自分は確かに理系だけど、どの学部に行けばいいかわからない・・・
そんな悩みを抱える高校生は、実は大学選びよりも学部選びが深刻だったりすることがあります。
今回は、「理系で役に立つ学部」を紹介します。学部選びの参考にお読みください!
理系で役に立つ学部7選
理系の学部は、役に立たない学部はありません。その中で、特に社会から注目され、これを勉強すれば役に立つ、という学部を7つ紹介します。
<医学部>
「医学部」は、医学・医療に関する研究と教育を行う学部です。
医師を目指す人は、「医学部」を卒業することと医師の国家試験に合格することが必須条件です。
高度な専門知識と技術の習得が求められるため、大学側が受験生に対して高い学力を求められます。入試の難易度だけでなく入学後の学習難易度も非常に高いのが「医学部」の特徴です。
また「医学部」は定員も少ないため、倍率が高くなる傾向があります。
「医学部」の卒業生の大体は病院で働く医師になります。それ以外では研究医になる選択肢もあります。
その他、「医学部」の中に保健学科や看護学科を設置している大学もあるため、医師以外に看護師で「医学部・看護学科」を卒業する人もいます。
「医学部」出身の人は、
- 病院の医師
- 大学の教授、研究員
- 公務の医系技官
などの仕事に就きます。
<歯学部>
「歯学部」とは、歯を通して人々の健康を守るために学ぶ学部です。
人間の歯やあご、口の中についての多くの知識を学び、それを基礎として人々の健康を守っていくため、医学部に次いで高いレベルの知識と技術が求められます。
歯科医師の役割としては、口の中から喉までの空間(口腔)の疾患を予防し、健康の維持・増進を図ります。また、口腔に関わる疾患を取り除いて正常な口腔の形態、機能を回復させることも大きな役割です。
高齢化社会が進む現代で、80歳になっても自分自身の歯は20本以上残すための運動である8020運動など、虫歯予防や保健の意識を高めていく活動も歯科医師としての大切な仕事です。。
理学、工学での新素材の開発が進み、義歯などを使って欠けた歯を補うための分野研究も近年は注目されています。
「歯学部」出身の人は、
- 病院の歯科医
- 大学の教授、研究員
- 公務の医系技官
などの仕事に就きます。
<看護学部>
「看護学部」は看護師や保健師、助産師を養成する学部です。
医療系の学部・学科に共通することとして、看護師になるには「看護学部」または「看護学科」を卒業することと、看護師の国家試験に合格することが必須です。
保健師、助産師も同様で、「看護学部」または「看護学科」を卒業することと、保険師や助産師の国家試験に合格することが必須です。
また、看護師または保健師の資格を持つことと大学で教員養成課程の単位の取得を両立すれば、学校の養護教諭(保健室の先生)になることも可能です。
高齢社会が進行し、いかに健康を長く保つかは現代社会の最重要課題の一つです。そこに関わる看護師の使命と役割は非常に大きく、看護学の勉強をする人材が求められています。
「看護学部」出身の人は、
- 病院の看護師
- 福祉施設の看護師
- 学校の保健室の先生(養護教諭)
- 保健師
- 助産師
などの仕事に就きます。
<薬学部>
「薬学部」は、新しい治療薬の開発や製造方法など、薬に関係する専門知識を学ぶ学部です。
「薬学部」の中の「薬学科」は、医学部、歯学部、獣医学部と同様に6年制です。薬剤師になるためには、学部の卒業と薬剤師の国家試験の合格が必須です。
一方、「薬科学科」は研究者を目指す学科で4年制です。薬剤師免許は取らず、製薬企業の研究職に進む人が多数います。大学院へ進学してから研究職に就く人もいます。
「薬学部」は高い専門知識を理解するに必要な高い学力を求められるため、医学部、歯学部、獣医学部に次いで難関の学部になります。
薬剤師はドラッグストアなど身近な店舗にもいます。病院に限らず、人々の健康を守るために消費者へ適切な医薬品のアドバイスをします。
「薬学部」出身の人は、
- 病院の薬剤師
- 薬局の薬剤師
- 薬品メーカーの研究員
- 公務の薬剤師
などの仕事に就きます。
<理学部>
「理学部」は、高校で習う数学、物理、化学、生物、地学などの理数系の科目を延長したような学部です。理数系の科目が得意な人は、理学部へ進学する人も多くいます。
「理学部」では、地球の気候や地質、宇宙、ウィルスに関する研究など、自然科学全般をさらに専門的に学びます。
例えば現代の大きな課題である地球温暖化を解決するには、理学部の人の活躍が必要です。地球温暖化の問題のように、解明されていない事柄を研究するのが「理学部」の役割として求められています。
理学部には、主に以下の学科があります。
- 数学科
- 物理学科
- 化学科
- 生物学科
- 地学科 など
では、各学科を順に見ていきましょう。
「数学科」は、数学を深く学びます。微積分、代数、複素関数論、集合、位相、幾何などの基礎的な数学知識の他、専門分野に分かれて高度な数学知識を研究します。「数理科学科」という学科を持つ大学もあります。
「物理学科」は、自然現象を実験や理論の側面から深く学びます。自然現象や実験から関連性を見出すなど、実験に重視されます。レポートを作るのが苦手な人は、入学前からレポート作成に慣れておきましょう。
「化学科」は、自然界に存在する物質とその変化を深く学びます。物質の成り立ちやその働きなど、化学科での学習・研究にはミクロな世界を地道に追究する向学心が必要です。
「生物学科」は、動物や植物、微生物などの生命現象、生物全般について深く学びます。大学によっては、「生物科学科」「生命科学科」「生命工学科」など名称が異なる場合があります。
「地学科」は、地球で起こる自然現象やその副産物を深く学びます。主に地質学、地球物理学、自然地理学、天然資源開発、防災科学などを研究します。大学によっては「地球科学科」の名称もあります。
「理学部」出身の人は、
- メーカー、製造業
- IT業界
- 理科、数学の教員
などの仕事がオススメです。
<工学部>
「工学部」はモノを造る学部です。機械の部品から巨大な建築物、ミクロ単位の繊維まで大小を問わず様々な「ものづくり」を研究します。
工学部には専門分野ごとに学科があり、それぞれの専門知識と技術を深めます。
- 機械工学科
- 電気通信工学科
- 土木建設工学科
- 応用科学工学科
- 応用理学工学科
- 原子力工学科
- 金属工学科
- 繊維工学科
- 船舶工学科
- 航空工学科
- 経営工学科
など多数の学科があります。
「工学部」に進む場合は、将来どの分野のモノを造りたいのか、どんなモノを研究したいのか、進学する前にできるだけ明確に考えることをオススメします。
学科をすぐ決めるのが難しい場合は、まずやってみたい系統で考えましょう。
大別すると、機械系、自動車・輸送機器系、IT・情報系、建築・設備系、電気・電子系、化学・素材系、生物工学系、その他の系統、という分け方になります。
例えばロボットの製造なら、機械系と電気・電子系とIT・情報系をそれぞれ勉強し、それらを総合して考えていきます。
何に取り組むかの目標を設定し、興味を持って4年間以上の期間で取り組めそうな学科があれば受験をしてみるのが賢明です。
入試科目の好き嫌いだけの理由という曖昧な経緯で入学すると、大して興味のないことのレポートを山のように作る日々に嫌悪感を感じてしまうかも知れません。
選択した学科によって、就職先もある程度まで絞られてきます。そのため、受験の際には卒業後の進路まで見据えて志望学科を選ぶことをオススメします。よく吟味をして大学を選びましょう。
「工学部」出身の人は、
- 製造業、メーカー
- 技術職
- 通信サービス業
などの仕事がオススメです。
<農学部>
「農学部」は農業に関することや人類と自然の共生について学ぶ学部です。
人間が生きていくために、食糧資源の安定供給を進めるための勉強をし、また自然と人間が共生できる環境をどのように作っていくかも勉強します。
地球環境には限りがあり、それを解決するには農学部で学んだ知識と技術が不可欠です。最も注目されている学問の一つです。
たとえば遺伝、育種、栽培、作物、土壌などの他、先端のバイオテクノロジーや生態系、マーケティング、気象など幅広い分野を学びます。
また、子供の頃の夢である「花屋さん」で働きたいと思う人は、農学部がピッタリです。園芸学科などで植物の栽培を専攻すれば知識や技術を一般の人々に提供でき、頼りになる存在になれます。
食品業界での開発に関わること、製薬や化粧品のメーカーで研究職を目指す人は、大学院まで行くことをオススメします。
さらに、農林水産省などで農地を整備する業務に携わる公務員も活躍できそうです。他の省庁にも河川や公園の整備などで国土交通省、林野庁、水産庁、環境省などが就職先で人気があります。
「農学部」出身の人は、
- 食品メーカー
- 製薬業
- 化粧品業界
- 農林水産省などの公務員
- 農業
などの仕事がオススメです。
理系に行くメリットとは?
理系に行くメリットは、以下の点が挙げられます。
- 理系の専門的な知識が得られる
- 研究職、技術職に就くことができる
- 数学、理科を活かせる
- 就職に有利
- 将来の夢が理系に関係がある
以上の点が理系に行く主なメリットです。
これには、「数学や理科が好きだ、得意だ」という理由から理系を選ぶスタートした人が多いかと思われますが、その人たちが行き着く所は「就職先」です。
なりたい職業や取り組んでみたい仕事があり、理系で学んだ知識を活かして自分の目標や夢を実現できるなら、それは非常に素晴らしいことです。
理系の年収はやや高い!
理系の人が就く仕事と文系の人が就く仕事とでは、全体としてどちらのほうが年収が高いのでしょうか。以下のグラフで大まかな年収の差がわかります。
平均の年収は、理系の職業・職種が約593万円、文系の職業・職種が約558万円です。
このグラフによれば、全体としては理系の職業・職種は文系の職業・職種に比べ、平均年収が30万円〜40万円程度高い、ということがわかりました。
理系職は年収700万円を超えても一定の人数がいますが、文系職はかなり少ない人数になることがわかります。その一方で、年収300万円未満では文系職がかなり多くなるのが特徴です。
ここで理系の人と文系の人とで平均の数値を出したときの格差が生じている可能性が高いと考えることができます。
まとめ
今回は、「理系の将来、役に立つ学部とは」を説明しました。
医療系の「医学部」「歯学部」「看護学部」「薬学部」は、人間の生命や健康に関わるため特に重要視される学部です。他にも獣医学部や健康・保健学部なども役に立つ学部です。
「理学部」「工学部」は理系の代表的な学部で、モノを研究して解明したり、新たに造り出したりする点で、常に社会から求められる要請に応えていく使命があります。両者の中間的な理工学部も人気があります。
「農学部」は、水産学部や畜産学部、園芸学部なども含めて食料を生産したり、自然と調和した住みやすい環境づくりに欠かせない学部です。
全般に理系の学部は世の中の期待に応じることが必要で、それを踏まえて理系の学問を学び、習得した知識を活かして社会に還元できる人材になれれば素晴らしいですね。
スタディサプリ
https://shingakunet.com/journal/column/20210415000002/
キャリアガーデン
https://careergarden.jp/department/
テレメール
https://telemail.jp/shingaku/gakumon/