「旧帝国大学」は、日本の学識レベルを支えるために国家が運営してきた7つの総合大学で、現代でも入試は特に難関と言われているハイレベルの大学群です。
- 東京大学
- 京都大学
- 大阪大学
- 名古屋大学
- 東北大学
- 九州大学
- 北海道大学
以上の7大学が「旧帝国大学」です。
特に東京大学と京都大学は日本の最難関の大学です。
では、このような難関ばかりの大学群の中に「狙い目」の所があるのでしょうか。もしも穴場と言われるような学部があるなら、合格できる可能性も出てきます。
東北大学
狙い目の旧帝国大学の文系学部はココだ!
旧帝国大学の文系で「狙い目」となりそうな学部を見ていきましょう。
大学名 | 学部 | 偏差値 | 共通テスト得点率 | 倍率 |
---|---|---|---|---|
東京大学 | 文 Ⅰ (教養学部) | 67.5 | 81% | 3〜3.5倍 |
京都大学 | 総合人間学部 (総合人間学科) | 65 | 94% | 3.8〜4.3倍 |
大阪大学 | 外国語学部 (主にアジア圏) | 60 | 68% | 2〜3倍 |
名古屋大学 | 法学部 | 62.5 | 73% | 2.1〜2.3倍 |
東北大学 | 教育科学部 | 60 | 72% | 2.5〜2.7倍 |
九州大学 | 経済学部 (経済工学科) | 57.5 | 68% | 2.2〜2.4倍 |
北海道大学 | 総合入試文系 | 62.5 | 73% | 3.1〜3.5倍 |
以上のように、どの大学も非常に難関です。
それでも、その中で比較的「何とかなりそうかな」と思える所が上記の学部です。
<東京大学:文 Ⅰ>
東京大学は、意外にも「文 Ⅰ」が他の文 Ⅱ、文 Ⅲより合格しやすくなってきた、という現象が起こりつつあります。共通テストの得点率が81%というのは東京大学にしてはかなり低い方に入ります。
その代わりに二次試験の対策に力を入れないと合格は厳しくなります。東京大学に関しては、「合格しやすい」という表現はそもそも当てはまらないかも知れません。
東京大学の中では近年、割と合格しやすくなってきているのが文 Ⅰ、という意味です。
<京都大学:総合人間学部>
京都大学では総合人間学部・総合人間学科が狙い目です。ただし、共通テストの得点率が94%、偏差値は65、倍率は4倍前後、となれば決して入りやすいとは言えません。
それでも合格最低点が京都大学の文系の中では最も低いのが総合人間学部です。合格した人たちの中で、最高点と最低点の差があるため、ギリギリで合格する受験生が割と多いのが総合人間学部ということです。
<大阪大学:外国語学部>
大阪大学の外国語学部は、英語科などのメジャーな学科は非常に難関ですが、フィリピン語、スワヒリ語、ヒンディー語など、アジアやアフリカの言語はそれほどの人気がなく、倍率もあまり高くはなりません。
共通テストの得点率も大阪大学にしては低いですが、入学後にその言語を実際にどれくらい扱えるかの方が重要で、たとえ合格しても馴染めない言語を習得しようと思えるかで受験を決めなければなりません。
<名古屋大学:法学部>
この名古屋大学の法学部については、旧帝国大学の全ての学部の中で最も倍率が低い点で狙い目になっています。
ただし、二次試験に「小論文」があるので要注意です。
倍率の低い理由は、この「小論文」を敬遠する人が多いからかも知れません。共通テストが終わった後に小論文の勉強を開始しても間に合わないことは承知しておきましょう。
<東北大学:教育科学部>
東北大学では、偏差値、共通テスト得点率、倍率をトータルで見て、教育科学部が学内で低い位置づけにあります。
仙台は学習環境が良い都市という面も加えると、関東や関西の受験生から見たら穴場のような存在になります。
旧帝国大学のトップ3は東京大学、京都大学、大阪大学ですが、それに続くのは名古屋大学と東北大学です。したがって、簡単に合格できるとは言えません。
<九州大学:経済学部経済工学科>
工学科でありながら、「経済工学科」となると異質で、経済学部の中に組み込まれているのが九州大学の経済学部・経済工学科です。二次試験に数学があるため、純粋な文系の人は受験自体が厳しくなり、倍率も低いです。
また、純粋に理系の工学で進学しようという思う人も経済学部を受験の対象には選ばないことを考えると、ニッチな学科と言えます。偏差値も共通テスト得点率も旧帝国大学の中では最も低く、チャンスです。
<北海道大学:総合入試文系>
この「総合入試」というものは、一般入試の中の他の募集とはまた別に募集しています。入学後も1年間はどの学部にも入らずに、一般教養を中心に勉強しながら自分に最適な学部を選んで2年生に上がります。
一次試験では社会科の配点が80点、英数国はそれぞれ60点、理科は40点です。また二次試験は国・数・英・社の4科目です。「社会は得意で理科は苦手」という人に向いています。
名古屋大学
「狙い目」のレベルはどのくらい?
旧帝国大学の中で比較的入りやすい学部を見てきましたが、果たしてその「狙い目」というレベルはどのくらいの難しさなのでしょうか。
いくら「狙い目」といっても、いくら「入りやすい」といっても、そこは旧帝国大学のレベルです。決して簡単ではありません。
ここで、参考にその「狙い目」の学部の偏差値、共通テスト得点率、倍率などに加え、試験科目や出題傾向などが近い大学、学部を見ていき、大体の難しさを把握しておきましょう。
<狙い目の旧帝国大学と比較される大学と学部>
旧帝国大学の狙い目の学部 | 比較対象となる大学と学部 |
---|---|
東京大学・文 Ⅰ | 京都大学・法学部 |
京都大学・総合人間学部 | 一橋大学・社会学部 |
大阪大学・外国語学部(主にアジア圏) | 東京外国語大学・国際社会学部 |
名古屋大学・法学部 | 筑波大学・社会国際学群 |
東北大学・教育科学部 | 東京学芸大学・教育学部 |
九州大学・経済学部(経済工学科) | 神戸大学・経営学部 |
北海道大学・総合入試文系 | 千葉大学・法政経学部 |
同じ大学でも、学部・学科によって難易度が異なります。また、併願できる学校の有無、共通テストの結果によって志願変更が利くかなど、志望校を決定するまでに見ておかなければいけない所があります。
基本的には二次試験の内容が似ている大学を選ぶ人が多数派です。行きたい大学を順に志望校として決めたい気持ちも理解できますが、受験する科目が違うのは大きく不利になります。
また、同じ科目でも記述解答の形式が違ったり、オーソドックスな設問を多く出す学校と、その学校ならではというオリジナリティ色が強い所とでは、対策の立て方が違ってきます。
<旧帝国大学に近い格付けの大学で狙い目は?>
旧帝国大学の難易度や格付けに近いレベルの大学は、限られてきます。
難易度は、偏差値の数値で見ればほぼわかりますが、格付けとなると現代の高校生にはピンと来ません。
旧帝国大学に次ぐ格付けの大学群は、文系なら「旧制商科大学」の一橋大学と神戸大学が真っ先に挙がります。
これに「旧制商科大学」の残る1校である大阪公立大学や、旧制高等学校で四高の名称だった金沢大学あたりが歴史的にも一目置かれた存在です。そして「旧制文理科大学」の筑波大学と広島大学も伝統校です。
これらの大学は、年配の経営者や人事部の人たちから見て、昔から格上の学校という扱いでした。そうなると、役職に就いている先輩が多い、という点から就職でも何らかの有利な結果につながる可能性も考えられます。
飽くまでも人物本位が重要で、学校の名前だけに頼っていてはいけないのは当然ですが、人物評価が良くて出身校も評価が良ければ優位になるのは間違いありません。
なお、理系なら「 旧制工科大学」の 東京工業大学が断トツで別格です。
九州大学
「狙い目」を決める上での注意点
偏差値や難易度という学力面や、首都圏に上京してみたいという立地条件やブームの学部がある、などで受験生からの評価や人気は変動します。
また倍率も年度によって少し変わります。そういう倍率やブームに伴ってまた偏差値も推移していきます。そのような動きは、長い年月をかけて培われた歴史や伝統の「格」というものとは別物と思っておきましょう。
実際には、現時点での難易度が上か、あるいは古くからの社会的な評価が上か、それを比べて判定することは困難です。どちらとも言えない、というのが大方の意見と思われます。
ただ、「旧帝国大学」の威光は依然として大きく、かつ実際に難易度も高いので、その評価が簡単には下がらないのは想像に難くありません。
自分が勉強したい学問のことや将来に就きたい職業、学生生活の具体的なことも含めて必要なことはしっかり考えた上で、志望大学を「旧帝国大学」に狙いを定めましょう。
その中で合格を勝ち取れそうな学部・学科があるなら、単に合格しやすいからということではなく、「ここに行きたい!」という強い気持ちを持ち、勉学に励む4年間または6年間を送るつもりで合格を目指しましょう。
大阪大学
まとめ
今回は、「旧帝国大学」の中で比較的「狙い目」となるような学部を紹介しました。穴場となる条件として、
これらの条件が挙がります。
国家主導で開設され、近代日本の発展とともに運営されてきた「旧帝国大学」は、もし進学できるものなら行くに越したことはありません。何らかの理由で私立大学にどうしても行きたい、ということでないのなら国立大学を目指してみましょう。
そして、国立大学を目指すなら、最高峰の大学群である「旧帝国大学」に行きましょう!