大学受験で、「定員割れ」の学校を受験して落ちることってあるのでしょうか?
たしかに、募集の人数より受験者が少なければ、まず合格できるのでは?
と思って当然ではないでしょうか。
それでは、本当に「定員割れてても落ちることあるの? 絶対合格する?」の問いに、マナビバがお答えします!
「定員割れの大学」ってどんな大学?
「定員割れ」をする大学の特徴には、以下のようなものが挙げられます。
- 後発で知名度がなく、受験生から進学先の候補に挙がらない
- 施設が老朽化し過ぎて、進学したいと思われない
- キャンパスが遠くて通えない
- 学力がかなり低く、入学後に勉強する気にはならない
- 学力など諸々の点で社会的に評価が低い
- 現代のニーズに合う学部学科がない
このように、受験生から見ても受験先の候補に挙がらない大学は、まず予備校や大手出版社が主催する模擬試験において、志望校の欄にその大学の名前が書かれません。
そうなると、志望者が不足するので倍率などを算出できません。当然に合格ラインがわからず、偏差値がいくつなら合格、という数値の出ない合格ライン判定不能の大学になります。
これを「ボーダーフリー(BF)」の状態と言います。ボーダーというのは合格する人と不合格になる人が同じくらいの人数になる得点ラインのことで、ここに得点が届けば合格できるかもしれない判定が五分五分になり、「ボーダーに乗る」「ボーダーライン上にいる」などの表現がよく使われます。
注意点として、ボーダーラインは合格ラインではなく、合格か不合格かの五分五分のライン、であることです。全く油断できる状態ではありません。
このボーダーラインがわからない、データとしてボーダーラインを設定できないのが「ボーダーフリー(BF)」です。そして、その状態になっている大学を「ボーダーフリー大学」「BF大学」と呼びます。
ボーダーがない最大の要因は、志望者が少ないことです。結果的に受験の段階でも定員割れしてしまうことになります。
定員割れの大学には絶対合格できるの!?
では、ボーダーフリーで定員割れしていれば、落ちることはないのでしょうか。
募集人数より少ない受験者数であれば、極端に言って名前さえ書けば受かる、などと考えてしまいがちです。
しかし、いくら定員割れしていても、落ちる人は実在します。
確かに、偏差値があってないようなものなら、限りなく受かりやすいことは事実です。だからといって、ボーダーフリー大学だから必ず合格にしてくれる、という約束はありません。
受験者数が少ないからボーダーフリーになる、倍率は1.0倍を下回って非常に低い、ということは確かです。試験の難易度も易しめです。偏差値も低い場合がほとんどです。
これらを考えると、他の大学よりは合格ラインが低くなります。これが「定員割れしていたら絶対に合格できるだろう!」と思ってしまう根拠です。
しかし、もしあなたがその大学の学長だったり、その試験の採点官だったりした場合、白紙の答案を出してきた人を入学させようと思いますか?
いくらなんでも、あまりにもふざけた態度の受験者は、入学させようと思わないのではないでしょうか。名前だけ書いて0点、あるいはマークシートで全て「ア」や「a」など同じ記号にマークする、などは論外です。
「定員割れ」だからといって必ず合格できると思わずに、受験者として最低限のことはやりましょう。落ちる時は落ちる、というつもりで受験すべきです。
ボーダーフリー大学は定員割れするか
ボーダーフリー大学は「定員割れ」するかというと、確かに「定員割れ」することが多いです。しかしながら、必ず「定員割れ」するとは限りません。
何故なら、大学受験における合格ラインの偏差値は、模擬試験でその大学の名前を書いて受験した人たちの偏差値によって割り出されているのであって、本番の試験当日には模擬試験でその大学の名前を書かなかった受験者も大勢いるからです。
受験した人の合否を偏差値別に見ていくと、合格した人と落ちてしまった人の割合がだいたい同じくらいになる偏差値が存在します。その偏差値をその大学の合格ラインとする、言い換えるとボーダーラインとすることが一般的です。
ただし、受験する人の人数が少なかったり、数か年ほとんど不合格者が出なかったりすると、正確に合格ラインを算出できなくなります。
そういう条件の下で、事前に模擬試験を受けた人たちの中で第1志望から第4志望くらいまでの志望校にその大学の名前がないと、ボーダーフリーになりやすい状況が発生します。
この、「第1志望から第4志望」というのを見てわかるように、5校以上を受験すると模擬試験で書かなかった大学も受けることになります。首都圏にいる受験生や、上京して学生生活を送る前提の地方の受験生は、実際に5校以上を受験するのはザラです。
定員割れの大学に行くデメリット3選
定員割れの大学に行くデメリットは、以下の3点です。
- 努力せずに大学へ行った人を企業は採用したくない
- 高い学費を払ったのに4年間遊んでしまうかもしれない
- 専門学校で手に職をつける人と比べてほぼ何も身につかない
以上の3点です。
社会の常識として、就職などでは偏差値が高い方が評価される傾向にあるのはご存知でしょう。それが良いか悪いかは別として、大学のネームバリューによって就活の有利・不利が大きく変わってしまうのも事実です。
「定員割れ」の大学は、実質的に偏差値が非常に低いレベルの大学という可能性があります。単に偏差値で考えるなら、レベルが低く誰でも合格してしまうようなボーダーフリーの大学にわざわざ行く意味はあまり無いと言えます。
偏差値がボーダーフリーの大学は受験勉強をしなくても合格できる可能性が高いと思うなら、少しでも上の大学を目指して努力し、そこに合格した人を企業は採用しようとするのが当然の成り行きになります。
このように、勉強しない人が行く大学は、大学入学後も当たり前のように勉強せずに卒業して社会に出る、というのが想像に難くありません。
これを覆すには本人が入学後に何かの具体的な目標を立て、そこを目指して前へ突き進むという意気込みと実行力が必要です。
定員割れの大学に行くメリットもある!
その一方で、「定員割れ」の大学に行くメリットもあります。
- 大卒の肩書きが容易に得られる
- 資格試験の勉強に注力できる
国立大学でも有名私立大学でも、あるいは「定員割れ」の大学でもボーダーフリーの大学でも、そこを出れば「大学卒業」という肩書きには変わりません。
言い方を変えれば、努力しなくても「大卒」の肩書きを手に入れることができるという意味で、「定員割れ」の大学やボーダーフリーの大学を選ぶのもアリと言えます。
例えば就職活動で「大卒であること」を応募の条件にしている会社が多数あります。
もちろんどこの大卒であるかという違いは否定できません。それでも「高卒」ではなく「大卒」の肩書きをもって就職活動できるのは「定員割れ」した大学やボーダーフリーの大学に行けばこそのメリットと言えるでしょう。
また様々な資格を取得したい場合も、「定員割れ」していて容易に入学できる大学にまず入り、そこで国家資格や語学の検定など就職に関わる学習を中心にした学生生活を送るという方法も考えられます。
それこそ公務員試験の受験対策を4年がかりでじっくり取り組めば合格も近づいてきます。4年間をコスパ良く資格試験に活用できる点では優位です。
まとめ
今回は「大学受験・定員割れてても落ちることあるの? 絶対合格する? マナビバが解説!」というテーマで書き進めました。
志望者が少ないため「定員割れ」してしまい、その結果、合格しやすいのが実情です。しかし絶対に入れる保証はないこともわかりました。
「定員割れ」をする大学の特徴には、
- 後発で知名度がなく、受験生から進学先の候補に挙がらない
- 施設が老朽化し過ぎて、進学したいと思われない
- キャンパスが遠くて通えない
- 学力がかなり低く、入学後に勉強する気にはならない
- 学力など諸々の点で社会的に評価が低い
- 現代のニーズに合う学部学科がない
などがあり、良いイメージがなかなか見つかりません。
これに加え、
- 努力せずに大学へ行った人を企業は採用したくない
- 高い学費を払ったのに4年間遊んでしまうかもしれない
- 専門学校で手に職をつける人と比べてほぼ何も身につかない
という観点からも「定員割れ」の大学を探して受かろうとする考えは、あまり賛同できません。
ただし、
- 大卒の肩書きが容易に得られる
- 資格試験の勉強に注力できる
この2点に狙いを絞り、大卒でなければ受けられない資格試験に合格する、という逆転の発想で将来の進路を価値あるものにできる可能性もあります。
自分の人生が、どんな大学に行くかで何らかの方向づけに関わると思えば今回のような「定員割れ」の大学を受験するかどうかもひとつの考えるきっかけになるかもしれませんね。