財産が得られることで、学歴に固執しなくなります。
④「好きな学校に行く」について
例えば大学受験の際に、レベルや世間体などではなく、自分の興味関心のある好きな大学に行くことも、ある意味で根本的な解決方法になります。コンプレックスを克服するというよりも、最初からコンプレックスを持つ必要のない場所に進学することで、一生悩まずに済みます。
一例ですが、日本で唯一の不動産学部を持つ明海大学の不動産学部に進めば、まさに不動産の勉強をするために選んだ大学であり、そこは他と比べる必要もなくなります。
⑤「納得ができる仕事に就く」について
学歴コンプレックスは、納得できる就職先を見つけることでも克服は可能です。
何のために大学まで行ったのか、それは希望する仕事に就きたかったからである、と現在就職している企業に納得し、良好な人間関係を築いて今の仕事に満足するなら、出身の学校がどこであったかについては大した問題ではなくなります。
また、新卒時の就職先に納得が行かなければ、転職したり起業したりする道もあります。学歴という過去にコンプレックスを抱えるよりも、これからどんな仕事でなら満足できるかを考えていきましょう。
学歴がなくても評価を得る方法とは?
単純に大卒者と高卒者では4年もの社歴の差があります。これに加えて、長く勤める会社という考えでいけば、学歴重視の会社に勤め続けるよりも、大卒との待遇差ではなく積み重ねた仕事の実力で評価してくれる会社を選べば、どの学校を出たかということに引きづられなくなります。
この「長く勤めていること」をメリットと捉え、4年のアドバンテージを活かし、「〇〇なら誰にも負けない」という誇りを持てるようになれば、「会社の中では自分が先輩」であることをプラスに考えられるようになります。
例えば、IT業界のエンジニアは基本給の差はあっても、実力主義で給料が変わります。
Webエンジニアは、採用時には多少学歴が影響することもありますが、年収はその後の実力次第で大幅な上昇が見込めます。またWebエンジニアは使用できる言語によって年収のギャップが激しいことで知られます。
さらに実務経験が加わればフリーランスとして高い案件を引き出すことも可能です。その段階になれば、学歴よりも実務経験や開発実績、使える言語の方が重要視されます。
また、どの業種の会社でも、成果主義の営業職であれば、営業成績はあまり学歴と比例しません。
このように、職種によっては学歴コンプレックスを感じづらいところもあります。その意味で、どんな職種を選ぶかも重要です。
まとめ
学歴によるコンプレックスを持つ人がそれを解消する最も早い方法は、自分がその集団で唯一無二の存在を目指すことです。会社にとってあなたが必要とされているという存在価値を作り上げ、どこの学校を卒業したかについては二の次、三の次であると周囲に感じさせることです。
東京大学を出ている人ですらコンプレックスがあるというのですから、これでは卒業した学校の名前が変わったからといって、必ずしもコンプレックスを解消できる保証はありません。いかにして努力した自分を信じるか、仕事に一所懸命に取り組んだ自分を誇れるかが大切なのです。