歴史のある大学や大規模な大学、有名な大学・・・ 様々な大学がありますが、その多くの大学には「看板学部」がつきものです。
どの学部も非常に優秀で甲乙つけ難い場合でも、その大学が創立された経緯や長年の歴史を紐解くと「看板学部」はだいたい決まってきます。
では、誰もが知っているあの有名な大学は、どの学部が「看板学部」なのでしょうか?
今回は、私立大学のトップ3である「早慶上智」について、その「看板学部」はどこなのか、マナビバが調査します!
有名私大に看板学部はつきもの!
どの大学にも、必ず「看板学部」はあるのでしょうか。
大学が設置されるときのことを考えると、大概は「看板学部」があります。
その大学が創設されるとき、例えば法律を専門に学ぶ学校が前身で、それが大学になった場合は法学部がメインの学部として始まることになります。
その後で文学部や経済学部が設置され、さらに工学部や理学部も。。。
このような経緯で大学が大きくなっていき、いつの間にか総合大学になっているのが現在のほとんどの大学です。最初から沢山の学部が設置されているワケではありません。
幾つもの学部を持つ大きな大学は、一見するとメインの学部はどれなのかわからなくなりそうです。しかし、そこは創設時に法学部からスタートして、メインの学部が法学部になれば、当たり前ですが「看板学部」が法学部になります。
そこから長年の研究実績を重ねていき、卒業生も多数いるならば「この大学の看板は法学部だ!」という具合に周囲から見られます。
むしろ、東京大学や京都大学みたいにどの学部も最高レベルで、わざわざ「看板学部」を掲げる必要がないような大学は少数と見ていいでしょう。
早稲田大学の看板学部
<政治経済学部>
早稲田大学の看板学部は、「政治経済学部」です。
政治経済学部は、政治学科、経済学科、国際政治経済学科の3専攻に分けられています。
入試では共通テストの導入などに力を入れています。具体的には、共通テストには数学の科目が含まれます。そこが大きな特徴です。
数学が受験科目に入ってくると、私立大学の文系学部を目指す人たちにも変化が起こります。私立中学から高校3年生までの6年間を文系一本槍で最初から数学を捨てるようなことができなくなるのです。
また、国公立大学を志望する多くの学生に「数学があるなら、早稲田の政経も受けてみようかな!」となります。その結果、最難関の国公立大学を第一志望とする受験生に併願させることに成功しました。
このような入試改革を経て、今後も偏差値が上昇していくと見られます。
政治経済学部の受験科目
試験の形式 | 受験科目 | 科目の詳細 |
---|---|---|
共通テスト | 必須3教科3科目 + 選択1教科1科目/合計100点 | <必須科目> ・外国語(①英語②ドイツ語③フランス語から1科目):25点 ・国語:25点 ・数学(数学ⅠA):25点 <選択科目> ・地歴・公民:25点 (①世界史B②日本史B③地理B④現代社会⑤倫理⑥政治・経済⑦倫理、政治・経済) ・数学(数学ⅡB):25点 ・理科:25点 (①物理基礎②化学基礎③生物基礎④地学基礎から2科目または⑤物理⑥化学⑦生物⑧地学から1科目) |
学部独自試験 | 総合問題 120分/100点 | 日英両言語による長文を読み解いたうえで解答する。記述解答あり |
※2021年より共通テストの利用が必須になりました。
※入試の詳細は、大学のホームページでご確認ください。(https://www.waseda.jp/inst/admission/)
早稲田大学・政治経済学部
慶應義塾大学の看板学部
<経済学部>
慶應義塾大学の看板学部は「経済学部」です。
1890年(明治23年)に創設された日本で最初の経済学部で、当初は「理財学科」の名称でした。この時に一緒に設置された他の学科は文学科と法律学科で、特に理財学科は当時ではまだ珍しく、逸早く慶應義塾大学のシンボル的な学科となりました。
現在でも卒業生のOB・OGで形成される「三田会」の知名度は抜群です。大学で学んだ後も先輩後輩の絆でビジネスを上手くやっていける一助にもなっています。
早稲田大学と同様に、慶應義塾大学には法学部があります。この法学部の難易度も最難関であり、難易度だけなら法学部を「看板学部」と思う人がいるかも知れません。
しかし、慶應義塾大学の歴史と経済界に貢献した面々を見ると、経済学部が「看板学部」であるとわかります。
経済学部の受験科目
試験の形式 | 受験科目 | 科目の詳細 |
---|---|---|
A方式 | 数学、英語、小論文 /420点満点 | ・数学:150点 (数I・数A(場合の数と確率・図形の性質・整数の性質)・数II・数B(数列・ベクトル) ・英語:200点 ・小論文:70点 |
B方式 | 地歴、英語、小論文 /420点満点 | ・地歴:150点 (世界史Bか日本史Bから1科目選択) ・英語:200点 ・小論文:70点 |
※入試の詳細は、大学のホームページでご確認ください。(https://www.keio.ac.jp/ja/prospective-students/)
慶應義塾大学・経済学部
上智大学の看板学部
<外国語学部>
上智大学の看板学部は「外国語学部」です。
学科は英語学科、ドイツ語学科、フランス語学科、イスパニア語学科、ポルトガル語学科に分かれています。
元々は文学部に英文学科がありましたが、それとは別に後から外国語学部が創設されています。外国の文学に触れるのが文学部英文学科ですが、外国語学部は実践的な英語の運用に特徴があります。
特に英語学科は読む、書く、聞く、話す、の4技能の全てにおいてハイレベルです。
この外国語学部に文学部、さらに新しい国際教養学部などが英語に強い伝統を築き続けています。中でも外国語学部が長年にわたり「英語といえば上智」と言われる歴史を形成してきた中心を担っています。
外国語学部の受験科目
試験の形式 | 受験科目 | 科目の詳細 |
---|---|---|
TEAPスコア利用型 (全学部統一入試) | 3教科(受験は2科目) /350点満点 | <必須2科目> 国語:100点 外国語:150点 TEAPまたはTEAP CBTのスコアに応じて英語の得点に換算 英語の独自試験はなし <選択1科目> ・地歴:100点 (世界史B・日本史Bから選択) ・数学:100点 (数I・数A・数II・数B(数列・ベクトル) |
共通テスト併用型 (学部学科試験) | 共通テスト 必須2教科 + 選択1教科 /合計120点 | <必須科目> ・外国語:40点 (①英語(リーディング・リスニング)②ドイツ語③フランス語から1科目) ※英語学科は①英語のみ選択可能 ・国語:40点 ※外国語外部検定試験の得点は「加点」要素となる (ただし加点後の満点も200点) <選択科目> ・地歴・公民・数学:40点 (①世界史B②日本史B③地理B⑤倫理⑥政治・経済⑦倫理、政治・経済⑧数学ⅠA) |
独自試験 (学部学科適性試験) | 2種類の学部共通試験 /合計100点 | ・高度なレベルの外国語学習に対する適性を測る試験 (マーク式):50点 ・外国研究に必要な基礎的知識・日本語の読解力・論理力・思考力を測る試験 (マーク・記述併用式):50点 |
共通テスト利用型 | 4教科 /合計600点 | ・外国語:200点 (①英語(リーディング・リスニング)②ドイツ語③フランス語から1科目) ※英語学科は①英語のみ選択可能 ・国語:200点 ・地歴・公民:100点 (①世界史B②日本史B③地理B⑤倫理⑥政治・経済⑦倫理、政治・経済) ・数学ⅠA:100点 |
※外国語外部検定試験の得点は「みなし得点」となる
(ただし共通テストの受験は必須)
※入試の詳細は、大学のホームページでご確認ください。(https://adm.sophia.ac.jp/jpn/)
上智大学・外国語学部
早慶上智に新たな看板学部は出るのか!?
<設立時からの伝統>
早慶上智に新たな「看板学部」は出るのでしょうか。
答えとしては、早稲田大学と慶應義塾大学は、まずその可能性がほぼありません。
なぜ、そのように言えるのか、「看板学部」について振り返ってみましょう。
例年、激しい受験競争の中で、時代の進展に伴って人気の高まる学部が出てきます。
それは新たに新設された学部学科が歓迎されるときや、かつての古い時代からある一見地味そうな学部学科が脚光を浴びることもあります。
そのようにして人気の出てきた学部学科は、当然に受験倍率が高まるため、合格ラインの得点が上昇します。言うまでもなく難易度が上がる、つまり偏差値も上がることになります。
受験生を中心にしたネットの書き込みなどでは、こういう場合にすぐ「看板学部」という表現を使うことが見受けられます。
果たして、難易度が高くなった学部は即座に「看板学部」になるのでしょうか?
これについては、まだ「看板学部」とは言えない、と回答します。
確かに偏差値が最も高くなり、競争倍率も一番高く、受験生が第一志望にしている学部学科が現れて、それが10年くらい続いたなら、新たな「看板学部」として認知されておかしくはないと思われます。
その10年くらいという年月は、実際にはかなりのもので、なかなかそうはなりません。
まずその前に創設当初の「看板学部」が廃れているという前提が必要です。
依然として創設当初の「看板学部」に一定の人気と実績があり、難易度も大きくは低下していないということであれば、大学としては元からの「看板学部」から特に変化を求めようとはしないと考えられます。
もし、新しい学部が広く認知されていき、偏差値や倍率や志願者だけでなく、研究施設や学部あたりの蔵書数、さらに教授陣の質と量など、あらゆる面で当初の「看板学部」を抜き去ったのが認められ、就職も非常に好調ということがあったとします。
それなら、新たに「看板学部」として受け入れられるのではないでしょうか。
ところが、早稲田大学の政治経済学部の牙城は崩れません。法学部も難易度なら互角かも知れませんが、それで「看板学部」が入れ替わることにはなりません。
慶應義塾大学も法学部が難関ですが、やはり経済学の存在感を打ち消すまでには至りません。ちょうど明治大学の商学部と学内の位置関係が似ています。
このように見ると、早慶のような長い歴史と伝統を誇る大学では他の学部が「看板学部」に取って代わること自体が起きないと考えて間違いないでしょう。
<時流に合った学部>
では、新しい「看板学部」が出てくることは全くないのでしょうか?
そんなことはありません。
青山学院大学では、1980年代から国際政経学部の人気が上昇し、偏差値も当初の「看板学部」だった文学部英米文学科を凌駕しました。その時から徐々に国際政経学部が青山学院大学の新たな「看板学部」になりそうだ、という見方が出てきました。
それでも、未だに歴史を紐解けば、青山学院大学が語学の学校として設立された由来や「英語の青山」と言われる語学に強い伝統的な学風などから、文学部英米文学科を「看板学部」と見ている人々が大勢います。
一方で、やはり現代の潮流に合わせて評価や認知は変わるものだ、という考えの人も多数います。この両者を合わせると、「どちらも看板だ」「これからは二枚看板だ」という見方があっても必ず否定されるものではないと思われます。
もちろん、看板が二つ、三つと増えていくのは節操がありません。どうしても甲乙つけ難く、お互いに相譲らず、両者が互角の真っ二つに分かれているような場合に限って二枚看板を認めてもいいのではないでしょうか。
青山学院大学のように文学部英米文学科と国際政経学部の二枚が揃うのは稀な例でしょう。今後にもよりますが、長い目で見て国際化の波に合わせて一時代は国際政経学部を看板と見ていることもあった、という評価がまだ現時点では妥当です。
立教大学も似たようなケースになっていますが、こちらはもっとシビアです。
立教大学は、青山学院と同じくキリスト教の学校で語学を中心に学ぶところからスタートしています。したがって、文学部の文学科・英米文学専修が元来の「看板学部」です。
しかしながら、受験の偏差値において法学部など別の学部のほうが上にいる時代が続き、さらに21世紀に新設された経営学部が脚光を浴び、ものの数年で偏差値が学内で最高となりました。
さらに、ネットだけでなくビジネス誌などでも「立教大学の看板は経営学部」と書かれています。
現に早稲田大学や慶應義塾大学の経営学の講義に遜色ないハイレベルの授業が実践され、学生の質も近年の私立大学の中では最もレベルが高い学部の一つとして認知され始めています。
その認知が、半ば「看板学部」としての認知になろうとしています。
そもそもの始まりからすれば文学部文学科の英米文学専修が立教大学の「看板学部」でしたが、新たに経営学部を「看板学部」と見るようになる要因がもう一つあります。
それは、国際系で実践的な外国語を使用する異文化コミュニケーション学部が台頭したことです。これにより、語学に強い文学部の印象が薄れ、そこに経営学部も出てきたことで文学部の存在感が低下した、という流れです。
青山学院大学の国際政経学部も外国人留学生と一緒に英語で講義を聞くような授業になれば、文学部英米文学科の価値観が低下する可能性はあります。
<上智の新しい学部は?>
さて、ここで着目されるのは上智大学です。
上智大学は、外国語学部英語学科が「看板学部」と言われています。
ただし、キリスト教の語学教育の学校として見れば、設立当初から文学部はありました。その意味では文学部の英文学科がメインの学部だったとも言えます。いつの間にか外国語学部に取って代わられています。
ここに後から、国際教養学部と総合グローバル学部が登場しました。
つまり、上智大学は外国に関わる学部が4学部もあることになります。
これでは、受験生もハッキリと明確な違いを知っておかないと志望する学部の選択に困ってしまいます。ここでよく整理していきましょう。
上智大学の国際系の学部について
学部 | 主な内容 |
---|---|
文学部英文学科 | ・文学としての英語で書かれた文章を学ぶ ・語学教育にも力を入れる(教師養成も) ・文学部には哲学科や新聞学科もある |
外国語学部英語学科 | ・文学部外国語学科から独立 ・外国の言語を勉強し、外国語の運用を学ぶ。 ・帰国子女も多い |
国際教養学部 | ・英語で様々な分野の講義を受ける |
総合グローバル学部 | ・国際的な視野で政治・経済・地域文化を学ぶ |
上記のように、それぞれ異なります。
文学部英文学科は、昔からある伝統的な文学部が基本スタンスです。これに対して、外国語学部英語学科はやや現代的で、英語の運用のし方を勉強します。
国際教養学部は、最も先進的な学部で、国際基督教大学や法政大学のグローバル教養学部と比較されます。公立大学の国際教養大学もこれに相当します。
総合グローバル学部は、世界の中の日本や、海外のローカル地域について勉強します。多くの大学にある国際関係学部や国際文化学部などがこれに相当します。
上智大学に限っては、創設時の文学部ではなく後発の外国語学部を「看板学部」とされていることから、今後の時代の流れで後から出てきた他の学部が新たに「看板学部」になることも否定はできません。
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上智大学・国際教養学部
まとめ
今回は、「早慶上智の看板学部とは?」のテーマで書き進めました。
- 早稲田大学は政治経済学部
- 慶應義塾大学は経済学部
- 上智大学は外国語学部
がそれぞれの「看板学部」です。
特に早慶は非常に長い歴史と伝統、社会的な評価があり、もうここから違う学部が「看板学部」に代わることはないでしょう。
ただ、上智大学に限っては、創設当初から外国語学部があったワケではなく、語学に強い上智という実績や社会的な評価が形成される中で外国語学部が躍進した経緯があり、そこが早慶とは異なるところです。
国際化の中で、上智大学がますます外国語に強い学校という立ち位置を強めていく今後において、国際教養学部が台頭する可能性も否定できません。英語に関しては似た感じの学部であることから、ともすると二枚看板になってもおかしくはありません。