大学の難易度には、予備校などが「SSランク」「Aランク」「Cランク」など数段階に分けてランクづけをしています。その中で最も低いのが「Fランク」です。
「Fランク」の大学は、入学試験の難易度が低いことから受験勉強をしていなくても合格できる、としばしば言われます。
では、もし「Fランク」の大学に入学した場合、どんなことが心配になるでしょうか。それは、やはり「就職」です。
肩書の上では「大卒」であるのに、企業からすれば採用する対象にはならないかも知れない。そんな不安があるなら、すぐにこの記事を読み、「Fランク」に行ったとしても対処する方法があることを理解し、その準備を始めましょう。
目的を持てば、Fランク大学に行く意味はある!
まずFランクかどうかに関わらず、大学に行って勉強する意味はあります。
現代は大学への進学率がほぼ6割の時代です。経済的な事情やどうしても行きたい専門学校があるなら話は別ですが、大学に行くのが当然のようになっている時代に入ったのは確かです。
「Fランク大学」は入試の難易度が低いため、そこに行くことに意味はあるのだろうかと疑問に思う人もいるかも知れません。しかし、どの大学でも「◯◯学を勉強した」と堂々と言えるよう、大学に入学してから一所懸命に勉強すればいいのです。
高校まで遊んで勉強せずに「Fランク大学」へ進んだとしても、その後も遊ぶのか、それとも本気で勉学に励むのかの差です。もし大学でも遊ぶというのであれば、専門学校で技術や知識を身に付けてしっかりと仕事をできるようにするというのが選択肢に挙がるでしょう。
世間一般では「大卒」という肩書きがある以上、少なくとも「高卒」より初任給が高いなど有利になる点があるのは確かです。
Fランク大学の難易度はどれくらい?
「Fランク大学」という言葉は、河合塾のいう「ボーダーフリー」「BF」と同義と受け止めて問題ありません。
実際に「Fランク大学」は、難易度が易しく、入試で合格しやすいのが現状です。幾つもの予備校や全国模試を実施しているところの統計をみると、大体の偏差値が40以下を「Fランク大学」としていることが多いようです。
Fランクの学部を持つ大学は、全国で79校あります。その中で、大学の持つ全ての学部が偏差値40以下である大学は38校です。
<全学部がボーダーフリー(Fランク)の大学>
大学名 | 学部名 | 主なキャンパス | |
北海道 | 函館大学 | 商学部 | 函館市 |
北洋大学 | 国際文化学部 | 苫小牧市 | |
北海道千歳リハビリテーション大学 | 健康科学部 | 千歳市 | |
育英館大学 | 情報メディア学部 | 稚内市 | |
青森県 | 柴田学園大学 | 生活創生学部 | 弘前市 |
弘前学院大学 | 文学部、看護学部 社会福祉学部、 | 弘前市 | |
八戸学院大学 | 地域経営学部、健康医療学部 | 八戸市 | |
秋田県 | ノースアジア大学 | 経済学部、法学部 | 秋田市 |
岩手県 | 富士大学 | 経済学部 | 花巻市 |
福島県 | 奥羽大学 | 歯学部 | 郡山市 |
栃木県 | 宇都宮共和大学 | シティライフ学部、 子ども生活学部 | 宇都宮市 |
文星芸術大学 | 美術学部 | 宇都宮市 | |
千葉県 | 亀田医療大学 | 看護学部 | 鴨川市 |
東京都 | 杉野服飾大学 | 服飾学部 | 品川区・日野市 |
神奈川県 | 日本映画大学 | 映画学部 | 川崎市 |
新潟県 | 長岡崇徳大学 | 看護学部 | 長岡市 |
新潟産業大学 | 経済学部 | 柏崎市 | |
新潟食料農業大学 | 食料産業学部 | 胎内市 | |
山梨県 | 身延山大学 | 仏教学部 | 南巨摩郡 |
石川県 | かなざわ食マネジメント専門職大学 | フードサービス マネジメント学部 | 白山市 |
愛知県 | 岡崎女子大学 | 子ども教育学部 | 岡崎市 |
大阪府 | 大阪女学院大学 | 国際・英語学部 | 大阪市 |
東大阪大学 | こども学部 | 東大阪市 | |
和歌山県 | 和歌山リハビリテーション専門職大学 | 健康科学部 | 和歌山市 |
岡山県 | 岡山学院大学 | 人間生活学部 | 倉敷市 |
中国学園大学 | 現代生活学部、子ども学部 国際教養学部 | 岡山市 | |
山口県 | 宇部フロンティア大学 | 心理学部、人間健康学部 | 宇部市 |
至誠館大学 | 現代社会学部 | 萩市 | |
東亜大学 | 人間科学部、医療学部 芸術学部 | 下関市 | |
愛媛県 | 聖カタリナ大学 | 人間健康福祉学部 | 松山市 |
松山東雲女子大学 | 人文科学部 | 松山市 | |
福岡県 | 九州情報大学 | 経営情報学部 | 太宰府市 |
九州女子大学 | 家政学部、人間科学部 | 北九州市 | |
福岡歯科大学 | 口腔歯学部 | 福岡市 | |
長崎県 | 鎮西学院大学 | 現代社会学部 | 諫早市 |
大分県 | 日本文理大学 | 工学部、経営経済学部 | 大分市 |
宮崎県 | 南九州大学 | 環境園芸学部、人間発達学部 健康栄養学部 | 宮崎市・都城市 |
沖縄県 | 沖縄キリスト教学院大学 | 人文学部 | 中頭郡 |
以上が、全ての学部がFランクになっている大学です。
昨年度(2022年)の時点で定員割れも含めて入試の倍率が非常に低く、合格できるかどうかのボーダーラインが設定できない「ボーダーフリー」(BF)と「Fランク」はほぼ同義と思って受験校を探しましょう。
Fランク大学からでも就職できる!?
Fランク大学からでも就職は十分に可能です。
- なぜその大学に進学したかを言える
- 学生生活をどのように送ったかを言える
- なぜこの企業を選んだかを言える
以上のような基本的な説明をしっかり言えることが重要です。
世間一般では「学歴社会」という言葉が定着していますが、Fランク大学の卒業者もモチロン学歴は大卒です。その上で、受験の偏差値だけでは決められない人物評価を就職したい企業にさせることが重要なのです。
問題は、Fランクだからダメということではなく、本人がFランクの大学へ進学した理由と入学後に学生生活をどのように送ったかを説明でき、なぜその企業への就職を希望しているのかを言えるのが大切です。
その逆に、なぜその大学に行ったのかを言えず、学生時代の過ごし方も説明できず、就職試験を受ける企業に対する志望理由も明確に述べることができないなら、それはFランクの大学であることが問題というよりも、何も説明できない自分自身に問題があると考えて然るべきです。
Fランク大学での過ごし方
今度は、Fランクの大学に入学した後、どのように学生生活を送ればいいかを考えていきましょう。
<まず自己分析から>
大学生活は、就職へ直結する重要な4年間です。理系で大学院まで進んだ場合は6年間になります。
その貴重な学生生活を充実したものにするには、「計画」と「実行」が必要です。自分がどんなものを目指すのか、大学でどの授業に特に力を入れて取り組むのか、自分の求める将来像を描き。そうなるために自分が何をすべきかをよく考えましょう。その第一歩がしっかりした「自己分析」です。
改めて、高校までの自分とこれからの自分を見つめ直しましょう。
<職業情報を集める>
自分がどんな進路に進みたいか、まず整理しましょう。なりたい職業は何か、やってみたい仕事とはどんなものか、その辺りが漠然としたままでは、就職活動の段階が近づいてもオロオロするだけになってしまいます。
図書館や進路に関わる相談室、就職課などに行くと沢山の情報が得られます。自分でどう考えていいかわからない場合は、その道のプロに質問するのが一番手っ取り早い解決方法です。
「自己分析」と「職業情報の収集」は大いに関係があります。この二つを連動させて考えましょう。
<資格を取る>
大学の4年間や6年間で資格を取得し、就職に役立てる方法もオススメです。
近年は大学内で資格取得のための口座を設けて学生に資格取得を促す大学も多数あります。その資格を活かして就職したり昇進したり、あるいは将来の転職に役立つことも有ります。
ダブルスクールという表現は今でもあり、昼間は大学に通いながら夕方は資格取得の学校に通う人もいます。多少は大変さも伴いますが、自分の将来のためと思えば頑張れます。
<公務員試験の勉強をする>
公務員試験は、どこの大学を卒業したかで合否が決まる訳ではなく、公務員試験の点数で決まります。
Fランクの大学に行ったことで就職活動が不利に働くかも知れないという心配があるなら、平等な公務員試験に挑戦してみるのも一つの方法です。
公務員試験は、事前の準備を早い段階から始めて得点できるようになれば有望です。学生生活を有効に使い、公務員試験に合格して国や自治体のために誇りを持って働くことができます。
まとめ
今回は、「Fランク大学って行く意味あるの?」「Fランク大学で就職はできるのか?」について説明しました。
大学の難易度が低いFランクの大学でも、進学する意味はあります。
- なぜその大学に進学したかを言える
- 学生生活をどのように送ったかを言える
- なぜこの企業を選んだかを言える
以上のような基本的な説明をしっかり言えることが重要です。
学生生活で勉強に一所懸命に取り組み、自己分析と職業情報をよく集めることで道は開けます。難易度の低い大学かどうかより、自分の将来のためにその貴重な4年間なり6年間なりを無駄に過ごさないことが大切です。
今後は、AI機器の発達により、様々な業務が自動化、機械化されていきます。そういう環境でも働ける人材は、積極性や勤勉さ、協調性などが求められます。学生生活において、それを実践してきたことを言えるようにすることが肝要です。