高校の授業には、中学校までとは違い、実技系の副教科以外にも個人で履修を決めなければならない「選択科目」があります。
高校3年生だけでなく、大概は2年生から「文系か理系か」の進路選択に応じて、あるいは目指す大学の受験科目に対応して、自分で学習する科目を決める必要が出てきます。
しかし、その予備知識がないまま急に選べと言われても、どうしていいか分からないという人が多いかも知れません。
そこで、今回は「文系」で科目選択に失敗しないためのポイントや、おすすめの組み合わせなどをご紹介します。
大学受験する上でとても重要な意味を持つ、高校生の科目選択についてマナビバが解説します!
科目選択は入試に直結!
まず、高校生活では2年生になる時に、あらかじめ「文系」か「理系」かを決めておく学校が非常に多くあります。
そして、文系の場合は「選択科目」の中から大学受験に直結する文系科目を中心に、どの科目が自分の受験科目になるのかを考え、慎重に選んで決定する、という段取りを踏みます。
これがとても重要なことである、ということを知っておきましょう。
<候補の大学、学部・学科は受験科目を必ず調べる>
文系の科目が得意だから文系を選択したり、物理が苦手だから生物を選択したり、と自分の好き嫌いや何となくのイメージで選択した人は注意が必要です。
文系か理系かを選択したり、その上で科目選択することは、自分が興味のある学問なのかどうかや、将来の夢や目標に向けて学びたい学問が何なのか、とつながります。
それが文系なのか理系なのか、その学問に関連する科目かどうかで判断することが大切です。
また、入試でも、志望する学部・学科によって入試科目が異なることがあります。気になる大学、学部・学科の試験科目は、早めに調べましょう。
第一志望から第四、第五志望までの受験科目を一覧表にしてみると、場合によっては受験科目や志望校の一部を再検討する可能性も出てきます。
大学の学部学科ごとに指定されている入試科目は、学問系統ごとに大まかな傾向があります。それは、大学で専攻する内容のベースになる教科、知っておいてほしい必要な科目であるからといえます。
自分が学ぶ学問に必要な知識は何なのか、学部系統ごとにその特徴を確認しておくことで、大学での学びがどんなものかもわかるかもしれませんね。
つまり高校の科目選択とは、大学受験で自分がどの科目で受験するのかを決めることにほぼ等しい、ということなのです。
大学入試は、志望大学や志望学部によって受験の時に必要な科目が変わります。
そのため、自分の志望に合わせて科目を選ぶ必要があります。
例えば国公立大学を受験する人は、たとえ文系でも数学や理科を履修しなければいけなくなります。私立大学の文系なら、数学が受験科目に入るかどうかを調べて選択する科目を考えることになります。
文系・理系を選択したら、早めに社会、理科の選択科目を決めましょう。
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選択科目を選ぶ大前提は?
どの科目を選択するかは、以下の大きな前提があります。
- 行きたい学部や大学が決まっている場合は、その受験科目として採用されているものを選ぶ
- 行きたい学部や大学が決まっていない場合は、自分が学びたい事や将来なりたい職業に必要な科目を基準に選ぶ
- 推薦入試を狙う場合は、成績の取りやすい科目を選ぶ
以上の3点が大前提です。
<受験の選択肢を制限するような科目選択は避ける>
高校の授業を選択する科目選択は、大学受験の入試科目を決める大事な選択というだけでなく、将来にもつながっているという意識を持って慎重かつ真剣に考えましょう。
なんとなく選んでしまったために勉強が嫌になったケースや、良く調べずに決めてしまい受験できる大学が減ってしまった、ということも少なくありません。
例えば受験しようと思う大学の社会科が「日本史」「世界史」「政治経済」の中から選ぶことを指定しているなら、当たり前ですが地理や倫理は選んでも時間のロスになるので選べません。
せっかく選択した科目で、志望大学や学部の受験ができないということがないようにしましょう。
しかし、受験科目を知らずに違う科目を選んでしまうと、
- 後から受験校を変更する
- 自分で受験科目を勉強する
ということになりかねません。
このように、科目選択は間違いなく決定し、受験校の選定を早めにできるようにするのが好スタートの条件ともなります。
そのためには、もしもまだ志望大学を決定していないという人は、後々のことを考えて受験できる大学の選択肢が多くなるような、多くの大学の入試で採用されている科目を選択するようにしましょう。
受験直前に「受験できない」「志望大学を変更しなければならない」ということにならないためにも、しっかりと確認してから科目選択をするようにしてください。
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社会の選択科目はどうする!?
社会科は、地歴科の「世界史」「日本史」「地理」、公民科の「倫理」「現代社会」「政治経済」の6科目から選びます。
どの科目も暗記は必須です。中でも世界史と日本史は特に暗記量が多い科目です。
一方で、地理や現代社会、政治経済などは比較的暗記量は少ないです。しかし受験できる学校の幅が狭まる可能性があるため、選択には注意が必要です。
<国公立大学を受験の場合>
国公立大学は、基本的には共通テストにおいて文系で2科目を受験します。学校によっては二次試験でも必要となる場合があり、その際は論述形式での解答が求められることもあります。
国公立大学の文系学部の場合、以下の組み合わせで受験するケースが多く見られます。
- 国語
- 地理歴史、公民から2科目
- 数学Ⅰ、A
- 数学Ⅱ、B
- 物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎から2科目
- 英語
国公立大学の場合、共通テストに加え大学独自の二次試験の合計点で合否が判断されることが一般的です。多くの大学で6教科8科目以上の受験を指定されるため、文系であっても数学や理科を受験しなければいけません。
地理歴史、公民や理科は得意な科目が人によって大きく異なるため、自分に合った科目を選択することが大切です。
ただし、公民と理科は共通テストでのみ出題されることが一般的なので、時間をかけずに高得点を狙いやすい「倫理」や「現代社会」、「地学基礎」や「生物基礎」の選択が無難です。
難関大学では二次試験が「日本史」「世界史」「地理」「政治・経済」の4科目の中から選ぶよう指定している大学も多くあります。さらに、共通テストと二次試験の社会科を同じ科目で受けられないこともあります。
もし共通テストと二次試験の社会科が同じ科目で受けていい場合は、倫理や現代社会は選択候補から外します。
これらをまとめると、社会科を2科目で受験する人たちには、次のような組み合わせの人が多くなります。
日本史・政治経済
日本史の近現代史では政治経済分野に関することを多く学ぶため、政治経済と重なる部分が多くなります。
世界史・倫理
世界史で文化史を学ぶと、倫理で扱う哲学者や思想家が多く登場するので、学びやすいといえます。
地理・政治経済
地理で扱う現代の世界の産業や経済は、政治経済でも学ぶため、重なる部分が多いのが特徴です。
日本史・世界史
勉強する内容が多い割に重なる部分も少ないので、受験勉強の負担が大きくなってしまう可能性があります。
ただし、世界の中の日本という観点で両方の科目を学びたい、という何よりも「歴史が好きだ」という人には意義のある選択方法です。
学習量や暗記量よりも、楽しく学んでいるうちに覚えてしまった、という人もいるのは確かであり、この2科目の組み合わせは受験できる大学が最も多くなるというメリットもあります。
もしも歴史2科目を選択したいと考えている人がいたら、まず学校の先生や塾の先生に相談してみると良いでしょう。
<私立大学を一般入試で受験の場合>
私立大学の場合は、3教科での受験が基本となります。文系の学部では、英語、国語のほかに地歴・公民もしくは数学から残りの1科目を選択する場合が多いです。
これらの科目の中では、「世界史」と「日本史」がほとんどの学校で受験科目として採用されています。このどちらかを選んでおけば安心です。
また社会科においては、2022年度の新入生から新設科目として公民科の「現代社会」を廃止して「公共」が、地理歴史科では「地理総合」、「歴史総合」などが現行の科目に代わって設置され、これらは必須科目となります。
私立大学の文系学部の場合、以下の組み合わせが基本的なイメージです。
- 国語
- 地理歴史、公民(政経) or 数学Ⅰ、Aから1科目
- 外国語
基本的に3教科3科目の受験が一般的です。ただし、大学や学部によっては数学が受験科目にないところも多くあるのでよく確認しましょう。
<受験科目との整合性がポイント>
科目選択で忘れてはいけないのは、「高校の授業で長い時間をかけて勉強している」ことです。それだけ時間と労力を費やすなら将来の受験に役立つ科目を選びたいところです。そして、その知識を大学入学後も活かせるのが理想的です。
世界史、日本史、公民、地理の中から1科目を選ぶなら入学したい学部に合わせた科目を選ぶようにしましょう。志望大学や学部が決まっている場合には、これが正攻法です。
文学部や国際学部の場合は、世界史や日本史で学んだ歴史の知識を大学の授業にも役立たせることができます。一方で、法学部や経済学部、経営学部の場合は、倫理や政治・経済の科目の関連性が高くなります。
大学に入学後の授業につながるよう、受験勉強で得た知識を後で活用できるようにするのが科目選びのポイントです。
<受験校や学部が未定の場合>
「文系は決まっているけど志望大学はまだ決まっていない」という人はどうすればいいのでしょうか。
その場合は自分と向き合って自己分析をするところから考えましょう。自分の興味がある分野や学んでみたいこと、将来に就きたたい職業に関連のあろものが何かを調べ、将来の自分から逆算的に選択科目を選ぶと、意味のある選択になります。
最初はざっくりと興味のある分野や得意なこと、志望大学がどのあたりなのかを周囲の人と相談してから選択科目を決めていくのもいいでしょう。それが意欲的にその教科の勉強に取り組むことができるなら、何よりです。
特にこうしたい、というものがない場合は、科目の好みや興味関心のほか、勉強効率の良い組み合わせで選んでみるのも一つの方法です。
理科の選択科目はどうする!?
理科も、高校で選択した科目が大学入試科目になります。先を見据えて慎重に選ぶことが肝要です。
理科の科目は、物理・化学・生物・地学の4科目から選択します。
文系の人は理科を苦手とする人が多いので、理科の中のどれを選ぶかによって、入試の準備に費やす労力も入試当日の得点も違ってきます。その意味で、国語・数学・英語の主要3科目よりも高校の科目履修でポイントになるのは理科と言えます。
地学以外の物理・化学・生物の3科目は、ほとんどの大学で受験科目として採用されていることから、選択する人が多い科目です。
それぞれの科目の特徴は次のようになります。
物理:暗記量は少ないですが、公式を用いて解答を導き出すという、数学的な要素が多い科目です。
生物:理系科目の中でも暗記量が多いのが特徴と言えます。数式や記号の式が苦手な人は生物を選ぶことが最も多いです。
化学:計算と暗記の割合がちょうど半分の割合の科目ですが、化学式が苦手な人は避ける傾向があります。
地学:生物に次いで暗記量が多く、受験科目に採用されているなら選択することもアリの科目です。
地学に関しては、そもそも選択科目にない高校や受験科目として採用していない大学が多いので、あまり受験用の選択肢としては考えない方が良いかもしれません。
その一方で、最初から私立文系の国・英・社の3科目での受験が決定している人は、単に高校で効率よく単位を取るために地学を選ぶという考えもあります。
<国公立大学を受験の場合>
理科の科目は、国公立の大学を受験する時には、基本的には、共通テストでは文系で1科目、理系で2科目を受験することになります。文系は「基礎」がついた科目を2科目選ぶのがスタンダードです。
理科の中で、文系の学生が選択しやすい科目としては、数学的な要素が少なく暗記量で勝負がしやすい生物で受験する生徒が多いようです。
できるだけ大学受験の際に不利にならない科目の組み合わせや選択科目を考えましょう。その点では、「生物基礎+地学基礎」という2科目がオススメです。
この2科目は暗記事項が多いのが特徴で、物理の法則や計算が苦手な生徒でも対応しやすいからです。
<私立大学を受験の場合>
私立文系の一本槍で理科は無用だ、という人は、高校で如何にして効率よく単位を取得できるかを考えましょう。
ただし、社会科が地理で受験し、なおかつ地質や地形など自然地理の要素を含む出題が多い大学を受ける人は、地学をオススメします。授業内容が重なるところがあるからです。
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まとめ
今回は、「文系・科目選択をするコツ!失敗しないために知って欲しいルールをマナビバが解説!」のテーマで書き進めました。
- 科目選択は入試に直結することを理解する
- 候補の大学、学部・学科は受験科目を必ず調べる
- 第一志望から第四、第五志望までの受験科目を一覧表に書いてみる
- 文系・理系を選択したら、早めに社会、理科の選択科目を決める
- 受験の選択肢を制限するような科目選択は避ける
- 理科は受験科目になるかを考えた上で科目選択する
以上が重要なポイントとなります。
国公立大学と私立大学では受験科目に対する準備のやり方がかなり異なります。
また、私立でも共通テスト利用の場合と独自入試の場合で対策の立て方が違います。
それらの点に注意して、ベストな文系の科目選択をしましょう。