共通テスト「BF」ボーダーフリーとは?
かつては国公立大学専用だった入学試験の第一次試験(旧称・第一次共通試験、センター試験)は、現在は私立大学も多数参加しています。それが現在の「共通テスト」です。
受験生は一度の「共通テスト」を受験することで、その得点をもって、国公立大学だけでなく多くの私立大学にも出願できる仕組みになっています。もちろん、私立大学のみの出願もできます。
この点で、受験生は何度も試験を受けなくて済むというメリットが有り、私立大学側もマークシートの答案を機械で自動採点してくれるので手間が省けるメリットが有ります。こうして、「共通テスト」は全国的に採用されるようになりました。
また、共通テストだけでなく全ての受験で、合否の可能性が50%となるラインを「ボーダーライン」と呼んでいます。
例えると、入学定員が100名の所を受験した時に自分の順位が100位前後の人が「ボーダーライン」にいることになります。まさに受かるか受からないかの境い目が「ボーダーライン」です。
ここで、「ボーダーフリー」って何?とのギモンが出てきます。
前年度の入試結果のデータを見て、不合格者が少ない(または不合格者がいなかった)場合、合格と不合格の境い目はココだ、というラインを設定することができなくなります。そのため合格率50%となる偏差値は具体的にいくつ、というものがなくなります。
言い換えると、「受かるか受からないかのボーダーラインを設定できなかった」場合が「ボーダーフリー」です。
「共通テストBF」と「Fラン大学」はどう違うの?
共通テストの模擬試験や共通テストの本試験で得点が最下層の人たちが偏差値の低い私立大学を志望すると、実質上「ボーダーフリー、つまりBFとも呼ばれます」となります。
この「共通テストBF」と「Fラン大学」は非常に意味が近い言葉です。ほぼ同じ意味と受け取っても問題ありません。
「Fラン大学」という呼び方を聞いたことがあるかも知れませんが、大別して二つの受け止め方があります。
一つ目は、学力ランクが低いという意味での「Fランク」です。
共通テストや模擬試験の得点を、得点の高い層から「Aランク」、次が「Bランク」として順にランク分けすると、得点の低い最下層では偏差値が35〜40になり、ランク上は「Fランク」となります。ランクの区分けなので、「Fランク」の人は一定数いることになります。その人たちが行く大学が「Fラン大学」と呼ばれます。
これは、ある意味で、仕方のないこととも言えます。なぜなら共通テストは、元来は国公立大学の受験者向けに作られていることから試験問題は相応の難しさがあるからです。
そうすると、1科目が100点満点で計算した時に20点以下しか得点できない人も出てきます。あまりにも得点が低いと国公立大学や有名私立大学の合格圏から大きく離れ、偏差値もかなり低い数値となります。
二つ目は、合格ラインを設定できない「ボーダーフリーのランク」という意味です。
全国模試で志望校を書くとき、学力の低い一部の私立大学の名で記入すると、偏差値が最も低い人たちの得点を比べて判定することになり、なかなか判定しにくくなります。しかも大学の定員数より志望者が少ない「倍率割れ」のような事態となれば、本当に判定不能になります。
実際に「Fラン大学」を受験すると不合格者がほぼ見られません。何点取れば合格というラインのない大学は、「Fラン」と呼ばれます。
以上の二つの意味で、「Fラン」という言い方が使われます。受験生の間では、正確な偏差値やランクというよりも、学力が低くてほぼ合格確定の大学を「Fラン」と表現することもあります。
BFなら必ず合格できるのか?
BFの大学なら必ず合格できるのかというと、かなり高い確率で合格できます。
少子化で受験生の数が減り、「ゆとり教育」などで大学入試の試験問題が易しくなるなどで、年々大学に合格しやすくなっているのは確かです。
また大学も早めに受験生を取り込んで入学確定に持ち込みたいため推薦入学などが増え、一般選抜入試を回避する傾向もあります。一般試験の受験者が減れば倍率も下がり、このような「Fラン大学」は今後も増加していく可能性があります。
当然に受験の倍率が下がれば合格の可能性は高まります。まして「定員割れ」なら大学がわざわざ不合格にはしません。
大学も、入学者が減ると経営上かなり困ります。定員を満たそうとして外国人留学生の学生数を増やし、それを「国際化に対応する大学」として外国人留学生と交流できる謳い文句で日本の受験者を増やそうとするなど、大学側もあの手この手で入学者を確保しようと努めています。
それでも「ボーダーフリー」の大学が今後も全国的に増えることが予想され、実質、1ケタの得点でもほぼ受かるという大学が散見されることでしょう。
だからといって、本当に名前だけ書いて0点の答案を提出するのは止めましょう。大学に失礼です。大学にもプライドがあるので記号選択式なのに合計30点以下なら不合格、などの内規を作る大学もあります。
どこの大学を受けるにしても最低限の受験勉強は必要です。それなら、少しでも勉強してボーダーフリーを上回る大学に挑戦すればいいのです。もしあなたが今まだ高校生なら、間に合います。
ボーダーフリーの大学に進学後の就職先は?
BFの大学に入学すると、その後はどうなるのでしょうか。
勉強を全然しない人が入学できる大学では、卒業時にどうなるのだろうかを想像すると、大体の察しがつきます。言うまでもなく、就職活動で苦労するのが目に見えています。
<BF大卒の就職先5選>
まず「ボーダーフリー」の大学を卒業した人たちがどのような仕事についているか、見てみましょう。
- 建設業の現場
- 飲食業の店舗
- 運輸業の配送
- 小売業の店舗
- 製造業の工場
以上のような職場に入る人が比較的多いようです。基本的には現場での作業が中心となっているのがわかります。
これらの仕事の特徴は、作業をする点で事実上の肉体労働が多いということです。肉体労働については、それが大変かどうかよりも、もっと考えなければいけない点があります。
それは、AIなどによる自動化、機械化によって将来に自分の仕事が奪われてしまう危惧がある、ということです。せっかく仕事に就けたとしても、今後もずっと安泰とはいえない点が問題です。
<大切な学生生活の送り方>
では、どうやって就活に向けて策を立てるか考えましょう。
高校生活で勉強しない人たちが大学に集まるため、勉強する気のない学生が大多数を占めます。授業への参加意欲が低く、アルバイトで稼いでどうやって遊ぶかを考える方に比重を置きがちになります。
そうすると、「学生時代にどんな勉強をしたか」という質問に答えられなくなります。高校まではほぼ全員が進学するので「なぜ高校へ行ったのか?」と聞かれることは少ないです。しかし、「なぜ大学へ行ったのか?」は聞かれます。
遊ぶ以外に何の研究もしない学生生活なら、専門学校でスキルを高めて手に職をつける、という人のほうが真っ当に見られるかも知れません。最低限、どんな勉強をしたか、くらいは答えられるようにしましょう。
また、大学が実施する授業のレベルも学生に合わせて低いレベルになることがあります。図書館で読みやすい本を借りて読めば済む程度のことを、高額な学費を支払ってまでしてくれている保護者(既に法律上は保護者ではありませんが)の身にもなってみましょう。
単に大学卒業という肩書きで満足せずに、自ら学識と知見を身につけようとする姿勢が必要です。堂々と〇〇学について勉強しました、と言えるところまで研究活動にも時間を割きましょう。
あるいは、資格試験の勉強に挑戦するのも有効です。資格を持つことにより、直接その資格を活かせる仕事に就く以外にも、資格取得に取り組んだ努力が評価されるかも知れません。
<就活は早めに開始>
ここで就職活動ですが、まず、大学に入学したら、自分の就きたい職業は何であるかを大学1年生の時から考えましょう。就職課に行って説明を聞いたり。先輩からどうやって就活をするのか、など情報収集に時間をかけるのがオススメです。
その前に、思い描く未来や大人になってからの生活設計というものを、本来は高校時代からよく考えておくのが理想です。しかし何となく歳月が過ぎてしまい現在に至る、という人の場合は、高校生なら今からすぐに計画を立てましょう。
その、就きたい職業や仕事の内容に見合った大学選びと学部選びが必要です。もし学力がどうしても届かないという人は、入れるレベルの大学の中で、どんな学部に行くべきかを調べましょう。
また、既に大学に入学した人ならば、早急に大学で何の研究をすることでどんな業界に進めるのか、自分自身の価値観やものの見方、考え方、性格面などから何に向いているか、今後の世の中に求められる職業は何か、など考えるべきことは幾つもあります。
こうして、順を追って、自分の進む所の方向をよく見極めながら、大学入学をします。また学生生活の後半には就活の具体的なプランまで練っておくのが望ましいです。
まとめ
今回は、「共通テストBFとは」「ボーダーフリーとは何か」について説明しました。
単に学力が低いランクを「Fランク」と呼ぶだけではなく、模擬試験などで得点が低くて合格ラインのデータを揃えられないために、どれくらいの数値なら合格できるかが判定できないのが「ボーダーフリー」です。
ある程度の学力が必要な大学は「倍率割れ」することはほぼありませんが、事実上、偏差値の低い大学は「倍率割れ」する可能性があり、それが「ボーダーフリー」の要因になっています。このような大学は合格しやすいことは確かですが、その後の就職などで苦戦することを理解し、しっかり受験対策を進めていきましょう。